テンソル積
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/28 09:22 UTC 版)
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数学におけるテンソル積(テンソルせき、英: tensor product)は、線型代数学で多重線型性を扱うための線型化を担う概念で、既知のベクトル空間・加群など様々な対象から新たな対象を作り出す操作の一つである。そのようないずれの対象に関しても、テンソル積は最も自由な双線型乗法である。
原型はハスラー・ホイットニーによる1938年の論文"Tensor products of Abelian groups."が初出である。
共通の体 K 上の二つの ベクトル空間 V, W のテンソル積 V ⊗K W(基礎の体 K が明らかな時には V ⊗ W とも書く)はふたたびベクトル空間を成す。ベクトル空間のテンソル積を繰り返して得られるテンソル空間は物理的なテンソルを数学的に定式化する。テンソル空間に種々の積を入れてさまざまな多重線型代数・クリフォード代数が定式化されるが、その基本となる演算がテンソル積である。
定義
基底を用いた定義
共通の体 F 上のベクトル空間 V, W に対して、V の基底 B = {ξ1, ξ2, …, ξn} および W の基底 B′ = {η1, η2, …, ηm} をとるとき、これらの直積 B × B′ が生成する nm-次元の自由ベクトル空間
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テンソル積の普遍性を表す可換図式 テンソル積は普遍性を用いて定義することもできる。この文脈では、テンソル積は同型を除いて一意的に定義される。ベクトル空間のテンソル積は以下の普遍性を満たす:
- テンソル積の普遍性
- 双線型写像 φ: V × W → V ⊗ W が存在して、任意のベクトル空間 Z と双線型写像 h: V × W → Z が与えられるとき、h = ∘ φ を満足する線型写像 : V ⊗ W → Z が一意に存在する。
この意味において、φ は V × W から作られる最も一般の双線型写像になっている。特に、これにより(一意的に定義される)テンソル積を持つ任意の空間の集まりが対称モノイド圏の例となることが導かれる。テンソル積の一意性は、上記の性質を満たす任意の双線型写像 φ′: V × W → V ⊗′ W に対し、同型写像 k: V ⊗ W → V ⊗′ W が存在して φ′ = k ∘ φ を満足することを言う。
この特徴付けを用いるとテンソル積に関する主張を簡明に示すことができる。例えば、テンソル積が対称であること、すなわち自然同型
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