Meroka CIWSとは? わかりやすく解説

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メロカ

(Meroka CIWS から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/11 00:42 UTC 版)

メロカ CIWS
種類 近接防御火器システム
運用史
配備期間 1986年-現在
配備先 採用国と装備艦艇を参照
開発史
開発者 バサン
開発期間 1975年
諸元
重量 4,500kg

口径 20mm
銃砲身 12本
仰角 -20度~+85度
旋回角 360度
発射速度 毎分1,440発
初速 1,215m/秒
最大射程 3,000m
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メロカ(Meroka)は、スペイン特殊素材技術研究センタードイツ語版(CETME)が開発した機関砲[1]。まず陸上用の対空機関砲が開発されたのち、これをもとにした艦載版のCIWSが開発された[2]

設計

本砲は、ボレーガンに範を取り、エリコンKAAのものをもとにした20mm口径・120口径長の砲身12本を2段に配列した特徴的な設計を採用している[3]。砲身の軸線は12門が同一方向ではなく、やや外側に向けて設定してあり、広い射弾分布によって目標迎撃範囲を拡大することを狙っている[4]。これらの砲身は共通の砲尾ブロックを使用しており、同時に再装填される[1][3]。給弾機構はベルト式で、上下の段ごとに設けられており、同時に6発が装填される[3]。自動機構は圧縮空気によって駆動される[3]

反動を軽減して射撃精度を向上させるため、12門の砲身は同時にではなく、0.08秒かけて3門ずつ4群に分けて発射される[1][2][3]。12門の発射が終わると、0.42秒かけて再装填が行われ、発射可能な状態になる[3]。すなわち、1回の発射サイクルの所要時間は0.5秒であり、持続射撃の際の発射速度は毎分1,440発となる[3]。使用する弾薬の寸法はエリコンKAAと同じく20×128mm弾だが、雷管を電気発火型としたことから通常の弾薬は使用できず、専用に開発されたAPDS弾のみを使用する[3][注 1]。搭載弾数は、メロカ2Aでは720発、2Bでは2,160発となった[5]

CIWSとして用いる場合、射距離1,500メートルで最初の命中弾を得て、500メートルで目標を撃破する想定とされている[2]

CIWS版

CIWSとしての開発はバサン社が担当しており、1975年より着手されて、実艦への最初の搭載は1986年後半に行われた[2]。当初の試作機では機関砲と追尾レーダーを含む射撃指揮システムとは別々に設置されていたが、1980年代に入ってからの実用機では両機器が合体された[4]。なおシステム固有の捕捉レーダーは備えておらず、目標捜索・捕捉は艦のRAN-11L/Xレーダーによって行って、PDS-10戦術情報コンソールを介して目標指示を受ける方式としている[2]

最初の実用機であるメロカ2では、目標を追尾するためのセンサとしてはAN/VPS-2追尾レーダーを備えるのみであったが、電子攻撃を受けている状況を想定して、1988年からはレーダーを補完する光学追尾装置としてイスラエル製の超低光量カメラ(LLLTV)が導入され、これはまもなくENOSA(Epresa Nacional de Optica)によって更新された[2][5]。1992年に実用化されたメロカ2Aでは赤外線撮像装置も追加された[2][4][5]。また1990年代後半には射撃管制コンピュータをアナログ式からデジタル式に換装し、全自動射撃モードを導入したメロカ2A3改修が登場した[4]。さらにその後開発されたメロカ2Bでは、AN/VPS-2をイタリア製のRTN-30Xに、またRAN-11L/XをRAN-12L/Xに更新しており、メロカ2Aに対しても順次に同様の改修が行われる計画となっている[2][4][5]

採用国と装備艦艇

スペイン

脚注

注釈

  1. ^ Cullen & Foss 1992, pp. 188–189では、エリコン社製のHE-I弾も使用可能としている。

出典

  1. ^ a b c Cullen & Foss 1992, pp. 188–189.
  2. ^ a b c d e f g h Friedman 1997, pp. 448–449.
  3. ^ a b c d e f g h Williams 2022, p. 261.
  4. ^ a b c d e 多田 2022, pp. 99–100.
  5. ^ a b c d Wertheim 2013, pp. 669–670.

参考文献


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