SCP-173とは? わかりやすく解説

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SCP-173

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/12 08:13 UTC 版)

SCP-173
ゲーム『SCP: Secret Laboratory』に登場するSCP-173
初登場 4chan(/x/ (en)  )
作者 Wesley "Moto42" Williams
詳細情報
愛称 彫刻 - オリジナル
種族 彫刻
階級 Euclid
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SCP-173は、シェアードワールド型創作サイト『SCP財団』に登場する架空の鉄筋コンクリート造の彫刻[1][2]。2007年6月に4chanの超常現象板("/x/")上に投稿されたSCP-173に関する記述は、SCPオブジェクトに関する最初の記事となり、本作に基づく数多くの『SCP財団』の作品の起源となった。

当初SCP-173の記事には、Keisuke Yamamotoにより撮影された、加藤泉による実在の彫刻「無題2004」の写真が添付されていた[3]。「無題2004」の写真は被写体あるいは写真を商用利用しないという条件の下で加藤により利用を認められていたが、「無題2004」が元来持つ著作物としての文脈が『SCP財団』に汚染されていること、また写真をサイト上に残置していると商用利用の防止が困難であることから、2022年に『SCP財団』側から自主的に除去された[3]。

作中の設定において、SCP-173は致死的な特性を持つ敵対的な存在である[1][2]。何者かに観察されている状態では動くことがないが、まばたきのように一瞬でも目線を外されると高速で対象者に接近して頸部の圧断や絞首といった方法で殺傷する[1][2]。また、血液と排泄物の混合物を常時排出している[2]。

物語世界内での説明

原作

SCP-173はクライロンブランドのスプレーペイントで塗装された、鉄筋コンクリート造の彫刻である[4]。『SCP財団』のSCPオブジェクトはSafe、Euclid、Keter、Thaumielなどのオブジェクトクラス分類で管理されており[5]、うちSCP-173は収容が不完全であり予測不能性を含んだEuclidに分類されている[2]。SCP-173が何者からも観察されておらず、収容房内に単独で存在する場合、石を摩擦するような音が生じる[1]。またSCP-173は血液と排泄物の混合物である赤褐色の物質を分泌しているが[4]、当該物質を生産・排出する機序は不明である[6]。直接的に観察されていない場合、SCP-173は頸部を破壊することで人間を攻撃する[4]。

SCP-173の収容房はサイト-19として知られる極秘施設に所在する。SCP-173の収容プロトコルでは、いかなる時であれ人間が収容房に入室する場合は少なくとも3人以上である必要がある。SCP-173による攻撃を防ぐため、3人のうち2人は常時SCP-173を注視し、いずれかがまばたきをする際にはもう1人に警告しなければならない。血液と排泄物を除去するため、収容房は2週間に1回清掃されなくてはならない[7]。

派生作品

SCP-682

SCP-173は他のSCPオブジェクトとも直接的な関係性を持つ。例として収容困難とされるKeterクラスオブジェクトである敵対的爬虫類型実体SCP-682と交戦した記録があり、SCP-682の生命力ゆえに殺害に失敗したもののこれに甚大な損耗を与えている[2][8]。また、瞼を持たない単眼のSafeクラスオブジェクトであるSCP-131は懐いた人間に危険を知らせる程度に友好的であり[9]、まばたきを行わない性質を鑑みてSCP-173の監視役として実験に投入されたことがある[10]。

ある物語では、SCP-173が一定周期で指数関数的な分裂増殖を繰り返して数十万体規模に膨れ上がった[2]。当該作においては人類の絶滅が間近に迫り、確保されたSCP-173群は地球を脱して月面に輸送された[2]。

容姿

SCP-173の物理的外見は登場するメディアによって異なる。元の画像がWikiから除去される以前においては背の高い丸みを帯びた人型実体として一貫していたが、2022年以降、人型実体から奇妙な形態に至るまで多岐にわたっている[11]。

具体的なSCP-173の外見例を以下に示す。

歴史

SCP-173のオリジナルの記事は、Wesley "Moto42" Williamsにより2007年6月22日に4chanの超常現象板(/x/)に投稿された[12]。この投稿は最初に執筆されたSCP報告書となり、また執筆様式と臨床的語調(クリニカルトーン)を含めて『SCP財団』の創作物の基礎となった[13][14]。投稿当初本作にはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが適用されていなかったが、『SCP財団』がSCP-173を含めてWikidotに移動したのち、『SCP財団』全体にCC BY-SA 3.0のライセンスが適用されるという事態が発覚した[15]。このライセンス関係の問題が顕在化した2012年時点で、元々4chanに投稿されていたSCP-173の著作権は依然として著者Moto42が独占的に所有している状態にあった[15]。その後、2013年10月にMoto42がCC BY-SA 3.0下で作品を公開することへの合意を表明し、文章に関するライセンス問題は収束した[15]。

4chanの投稿に使用されたオリジナルの画像はKeisuke Yamamotoが加藤泉による彫刻「無題2004」を撮影したものである[16]。Moto42は画像の利用にあたって両名のいずれからも許諾を取らなかった。2014年に『SCP財団』の英語版支部と日本語版支部が加藤とのコンタクトに成功した。加藤は非商用目的での利用に限りSCP関連作品での画像の使用を認め、この要請に違反した者には法的措置を取るとした。これを受けてSCP-173の記事にはライセンスに関係する警告文が追加された[15]。

加藤の要望にも拘らず「無題2004」で金銭を得ようとする商用利用者が後を絶たなかったこと、そして『SCP財団』に適用されているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに写真が適合しないことから、2022年に画像と警告文は英語版記事から自主的に除去された[17]。Moto42の要望により、読者が彼ら自身の彫刻のインスピレーションを思い描けるよう、代替画像は用意されなかった[11]。SCP-173の画像除去を受け、アーティストが独自解釈で創作を行うコラボレーションが生まれた。これらのデザインは『SCP財団』の指定されたページに掲載されており[17]、冗談として「ピーナッツギャラリー」と呼称されている[15]。

評価

SCP-173は読者から主に肯定的に評価されている。SCP-173は最も有名かつ人気なSCPオブジェクトの1つと考えられており[18]、記事は英語版支部において最高評価である[19]。SCP-173はコミュニティにとってよく恐怖とユーモアの両方の源となっている。James PotvinはScreen Rantの記事において、侵食を受けたコンクリートと鉄筋の形状、そして血液と排泄物の絶え間ない分泌により、生きた彫像としての概念が遥かにグロテスクに取り入れられていると指摘した[4]。オリジナルの「無題2004」が持つ膨らんだ形態と曲率から、「ピーナッツ」という愛称もコミュニティに定着している[20]。

オリジナルの4chanでの投稿に見られる文書形式とクリニカルトーンも既存のクリーピーパスタや他のインターネット上の物語から一線を画す肯定的な側面とされており、1個の落ちに頼る通常の形式でなく、未知なるものに対する謎や恐怖を強調している。Gita JacksonはKotakuの記事において、本作の恐怖は物語の出来事をそのまま説明することに由来するのでなく、実体が脱走した場合に何が起こりうるかという可能性を用いていることに起源していると主張した[21]。

一方で、オリジナルの記事における「無題2004」の無断使用は批判されている。Tosha R. Taylorはエッセイ"Horror Memes and Digital Culture"において、SCP-173の知名度が「無題2004」を上回っていることから、「無題2004」を危険な異常存在の代表以外に結び付けることが難しい可能性があると指摘した[6]。TaylorはSCP-173が異常存在というアイディアをオリジナルの彫刻に投影している点を指摘しており[6]、本来の彫刻が持つ意図と目的がSCPに汚染されていることは実際に2022年の画像の除去時にも問題視されている[3]。

何者にも観察されていない間にのみ行動可能という能力は、『ドクター・フー』の嘆きの天使[17][22]や『マインクラフト』のクリーキング[23]といった類似する実体と比較されている。特に嘆きの天使はその初登場作「まばたきするな」の放送時期とSCP-173の投稿時期が近いがゆえに、SCP-173にインスピレーションを与えたと推測されることがある[24]。一方でJustin Jonesは修士論文の中でこの仮説に言及し、人間の感覚と恐怖との生得的な繋がりから、観察に基づくオブジェクトの運動が収束的に導かれていると推論した[5]。SCP-173は同じく人気のSCPオブジェクトであるSCP-096とも比較されている。SCP-096はSCP-173と正反対の反応を示す人型実体であり、何者かが自身の顔面を視界に入れた際に観察者に対して敵対的性質を示す[5]。

ゲーム『SCP – Containment Breach』におけるSCP-173の登場も賞賛を受けている。Gab HernandezはScreen Rantの記事において、2010年代におけるホラーゲームの敵キャラクターベスト10にSCP-173を選出した[25]。Elias RodriguezとNicholas PenceもまたDualshockersにおいて、ホラーゲームの敵キャラクターベスト18のうちSCP-173を第1位としている。両名はSCP-173について、観察されていない時にのみ行動する性質上プレイヤーの最大限の注意を常時要求するため、ゲーム内における他の脅威との相性が良いと指摘した[26]。

メディアでの登場

SCP-173が登場する『SCP: Secret Laboratory』のティーザー予告

SCP-173は創作されて以降、様々な形態のメディアに登場している[27]。

  • SCP-173はビデオゲーム『SCP – Containment Breach』で主要な敵対者として登場する[28][29]。SCP-173はゲームの導入部で最初に登場し、プレイヤーであるDクラス職員D-9341が他の2人とともに未特定の実験を目的としてSCP-173の収容房に派遣される。収容房の外で発生したアクシデントの影響により、SCP-173は外部への脱走が可能となる[30]。脱走後のSCP-173はゲームが終わるまでプレイヤーを追跡し、その頸部を破壊しようとする。このゲームの主な仕様としてまばたきゲージがあり、漸減するゲージが完全に尽きるとプレイヤーがまばたきをする。このまばたきでSCP-173が視界から遮られると、記事と同様にSCP-173が急速に接近し、十分に近接していればプレイヤーを殺害する[29]。
  • SCP-173はFPSのマルチプレイヤーコンピュータゲーム『SCP: Secret Laboratory』においてプレイアブルキャラクターである[31]。このゲームにおいて、SCP-173のプレイヤーは施設内に存在する全ての人間のプレイヤーを殺害するため、SCP-049やSCP-106といった他のSCPオブジェクトとチームを組む必要がある[32]。
  • ビデオゲーム『SCP: 5K』にはSCP-173-Bに指定されたSCP-173のクローン個体が登場する。SCP-173-Bはオリジナルの彫刻と同様の振る舞いを示すが、デザインが異なっている[33]。
  • SCP-173は2025年のショートフィルム『SCP: Containment Breach』にも敵対者の1体として登場する[34]。

出典

  1. 1 2 3 4 『大迫力! 異常存在 SCP大百科』朝里樹 監修、西東社、2023年11月7日、26-27頁。ISBN 9784791632268。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 『マンガで読む 怪奇! 異常存在 SCP大図鑑』KADOKAWA、2025年7月2日、34-35頁。 ISBN 9784049162936。
  3. 1 2 3 都築陵佑 (2022年2月2日). “SCP財団「SCP-173」画像削除へ 無断転載から誕生した創作文化の元祖”. KAI-YOU. 2022年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月2日閲覧。
  4. 1 2 3 4 Potvin, James (2022年1月3日). “What Is The SCP Foundation? 15 Best Pieces Every New Fan Should Read” (英語). ScreenRant. 2022年2月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年12月30日閲覧。
  5. 1 2 3 Jones, Justin (2022-12-01). “EXPLORING THE SCP WIKI: COMMUNITY, DIGITAL HORROR, AND APOCALYPTIC FICTION”. English Theses. オリジナルの2025-06-05時点におけるアーカイブ。 2026年1月22日閲覧。.
  6. 1 2 3 Taylor, Tosha R. (2020), Bloom, Clive, ed., “Horror Memes and Digital Culture” (英語), The Palgrave Handbook of Contemporary Gothic (Cham: Springer International Publishing): pp. 986–987, doi:10.1007/978-3-030-33136-8_58, ISBN 978-3-030-33136-8 2026年2月18日閲覧。
  7. ↑ “Online Collaborative Fiction: The Digital World's Unsung Artform?” (英語). Tedium: The Dull Side of the Internet.. 2025年12月30日閲覧。
  8. ↑ 『マンガで読む 怪奇! 異常存在 SCP大図鑑』KADOKAWA、2025年7月2日、102-103頁。 ISBN 9784049162936。
  9. ↑ 『大迫力! 異常存在 SCP大百科2』朝里樹 監修、西東社、2024年7月25日、18-19頁。 ISBN 9784791633739。
  10. ↑ 『マンガで読む 怪奇! 異常存在 SCP大図鑑』KADOKAWA、2025年7月2日、12-13頁。 ISBN 9784049162936。
  11. 1 2 Walker, Ian (2022年2月16日). “Internet Horror Legend Sees Incredible Reimagining After Over A Decade Of Tensions” (英語). Kotaku. 2022年5月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年12月30日閲覧。
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  13. ↑ Atcar, Nikita (2022年12月19日). “A Tour of the SCP Foundation: Where the Internet's Monsters Live” (英語). Trill. 2025年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年12月30日閲覧。
  14. ↑ García-Roca, Anastasio (2021-06-30). “La Fundación SCP en el desarrollo de la alfabetización académica, fomento de la lectura y la escritura creativa [The SCP Foundation’s role in the development of academic literacy and the promotion of reading and creative writing]” (es, en). Publicaciones 51 (1). doi:10.30827/publicaciones.v51i1.16488. hdl:10481/71517. ISSN 1577-4147. オリジナルの2025-07-19時点におけるアーカイブ。 2026年2月17日閲覧。.
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  20. ↑ “SCP-173 Given New Life, The Head-Turning History of an Icon” (英語). DREAD XP (2022年2月7日). 2023年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月26日閲覧。
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  23. ↑ Wood, Martin (2024年12月6日). “Minecraft's Creaking Could Inspire A New Wave of Mobs” (英語). Game Rant. 2026年3月5日閲覧。
  24. ↑ Yoshinaga, Ida; Guynes, Sean; Canavan, Gerry (2022-12-20) (英語). Uneven Futures: Strategies for Community Survival from Speculative Fiction. MIT Press. ISBN 978-0-262-54394-1
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  32. ↑ “SCP SECRET LABORATORY First Impression: Great Game, If You Can Get It Working” (英語). GameTyrant (2018年1月13日). 2022年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年12月30日閲覧。
  33. ↑ “What SCPs are in SCP 5k; List of Entities” (英語). Gamepressure.com (2023年7月10日). 2025年9月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年12月30日閲覧。
  34. ↑ “"SCP: Containment Breach" – Zach Lona's Indie Horror Revival” (英語). League of Filmmakers (2025年10月23日). 2026年2月18日閲覧。

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