カサンドラ症候群 家族支援の取り組み

カサンドラ症候群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/29 02:47 UTC 版)

家族支援の取り組み

同じ苦しみを抱えている家族同士の交流は、考えや気持ちを共有できるので有意義である[98]。例えば、大人のアスペルガー症候群の専門外来を開いた昭和大学付属烏山病院では、定期的に家族会を開いている[65]。 とはいえ、アスペルガー症候群が広く知られるようになってまだ歴史が浅いため、アスペルガー症候群当事者の支援も発展途上であり、家族支援まで十分に行き届いていないのが現状である。

日本

カサンドラ症候群当事者による自助会がボランティアで運営されている[注釈 12]。(欧字五十音順)

日本国内の「発達障害者支援センター」も相談を受け付けている。本人および家族に対する福祉の相談支援として、来所相談・電話相談・メール相談などを行っているが、現状として、発達障害にかかわる支援資源・サービス等については十分に整備されているとはいえず、また地域により状況が異なることもある[99]

ウェブサイト

支援が進んでいる英語圏のサイトでは情報が整理・体系化されているところが多い[100](アルファベット順)。

  • Asperger Syndrome Partner Information Australia Inc.(ASPIA)(成人のアスペルガー症候群のパートナーのためのオーストラリアのサイト。アスペルガーの結婚で生じる難しさや違いを、お互いに認めて理解することを目指す。)
  • Families of Adults Affected by Asperger’s Syndrome (FAAAS) (成人のアスペルガー症候群の家族を支援するアメリカのサイト。成人アスペルガー症候群の存在の啓発活動を行う。)
  • Growing up with Autistic Parents Children of Autistic and Asperger's Parents tell our stories(自閉症スペクトラム障害や、アスペルガー症候群の親に育てられた大人を支援する。アスペルガー症候群既婚者や、アスペルガー症候群の配偶者にも役立つ。)
  • Help for Aspergers (『アスペルガーのパートナーのいる女性が知っておくべき22の心得』の著者ルディ・シモンのサイト。アスペルガー症候群に関する研究、書籍、活動などを紹介している。)
  • Maxine Aston (アスペルガー症候群によって生じる人間関係の研究と支援をリードするマクシーン・アストンのサイト。書籍や記事、ワークショップの情報が見つかる。)
  • The National Autistic Society(NAS)(アスペルガー症候群を含む自閉症の人々やその家族のためのイギリスの主要な団体。様々な情報や支援を提供する。)
  • The Online Asperger Syndrome Information and Support (OASIS)(自閉症スペクトラムに悩む人や家族、専門家に向けたアメリカのサイト。)
  • TONY ATTWOOD(アスペルガー症候群の権威であるトニー・アトウッドのサイト。書籍や研究、世界中に及ぶサポートグループの情報が見つかる。)



注釈

  1. ^ 2013年5月にアメリカで刊行されたアメリカ精神医学会診断基準DSM-5』(: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition、日本語版なし)では、アスペルガー症候群に代わり「自閉症スペクトラム障害」(: autistic spectrum disorder:ASD)という診断名が採用されているが、ここでは今でも一般的によく使われている「アスペルガー症候群」(AS)を用いた。
  2. ^ カサンドラ症候群は、パートナーの一人または両方が、低い感情知能アレキシサイミアであることによって生じる従属的関係の状態、とされる。
  3. ^ アレキシサイミアとは、ギリシャ語で「感情に対する言葉がない」という意味。自閉症スペクトラムのおよそ85%がアレキシサイミア(失感情症)だと言われている。アスペルガー症候群の人が感情表現に戸惑う大きな原因にもなっている。
  4. ^ マクシーン・アストンは、アスペルガー症候群によって生じる人間関係の研究と支援をリードする心理学者である。イギリスコベントリークリニックを開き、個人、カップル、家族のためにカウンセリングをしている。著書に『Asperger's in love』(Jessica Kingsley Publishers Ltd、2003)、『The other half of Asperger Syndrome』(Jessica Kingsley Pub、2014)、『アスペルガーの男性が女性について知っておきたいこと』(東京書籍、2013)、他。
  5. ^ ニューヨーク州在住の文筆家。アスペルガー症候群の教育者。
  6. ^ 心療内科医・医学博士。福島学院大学大学院教授。専門は、児童精神医学、スクールカウンセリング、精神薬理学など。
  7. ^ 精神科医。ランディック日本橋クリニック院長。大人の発達障害を中心に活躍中。
  8. ^ 臨床発達心理士。TEACCHⓇ上級コンサルタント。米国ノースカロライナ大学TEACCH部、英国バーミンガム大学自閉症学科で学ぶ。発達障害者とその家族の支援を長年続けている。
  9. ^ 東京生まれ。臨床心理士、特別支援教育士。どんぐり発達クリニックで心理療法士も務める。青山学院大学卒、白百合女子大学大学院、博士(心理学)。青山学院等で非常勤講師を務めるほか、私立小、中、高校にてスクールカウンセラーを務める。夫婦関係の心理を専門に研究、発達障害の保護者およびパートナーのカウンセリングを行っている。
  10. ^ どんぐり発達クリニック院長。独立行政法人国立成育医療センターこころの診療部発達心理科医長を経て、2014年より現職。専門は発達行動小児科学、小児精神神経学、神経生理学、特に発達障害の分野では第一人者。
  11. ^ 他者の心の状態や動きを類推することによって、その人の言動を解釈したり予想したりする心の働き・機能、および、他者には自分と異なる考えや信念があることを理解する心の働き・機能のこと。自閉症スペクトラムの人たちは、この心の理論の発達に障害があり、人とのやりとりが苦手になったり、コミュニケーションスキルが不十分になったりすると言われている。
  12. ^ 〈〉内は各自助会のサイトのタイトルによる。

出典

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  6. ^ 加藤進昌『大人のアスペルガー症候群』講談社〈講談社プラスアルファ文庫〉、2012年6月21日、106頁。ISBN 978-4062814775
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  74. ^ 加藤進昌『大人のアスペルガー症候群』 20頁。
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  97. ^ 宮尾益知、滝口のぞみ『夫がアスペルガーと思ったときに妻が読む本』 53頁
  98. ^ 加藤進昌『大人のアスペルガー症候群』 118頁。
  99. ^ 東京都発達障害者支援センター(TOSCA) HP
  100. ^ カトリン・ベントリー 2008, p. 221.




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