アフィン空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/27 04:25 UTC 版)
形式的な定義
集合 A と体 K 上の n-次元ベクトル空間 V の組 (A, V) が K 上の n-次元アフィン空間であるとは、次の 3 条件が成り立つときにいう。
- 任意の P ∈ A, a ∈ V に対し、を満たす Q ∈ A はただ一つ存在する。これを Q = Ta(P) あるいは Q = P + a と記し、a が定める写像 Ta : A → A を a の定める平行移動という。
- 任意の a, b ∈ V に対し、が成り立つ。すなわち、任意の点 P ∈ A に対し、(P + a) + b = P + (a + b) が成り立つ。
- A の任意の二点 P, Q の組 (P, Q) に対し、Q = P + a を満たす a ∈ V がただ一つ定まる。これをと表す。これを(Q = P + a が成り立つことを示唆して)a = Q − P と表すこともある。
このとき、A をアフィン空間 (A, V) の台集合とよび、V を付随するベクトル空間、随伴ベクトル空間、同伴なベクトル空間などとよび、V = V(A) あるいは V = Vect(A) などと表す。また、V の元を A のあるいは A 上の幾何ベクトルとも呼ぶ。
紛れのおそれが無いならば、アフィン空間 (A, V) を単に台集合 A のみで表し、アフィン空間 A などと呼ぶことがある。
定義から、平行移動作用 T: A × V → A; (P, a) → P + a により、V は A に推移的に作用すること、各 a に対し作用素 Ta は V から A への全単射を与えることなどがわかる。
- ^ Berger 1987, p. 32
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