cam Lasky
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/15 14:31 UTC 版)
Cam Lasky(キャム・ラスキー、年齢非公開)は、日本の作曲家・トラックメイカー。中央区 (東京都)出身・京都市在住。KWAIOTO Records 所属。
注釈
- ^ 当初、伊藤若冲の作品群を音楽化することを計画していたが、取材先の錦市場や石峯寺 (京都市)で聞いた付喪神や百鬼夜行などの狐狸妖怪、四神相応の話から方向を転換し平安時代の武将・渡辺綱伝説から、はじめることになった。シリーズ名の『Occulted City』はデイヴィッド・ピース『占領都市 TOKYO YEAR ZERO II』(文藝春秋)で使われた表現を拝借したもので、「これは発明」とツイッターで称賛している。日本語表記『呪法都市』は先の四神相応からの意訳である。
- ^ 前身のハウス・ミュージックレーベルでリリースした「トリップホップやトラップを4つ打ちでやってみた」楽曲を「それはハウスじゃなくディープダブステップだ」と指摘されたことで「じゃレーベル作るか」となった。
- ^ サプライチェーン、権利関連などのマネジメントが個人では煩雑になるため法人での処理へ丸投げして楽をしようという魂胆から。
- ^ ただし、扱う題材のほとんどが伝承など完全なフィクションとは言い切れない怨霊や怪談なだけに、怪異に襲われることも多く『Occuted City 呪法都市』シリーズは、たびたび中断されている。シリーズのインスパイア源が変わったり、インターバルが長い場合、大抵が霊障によるものである。また本人はそうした事象に懐疑的で恐怖心を持たないため実生活に支障が出るレベルに達するまで気づくことができない。
- ^ かねてから明治・大正・昭和中期までを(和楽器・オーケストレーションなどではなく)現在進行形のテクノロジー・ベースでの表現で追求したかった Cam Laskyにとって、その後の制作体系に大きく影響を与えるエポック作となった。このことは2022年のロングインタビュー https://freakbeatsedm.substack.com/p/cam-lasky-live-and-direct でも語られている。
- ^ リスナーに意図した順番で聴いてほしい、という制作者のわがままを押し付けられる唯一のフィジカル・メディアとして『canivores Album』のカセットテープ版をリリースするが、世界的なパンデミックの影響で米国の契約工場での生産が困難となり、自家ダビングの手作業生産で50本のみの販売となった。その結果、わずかばかりのレーベルストックを除き数日で完売してしまった。
- ^ 劣化の少ない制作時に近い音質で聴いて欲しい、というアーティストのわがままと手に取ることの出来るモノとしてのフィジカル音楽作品を両立させる苦肉の策として、デジタルデータを詰め込んだSDカードを収納する特殊CDパッケージでリリースすることになった。
- ^ 高校時代、講師から「これを音楽にしてみなよ」と1977年日生劇場上演の舞台『天守物語』(坂東玉三郎 (5代目) 主演・冨田勲音楽)のレコードを渡されたことで泉鏡花作品に傾倒することになる。さらに音大在学中に公開された映画『帝都物語』で坂東玉三郎 (5代目)が泉鏡花を演じたことに刺激を受け、ミニマル交響曲化を試みるも力量不足で断念した過去がある。
- ^ 百物語を音楽で再現しようという試み。このシリーズの「百」は曲数ではなく、アルバム・シングル問わず鏡花作品100話を音楽化するというもの。シリーズ最後の100話目は、物語のスケール・知名度・登場するお化けの数までが鏡花作品の頂点ともいえる『天守物語』に設定されている。また「肉の門を抜け、涙の橋を渡り、骨の山を登る」 坂口安吾の頭の中で鳴り響く(作曲する)鏡花の音楽シリーズ、という裏設定がある。ここでいう坂口安吾は、デイヴィッド・ピース『占領都市 TOKYO YEAR ZERO II』の語り部で、帝銀事件の犠牲者たちが集う怪談会に召喚され事件の真相を知っていくキャラクター。鏡花作品と『東京三部作』に「直接の音楽的連続性はないものの、精神的な入れ子構造になっている」とツイッターで語られている。
- ^ 絵本や画集のほとんどを所有し、中川学ファンを公言している。またアルバムをローンチしていることをいいことに何かと理由をつけて押しかけては、サインやイラスト、似顔絵などをねだる迷惑行為を繰り返している。
- ^ 『Kyoka Hyaku 鏡花百』は、ドルビーアトモス 7.2.4chで制作されており、デジタル・サービス・プロバイダーとストリーミング・サービスからは 16bit/32kHz 、オフィシャル・サイトからは 24bit / 96kHz のダウングレード版で提供されている。
- ^ メタバース実験として OnCyber にて、『Kyoka Hyaku メタバース・ギャラリー』 https://oncyber.io/kyokahyaku を公開している、
- ^ 『アッシャー家の崩壊』は子供の頃からの愛読書であったが故に、のちにその影響を強く意識することになる泉鏡花(の特に世界観)に魅了されたのだろうとTwitterで呟いている。
- ^ 偏愛映画は『エンゼル・ハート』(1987)の他に同じアラン・パーカーの『ミシシッピー・バーニング』(1988)、スタンリー・キューブリック『シャイニング』(1980)、デイヴィッド・リンチ『ツイン・ピークス The Return』(2017)とクリストファー・ノーラン作品で、リマスタリングとモノクロ化を施した私家版を繰り返し楽しむ、という異常な観賞方法を一部Twitterで語っている。
- ^ 伝承や古典からというよりも、第1期『Occulted City 呪法都市』は、月岡芳年の歴史絵・武者絵や月百姿からインスパイアされたものが殆どで、カバーアートにも再構築された浮世絵が使用されている。
- ^ 『Occulted City GION REBOOT』と前作EPで、作詞・作曲とボーカルを務めているサマンサ・ギャングに渡す適切な英文資料がなかったため、アニメ『モノノ怪』6・7話「のっぺらぼう」(英語字幕版)を送ったところ、いわゆる小泉八雲『貉』とは別次元の深淵な世界観が出来上がることになった。
- ^ 2019年1月当初、Vol.17のモチーフは玉藻前だったが、殺生石の1つから削り出された地蔵尊が祀られる東山・真正極楽寺の真如堂を取材後、https://twitter.com/cam_lasky/status/1083617173505957888/ 数日間、高熱と頭痛と度を越した怪異に悩まされ周囲の反対もあって制作は中止され、怪異内容に触れるツイートも全て削除されている。
- ^ シリーズ開始当初しばらく、『Occulted City 呪法都市』のサブジャンルになっていたが、「音響・音楽的な耽美派」を追求するため、独立したシリーズに改変された。
- ^ 当初、『こちら葛飾区亀有公園前派出所 小説』収録の中禅寺秋彦の老後が描かれる「ぬらりひょんの褌」で完結させる予定だったが『ヒトごろし』を制作することになり、重要人物の登場する『今昔百鬼拾遺 (小説シリーズ) 鬼』がシリーズ構成に組み込まれた。それにより『河童』『天狗』が芋づる式に、さらには『百器徒然袋――雨』『百器徒然袋――風』までもが組み込まれ、都合3年に渡る長期シリーズ化が確定した。
- ^ 2021年4月 渋谷区立松濤美術館で展示されたバリー・ジュール・コレクションでのフランシス・ベーコン (熱狂的なファンであることを公言している)作品の音楽化を準備していたが、同時期に熟読していた『Xと云う患者 龍之介幻想』に浸食されるかたちで本書インスパイアドのシリーズ開始になった。
- ^ 横溝正史の原作に(発刊当時、GHQの検閲および統制によるものと思われるが、1946年から1952年までの時代設定であるにもかかわらず)占領描写が一切ないことから、音楽的時代感補完を行う目的と、デイヴィッド・ピース『東京三部作』の音楽的続編という位置づけから<当時流行したスタンダード・ジャズを音響効果的に差し込んでいる。
- ^ このシリーズは韓国の自宅にスタジオを構えるシンガーソングライター、サマンサ・ギャングとの共作名義の作品である。Cam Laskyの粗いデモに、サマンサが作詞・作曲・歌唱した音声データを返送し、編曲され完成するスタイルで制作されている。
- ^ 本作ではカセットテープレコーダーが象徴アイテムなだけに、当初からカセットテープ・アルバムのリリースが予定されている。また『Kyoka Hyaku 鏡花百』同様、ドルビーアトモスで制作されており、ストリーミング・サービス用には収録曲の多いアルティメット版、オフィシャルサイトでは更にアルティメット高音質版がリリースされる。
- ^ 当初は『TOKYO YEAR ZERO Album』制作終了の喪失感を埋めるために、直後からシリーズ構成をはじめたものの、制作がはじまると「なんらかのパワーを持つモノが振り下ろす不条理への怒り」がモチベーションとなり、以後の作品制作の根底思想につながった。とツイッター上で語っていたが、そうした思想や政治的な発言が他者からのDM攻撃や発言削除があったことで、関連ツイートを全て削除。ソーシャルメディア上の文言として触れるのではなく、作品内やタイトルなど自分の立ち位置からの手法での表現に転換した。
- ^ 福島第一原発事故の内幕を描いた大鹿靖明のノンフィクション『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』(講談社文庫)を音楽化するために綿密な取材を続けていたが、周囲の猛反対により断念することになったタイミングで、同じ講談社文庫から『東京棄民』発刊案内があったため、タイトルとあらすじだけで即座に制作に移った、という経緯がある。
出典
- ^ “レーベル設立時の目標でもあったGHQが撤退した1952年の夏から幕を開ける”あの鈍器本シリーズ”. Twitter. 2022年10月31日閲覧。
- ^ “V.I.V.E.K Japan Tour In Kyoto at Octave, Kansai”. RA. Resident Advisor. 2023年3月17日閲覧。
- ^ Matteo Belfiore (2018年12月27日). “「東京百」 – ジュゼッペ・デ・フランチェスコ”. ADFウェブマガジン. 青山デザインフォーラム. 2023年3月17日閲覧。
- ^ “営業自粛の京都METROをサポート、59組のDJ・アーティストが参加したドネーション形式のコンピレーション・アルバムを発表”. clubberia (2020年4月24日). 2023年3月17日閲覧。
- ^ デイヴィッド・ピース (2022年3月1日). インタビュアー:リチャード・メドハースト. “作家デイヴィッド・ピース:占領下の日本で起こった歴史ミステリー「東京3部作」が完結”. nippon.com 2023年3月18日閲覧。
- ^ "戦後最大の謎〈下山事件〉を描いたデイヴィッド・ピースのミステリ『TOKYO REDUX 下山迷宮』にインスパイアされたCam Laskyの音楽アルバムがリリース。" (Press release). 株式会社文藝春秋. 24 August 2021. 2023年3月17日閲覧。
- ^ “【NEWS】Cam Lasky アルバム『TOKYO REDUX Album Part.1 THE MOUNTAIN OF BONES』配信開始 David Peaceの小説『TOKYO REDUX 下山迷宮』を音楽化したアルバム3部作の第1弾”. indiegrab (2021年8月29日). 2023年3月18日閲覧。
- 1 cam Laskyとは
- 2 cam Laskyの概要
- 3 来歴
- 4 ディスコグラフィ
- 5 EP
- 6 関連項目
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