INK4の発現の調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:32 UTC 版)
当初、INK4ファミリーのメンバーはそれぞれ構造的に重複しており、同等の作用を持つと考えられていた。しかしその後、INK4ファミリーのメンバーはマウスの発生過程で異なる発現をしていることが判明した。発現パターンの多様性は、INK4遺伝子ファミリーが細胞系譜特異的あるいは組織特異的な機能を持っている可能性を示している。INK4a/ARFの発現は腫瘍形成の初期段階で増加する証拠が得られているが、がんに関連したどのような刺激がこの遺伝子座の発現を誘導しているのか、正確には不明である。正常な齧歯類の多くの組織では、p15INK4bの発現はp16INK4aの発現と相関していない。しかし、RASの活性化など、INK4/ARFの発現を誘導するいくつかのシグナルに応答して、p15INK4bの発現が誘導されたり抑制されたりすることが知られている。RASの活性化は、ERKを介したETS1(英語版)/2(英語版)の活性化によるINK4/ARFの発現上昇によって、p16INK4aを誘導している可能性がある。INK4a/ARF/INK4bのリプレッサーもいくつか同定されている。Tボックスタンパク質やポリコーム群タンパク質は、p16INK4a、p15INK4b、ARFの発現を抑制することが示されている。
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