イソリキリチゲニン イソリキリチゲニンの概要

イソリキリチゲニン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/16 09:36 UTC 版)

イソリキリチゲニン
識別情報
CAS登録番号 961-29-5 
PubChem 638278
ChemSpider 553829 
EINECS 237-316-5
KEGG C08650 
ChEBI CHEBI:310312 
ChEMBL CHEMBL129795 
特性
化学式 C15H12O4
モル質量 256.25 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

構造・性質

極限構造式。実際は分子全体に共役系が広がっている。

分子式はC15H12O4であり [1] [2] 、モル質量は256.257 (g/mol)である [1] 。 常温常圧では黄色の固体であり [2] 、常圧での融点は200 ℃から204 ℃ほどである [3]カルコンが3つのフェノール性水酸基を持った構造をしており、水酸基を1つも持たないカルコンの常圧での融点が57 ℃前後であるのと比べて、140 ℃以上も融点が高い。

所在

天然に存在する有機化合物の1種である。具体的には、生薬の1種である甘草の成分の1つとして含有されていることが知られている。

生理活性

幾つかの生理活性が見られる。例えば、ラットの成体の視床下部に存在する神経細胞を用いた実験では、その神経細胞に存在するセロトニン受容体の1種である5-HT2C受容体英語版に対して、拮抗作用を持つことが判明した [4] 。 また、マウスに対しては催眠作用を発揮することが見出されている [5] 。 その構造にベンゾジアゼピン骨格を持っておらず、したがってベンゾジアゼピン系薬物ではない。しかしながら、イソリキリチゲニンもベンゾジアゼピン系薬物と同様に、マウスの脳内のGABAA受容体アロステリックに調節する作用を持つことが示唆されている。と言うのも、ベンゾジアゼピン系薬物び拮抗薬であるフルマゼニルを同時に投与すると、イソリキリチゲニンが持っている催眠作用は完全に打ち消されるからである [5] [注釈 1] 。 その他、同じくマウスでは、免疫抑制作用も見い出された [6]


  1. ^ イソリキリチゲニンと同様に、非ベンゾジアゼピン系薬物でありながら、ベンゾジアゼピン系薬物の拮抗薬であるフルマゼニルで効果が打ち消される薬物は他にも存在する。例えば、ゾルピデム(zolpidem)、ゾピクロン(zopiclone)などである。このように、イソリキリチゲニンだけが特別というわけではないことを断っておく。
  1. ^ a b Isoliquiritigenin
  2. ^ a b イソリキリチゲニン、Isoliquiritigenin
  3. ^ Isoliquiritigenin (Melting-Pointの項)
  4. ^ Rikkunshito and isoliquiritigenin counteract 5-HT-induced 2C receptor-mediated activation of pro-opiomelanocortin neurons in the hypothalamic arcuate nucleus.
  5. ^ a b Cho, S; Kim, S; Jin, Z; Yang, H; Han, D; Baek, N. I.; Jo, J; Cho, C. W. et al. (2011). “Isoliquiritigenin, a chalcone compound, is a positive allosteric modulator of GABAA receptors and shows hypnotic effects”. Biochemical and Biophysical Research Communications 413 (4): 637–42. doi:10.1016/j.bbrc.2011.09.026. PMID 21945440. 
  6. ^ Isoliquiritigenin Attenuates Adipose Tissue Inflammation in vitro and Adipose Tissue Fibrosis through Inhibition of Innate Immune Responses in Mice


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