Peccei-Quinn 機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 09:12 UTC 版)
「強いCP問題」の記事における「Peccei-Quinn 機構」の解説
strong CP 問題を解決するモデルとしては以下の選択肢がある。 型破りな理論 CP対称性の自発的破れ 付加的なカイラル対称性 このうち第一の選択肢については説得力のあるモデルがないため、第二の選択肢についてはCP対称性をラグランジアンのレベルで破る小林・益川理論の成功のため、いずれも望みが薄いと Peccei は指摘している。第三の付加的なカイラル対称性については、さらに次のふたつの可能性がある。 アップクォークの質量はゼロである。 標準モデルにひとつの大域的 U ( 1 ) {\displaystyle U(1)} 対称性を追加する。 このうち前者は実験的に棄却されている。後者の可能性が1977年に Roberto Peccei と Helen Quinn によって提案されたPeccei-Quinn機構(英語版)である。 Peccei-Quinn 機構では U ( 1 ) P Q {\displaystyle U(1)_{\mathrm {PQ} }} と呼ばれる大域対称性を導入し、それが自発的に破れることによってアクシオンとして知られる南部・ゴールドストーン粒子が導入される。アクシオン場を ϕ {\displaystyle \phi } とすると、低エネルギー有効理論のラグランジアンは L = − 1 2 ∂ μ ϕ ∂ μ ϕ − 1 64 π 2 ϕ M F ~ a μ ν F μ ν a + ⋯ {\displaystyle L=-{\frac {1}{2}}\partial _{\mu }\phi \partial ^{\mu }\phi -{\frac {1}{64\pi ^{2}}}{\frac {\phi }{M}}{\tilde {F}}^{a\mu \nu }F_{\mu \nu }^{a}+\cdots } ( M {\displaystyle M} は定数)という形となり、 θ {\displaystyle \theta } -項と上記以外の項がすべて C および CP 対称性を持つならば、有効ポテンシャルは θ + ϕ M = 0 {\displaystyle \theta +{\frac {\phi }{M}}=0} を停留点として持つ。これによって P 対称性および CP 対称性が回復する。
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