アプリケーションサービスプロバイダ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/23 03:21 UTC 版)
概要
ASPはアプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で顧客にサービスとして提供することであり、それを行っている事業者である。通常、利用者はブラウザソフトなどを使用してインターネットなどのネットワークを経由し、遠隔地からASPのサーバにアクセスすることで、そのサーバ内に格納された各種アプリケーションソフトの機能をサービスの形で利用する。
この「ASP」という用語自体は1998年ころから用いられるようになった比較的新しい用語ではあるが、こうしたサービス形態はそれ以前から存在していた。コンピュータ(およびコンピュータ上で走るソフトウェア)を遠隔利用するというサービス形態自体は1960年代より存在していたのである。もともと、業務上使用するコンピュータは、ほぼメインフレーム(大型計算機)しか存在しなかったと言えるような時代、メインフレームではTSSをベースにしたユーティリティ・コンピュータ、VANなどの利用法があった[1]。日本でも1970年代には、企業・会計事務所・税務事務所など向けに科学技術計算・販売在庫管理処理・税務・会計計算処理などを提供する「(計算機)レンタルサービス」「計算センター事業者」などと呼ばれるものが数多く存在した[1]。高い時間単価を支払ってそうしたサービスを遠隔利用することが一般的であった時代があったのである。しかしその後、外部業者の大型コンピュータのサービスをレンタルすることは避け、自社に小さめコンピュータを導入するようになり、1990年代に入ると、メインフレームと比べてかなり小さくてかなり安価な「ワークステーション」や「PC」などと呼ばれるコンピュータが登場し、企業ではそれらを導入してクライアント/サーバ方式で社内で完結したシステムを(安価に)構築する方法が一般的となった[1]。それが普通だと見なされる状況になったのである。
その後、1990年代半ばになると、米国で、業務の標準化やインターネット環境が整備(ADSLやFTTHなどの回線の高速化、および低価格化)されるようになった状況を利用し、再びかつてのように、ネットワーク経由でサービスを提供する事業者が現れ、特定の企業のアプリケーションを預かるようなホスティング事業者なども現れた[1]。日本でも一歩遅れて2000年代より、同様のことが普及しはじめた。米国で1998年ごろからこうした事業者を「ASP」と呼ぶことが行われるようになり、1999年5月には米国でASP Industry Consortiumという業界団体が設立されたのである[1]。
類似用語には以下があるが、ASPを別の観点から呼んだものとも言える。
- ユーティリティコンピューティング - サービスを使用した量(従量制)で支払う。
- Software as a Service (SaaS) - ソフトウェアをサービスの形で提供する。
- クラウドコンピューティング - 主にインターネットを経由してサービスを提供する。
- マルチテナント - システム環境を複数で利用する。
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