対称式
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2024年9月) |
対称式(たいしょうしき、symmetric polynomial)あるいは対称多項式(たいしょうたこうしき)とは、変数を入れ替えても変わらない多項式のことである。
概要
2 変数の多項式
- f(x, y) = x2 + x y + y2
において、x と y を入れ替えた式
- f(y, x) = y2 + y x + x2 = x2 + x y + y2
は、元の f(x, y) とは全く変わらない多項式である。このように、変数を入れ替えても変わらない多項式のことを対称式という。
似たようなものに交代式がある。交代式は
- g(x, y) = x2 − y2
のように、変数を入れ替えると、もとの式と符号が変わる
- g(y, x) = y2 − x2 = − g(x, y)
という性質を持つ式である。符号が変わるだけなので、偶数個の交代式の積や、交代式を 2 乗した式などは対称式となる。例えば
- g(x, y)2 = (x2 − y2)2
は対称式である。
任意の対称式は、基本対称式
- s1 = x + y
- s2 = x y
の多項式で書ける。例えば
- f(x, y) = x2 + x y + y2 = (x+y)2 − x y = s12 − s2
である。
こういった対称式の概念は、 2 変数に留まらず、3 変数以上の多項式にも拡張される。例えば
- f(x, y, z) = x3 + y3 + z3
- f(x, y, z, w) = 2 x + 2 y + 2 z + 2 w + 3 y2 z2 w2 + 3 z2 w2 x2 + 3 w2 x2 y2 + 3 x2 y2 z2
は、それぞれ、3 変数と 4 変数の対称式であり、どの 2 つの変数を入れ替えても、元の多項式と変わらない式である。
アルベール・ジラールは、1629年に「代数学の新しい発明」(Invention Nouvelle en l'Algèbre) おいて、n 次の代数方程式の根と係数の関係を発見した。代数方程式の係数は n 個の根の基本対称式と呼ばれる対称式により書かれるというこの関係は、一般の次数の代数方程式の構造を調べるための重要な足掛かりの一つとなった。さらに、ジラールは、これらの関係を用いて虚数の有用性を説いた。
18世紀の後半になると、任意の対称式は基本対称式によって書くことができる事が、ウェアリングやヴァンデルモンドらによって示され、ラグランジュによる、代数方程式の根の置換の研究へとつながっていった。
定義
対称式
Λn = {1, 2, 3, …, n} とし、Sn は Λn に作用する n 次の対称群とする。
n 変数の多項式 f(x1, x2, …, xn) が、任意の σ ∈ Sn に対して
- f(x1, x2, …, xn)σ = f(xσ(1), xσ(2), …, xσ(n)) = f(x1, x2, …, xn)
を満たすとき、f(x1, x2, …, xn) を、対称多項式あるいは対称式という。
- 要は f は変数をどのように入れ替えても不変な多項式である。
同様に有理式
- symmetric polynomialのページへのリンク