ガラス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/04 03:56 UTC 版)
物性
- 熱力学におけるガラス状態
- ガラスは液体状態を凍結したような状態(粘度が極端に高くなった状態とも言える)であり、それは準安定状態にあると言える。従って、ガラスは熱力学的には非平衡な状態であり、非常に長時間を経過するとガラスは安定状態である結晶化すると考えられるが、それに対しては異論もある。また、ガラスは過冷却およびガラス転移により粘度が非常に高くなった液体であるという捉え方もある。なお、例えば古い建物の窓ガラスは、それが理由で上部のガラスが下の方に垂れたような形になっているとされたこともあったが、計算によれば千年くらいではとてもそのような差は起きず、実際はガラスの製法によるもので、建設当初からそのような垂れた形になっていたことがわかった[14]。また、同じくガラス化している約2000万年前の琥珀を用いた実験では、2000万年間の密度変化は2.1%にすぎず、数千万年の時間では分子構造がほとんど変化しない事が分かっている[15]。
- 物理的性質
密度は水の2倍半程度、2.4-2.6g/cm3であるが、鉛を用いたフリントガラスでは同6.3に達する。金属ではアルミニウムが2.7、鉄が7.9であるから、フリントガラスは金属なみの密度であることになる。逆に金属元素を含まない石英ガラスは同2.2である。
引っ張り強さに関しては0.3-0.9×108Pa[16]である。これは鋼鉄の1/10ではあるが、ナイロンや革ベルト、木材と同程度である。
常温では電気抵抗はきわめて高く、絶縁に用いられることもある。内部抵抗率は109から1016 Ωm、湿度50-60%時における表面抵抗率は1010から1012 Ω/m。これはゴムやセラミックスと同程度である。ただし、流動点に近い温度では電気抵抗がきわめて低くなる。
刃物として用いる場合、非晶質であるため理論上は刃の先端径を0にできる(金属などの結晶体はどうしても結晶の大きさ分の径が残ってしまう)ため、鋭利な刃を作ることが可能である。その刃先は研磨によってではなく割れた断面に生じるが、金属より弾性・靭性が乏しいためナイフ・包丁などといった一般的な実用刃物としてはあまり適さない(欠け・割れが生じやすい)。しかし生体組織を顕微鏡で観察する際、樹脂で固めた組織を薄くスライスするカッター(ミクロトーム)として用いられることがある。
- 化学的性質
化学的には、酸(フッ化水素など、一部のフッ素化合物を除く)には強いがSi-O-Si結合がOH(水酸基)により切断されH2SiO−
3やNa2SiO−
3として溶解するためアルカリに弱い。たとえばガラス瓶に濃厚な水酸化ナトリウムを入れて長期間おくと、徐々にガラス壁が侵されスリガラス状となる。
- ^ 瑠璃コトバンク
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- ^ 「琺瑯(グラスライニング)」 (PDF) 『セラミックス』43(2008) No.9 P.762
- ^ 濱田利平「琺瑯の歴史について」『神鋼環境ソリューション労働組合-オープンハウスセミナー』Vol.43(2005/04/23)
- ^ a b c 作咲済夫著 『ガラスの本』 日刊工業新聞 2004年(平成16年)7月30日 初版一刷 ISBN 4-526-05310-4
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- ^ H. Rawson, Inorganic Glass-Forming Systems. Academic Press, 1967.
- ^ 長倉三郎、他(編)「岩波理化学辞典-第5版」岩波書店, 1998年(平成10年)2月
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- ^ ガラス特性の定説、覆る可能性 ナショナルジオグラフィック日本語版サイト
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- ^ 漢代の遺跡から出土したガラス器をみることができる
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- ^ 「東アジアで出土したガラス容器資料(三国~北魏並行期)」
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- ^ 黒川高明『ガラスの技術史』p227(アグネ技術センター, 2005年7月)
- ^ 中沢護人、「研究解説 :平炉法の発明の経過」『生産研究』 1964年 16巻 9号 p.243-248 , NCID AN00127075, 東京大学生産技術研究所
- ^ 酒本修、「革新的省エネルギーガラス溶解技術」 Res. Reports Asahi Glass Co., Ltd., 59 (2009)
- ^ ガラス張り(ガラスバリ)とは コトバンク
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