ウルフ・トーン オッシュの遠征軍と1798年の反乱

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ウルフ・トーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 00:04 UTC 版)

オッシュの遠征軍と1798年の反乱

『アイルランド侵略の終焉あるいはフランスのアルマダの崩壊』より(原題:End of the Irish Invasion ; — or – the Destruction of the French Armada 、1797年)ジェームズ・ギルレイがオッシュの侵略を描いたもの。

フランスの総裁政府はトーンが予言したアイルランドの革命を支持するためアイルランドに軍隊を派遣することを計画していた[10]。総裁政府はフィッツジェラルド卿英語版とアーサー・オコナーからトーンの話を裏付ける情報を手に入れ、ルイ=ラザール・オッシュの指揮下に遠征隊を派遣した。1796年11月15日、43艘の船と、アイルランドで展開するための大量の軍事物資を持った1,4450人の兵で構成された遠征隊はブレストを出発した[11]。トーンは「副将軍 スミス」として同行した。そして強風で上陸できないフランスの航海士の航海術を軽視した。強風が収まるのをバントリー湾英語版で数日待ったが、結局フランスに戻った。トーンはノイヴィートの戦い英語版でオーストリア軍を破った後、フランスの軍事大臣となったオッシュの下、フランス軍のために数ヶ月間働いていた。1797年1月、バタヴィア革命の際作られた衛星国であるローランド地方のバタヴィア共和国よりアイルランドへの遠征隊の準備に従事した。しかし副将ヤン・ウィレム英語版下の海軍が、テセル島の港において夏に吹く不利な東風や8月半ばからのイギリス北海艦隊の妨害により遅れていた。結局、10月の第一週も海上にとどまり、ダンカン提督の率いるイギリス艦隊にキャンパーダウンの海戦で敗北した。トーンはそれからパリに戻った。かつてアイルランドへの遠征軍指揮の任務を担っていたオッシュ将軍は、ライン川のフランス軍前線における任務から帰還した後、ヴェッツラーで結核により1797年9月に死亡した。

一方でユナイテッド・アイリッシュメンの会員は推定30万人に上ったが、1797年からの激しい反ゲリラ活動によりかなり弱体化した上、フランスの援助なしで指導的な立場に立たなければならなくなった。トーンがこの時期に数回面会したナポレオン・ボナパルトはオッシュが熱心にアイルランド遠征を引き受けたのに比べると意欲がなく、アイルランドの反乱 (Irish Rebellion of 1798が勃発した1798年にはエジプト遠征に着手している。それゆえに、トーンが総裁政府にアイルランド反乱に効果的な援助を求めたとき、アイルランドの海岸の異なる地点で同時に行う小規模な急襲しか約束を取り付けられなかった。このうちハンバート将軍率いる一隊はメイヨー県キララ英語版近郊での上陸に成功、レイクとチャールズのコーンウォリス兄弟に征服されるまでの間ではあったがコノート(特にカスルバー)でいくつか成功を収めた。敗北の後トーンの兄マシューは逮捕されて軍法会議にかけられ、絞首刑となった。ナッパー・タンディー英語版同行の元での第2陣はドニゴール県で壊滅した。これは、ハーディ将軍とジャンバティスト=ボンパート海軍提督 (en率いる3000の兵で構成された第3陣にトーンが参加している間のことであった。この第三陣では1798年10月12日にスウィリー湾のバンクラナ英語版で英国の小艦隊に遭遇した。トーンはトーリー島の海戦の前にフリゲート艦で逃げるというボンパートの申し出を断り、彼が乗っていたオッシュ号が降伏し彼は刑務所に送られることとなった。


  1. ^ McGarry,S.,Irish Brigades Abroad (Dublin 2013) p.175
  2. ^ a b c Tone, Theobald Wolfe. The Autobiography of Theobald Wolfe Tone, Sean O'Faolain ed., Thomas Nelson & Sons Ltd., London, 1937
  3. ^ Herr p.26
  4. ^ Lee, Sidney, ed. (1899). "Tone, Theobald Wolfe" . Dictionary of National Biography (英語). 57. London: Smith, Elder & Co. p. 23.
  5. ^ a b c Webb, Alfred. "Tone, Theobald Wolfe", A Compendium of Irish Biography, M.H. Gill & Sons, Dublin, 1878
  6. ^ a b Milligan, Alice L., Life of Theobald Wolfe Tone, J.W. Boyd, Belfast, 1898
  7. ^ a b c Hull, Eleanor. A History of Ireland and Her People, Vol.2, 1931
  8. ^ Tone, Theobald Wolfe; William Theobald Wolfe Tone (1831). The Life of Theobald Wolfe Tone. London: Whittaker, Treacher and Arnot. pp. 213–214. http://books.google.com/books?id=EJMEAAAAYAAJ&pg=PA214 2008年7月30日閲覧。 
  9. ^ Tone, Theobald Wolfe; William Theobald Wolfe Tone (1831). The Life of Theobald Wolfe Tone. London: Whittaker, Treacher and Arnot. pp. 213–214. http://books.google.com/books?id=EJMEAAAAYAAJ&pg=PA214 2008年7月30日閲覧。 
  10. ^ Lefebvre, Georges (1967). The Directory. New York: Vintage. p. 77. OCLC 1015771 
  11. ^ Ian McBride, Eighteenth century Ireland, (Dublin: Gill & Macmillan, 2009) p.367
  12. ^ C. Costello, A Class Apart The Gentry Families of County Kildare (Nonesuch, Dublin 2005) p98.
  13. ^ W. Nolan (ed.), Kildare History and Society (Geography, Dublin 2006) p.395. ISBN 978-0-906602-57-7.
  14. ^ History of Ireland in the Eighteenth Centuryvol 5, by W. E. H. Lecky, Longmans, Greens and Co. (London), Pg.79 (cabinet ed., 5 vols., London, 1892).
  15. ^ Durney J. (2001) On the one road, Naas, p176.
  16. ^ FourCourtsPress.ie


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ヴォルフトーン

(ウルフ・トーン から転送)

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ヴォルフトーン: Wolfton )、またはウルフトーン: wolf tone )とは演奏音と楽器の胴体の共振周波数が一致した時に発生する、原音の周波数を増幅/拡大した、持続し共鳴する人工的な倍音である。周期的な唸りを伴う事が多く、それが動物のの吠え声に例えられた事からこう呼ばれる。 類似の名称を持つ現象としてwolf intervalがあるが、これは古典音律において、純正音程から大きく外れているために、同時に鳴らすと強いうなりを伴う音程の事を指す。




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