355 (映画)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 355 (映画)の意味・解説 

355 (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/27 09:13 UTC 版)

355
The 355
監督 サイモン・キンバーグ
脚本
原案 テレサ・レベック
製作
出演者
音楽 トム・ホーケンバーグ
撮影 ティム・モーリス=ジョーンズ
編集 ジョン・ギルバート
製作会社
配給
公開
上映時間 122分
製作国
言語 英語
中国語
スペイン語
フランス語
ドイツ語
アラビア語
製作費 $75,000,000[1]
興行収入
2億円[3]
テンプレートを表示

355』(スリーファイブファイブ[4]The 355)は、2022年アメリカ合衆国スパイ映画テレサ・レベックサイモン・キンバーグが共同で執筆した脚本を、サイモン・キンバーグが監督した。出演はジェシカ・チャステインペネロペ・クルスなど。タイトル及び作中のスパイチーム名の「355」とは18世紀のアメリカ独立戦争時代に実在したパトリオット側の女性スパイエージェント355英語版にちなむ[5]

ユニバーサル・ピクチャーズから2022年1月7日に公開。日本ではキノフィルムズ配給により、2022年2月4日に公開された[6]

プロット

コロンビアの麻薬王の息子があるデバイスを発明した。世界中のあらゆるデジタルシステムにアクセスできる、コピー不能の唯一無二の暗号解読装置である。麻薬王が裏世界の大物イライジャ・クラークにデバイスを売ろうとするが、クラークは裏切り、麻薬王を殺す。その直後にコロンビア国家情報局(DNI)が屋敷を急襲、デバイスはDNI捜査官ルイス・ロハスの手に渡る。

CIAのメイソン「メイス」ブラウンは、ルイスからデバイスを買い取るという任務を受け、長年の相棒で親友のニック・ファウラーとともにパリへ向かう。ところがドイツの情報局(BND)の潜入捜査官マリー・シュミットが介入し取引は失敗する。メイスはマリーを追跡するが見失う。だが、マリーもデバイスの確保には失敗していた。一方、ニックは路地でクラークと出会う。

上官のラリー・マークスのいる隠れ家に戻ったメイスは、ニックが路地で殺されたと聞かされ、ニックの敵討ちに協力すると伝えられる。メイスはロンドンに向かい、旧友でMI6工作員のハディージャ「ディジ」アデイェミに協力を仰ぐ。一方、デバイスをまだ持っているロハスは、DNIの心理学者グラシエラ「グラシー」リベラに託す手筈を整える。また、ドイツ情報局のマリーの父代わりの上司ミュラーはデバイス奪取のためのチーム増員を指示する。チームプレイが苦手なマリーだが渋々従うのだった。

メイスとディジはルイスとグラシーを市場で追跡するが、DNIのエージェントが裏切り、ルイスを撃つ。瀕死のルイスは、デバイスの位置情報を追跡できる自分の携帯電話の指紋認証を変更し、グラシーに渡し事切れる。メイスとマリーは裏切った男を追うが逃げられる。

グラシーを確保したマリーはBNDの隠れ家へ連れて行くが、そこへメイスとディジが突入する。一触即発の状況となるが、ディジが全員を説得、4ヶ国の情報局の4人の女性エージェントがチームを組むことになる。デバイスがモロッコにあると知った4人は協力してデバイスを確保し、CIAラバト支局でマークスに手渡す。4人が祝杯をあげている矢先、複数の飛行機の墜落と大規模停電が発生。ラバト支局に戻ると、マークスが殺されていた。CIAの突入部隊から逃れた彼女たちは、自分たちがマークス殺害とデバイス盗難の濡れ衣を着せられたと気づく。ルイスを殺しデバイスを盗んだ男を問い詰めると、飛行機事故と停電は、上海で開かれる裏世界のオークションのための「デモンストレーション」だと明かした。

オークションに潜入する4人。そこでメイスは死んだはずのニックに会う。彼とマークスはクラークの手先となっていた。ニックはデバイスを入手するが、謎の中国人女性が彼女たちを助けて脱出させる。彼女は中国国家安全部のリン・ミーシェンで、デバイスは犯罪者たちを炙り出す餌だったと説明する。マークスを殺したのもリンであり、彼女はニックのデバイスを偽物にすり替えていた。

持ち帰ったドライブが偽物だったことを知ったクラークはニックを罰し、最後のチャンスを与える。リンの隠れ家がニックのチームに急襲され、5人は追い詰められる。ニックはマリーの父代わりのミュラー、ディジの恋人アフメド、グラシーの家族を人質にとっていた。ニックはリンの父を目の前で殺害、ミュラーとアフメドも処刑。グラシーの家族のため、メイスは降参する。

デバイスとともにリンは連れていかれるが、眼鏡に仕込んだカメラで仲間に居場所を伝える。武装した彼女たちはリンを救出し、ニックを撃ち、デバイスを破壊、上海の警察に逮捕される。

2か月後、CIA内で昇進していたニックが自宅に戻ると、そこにはメイス・ディジ・マリー・グラシー・リンがいた。彼らはニックが国外の刑務所で一生を終えることになると告げ、ニックは酒の氷に入れられた中国古来の毒で気絶する。女性たちはそれぞれの道に戻るが、各組織の腐敗と戦うため、再び集う予感を抱きつつ別れていくのだった。

キャスト

※括弧内は日本語吹替[7]

メイソン・“メイス”・ブラウン
演 - ジェシカ・チャステイン佐古真弓
本作における主人公。アメリカのCIA所属のエージェントで、ただの受け渡しであっても入念に下調べを行うなど生真面目な性格の女性。
同僚のニックのことを憎からず思っているが、その生真面目さ故に微妙な距離感を詰められずにいる。
マリー・シュミット
演 - ダイアン・クルーガー湯屋敦子
ドイツのBND所属の女性エージェントで爆薬の専門家。群衆をどかすため躊躇いなく威嚇射撃を行うなど、強引で協調性に欠けた行動が目立つ。
過去に父親がソ連KGBに情報を売っていた事があり、裏切り者の娘ということで組織内でも浮いた立場にある。
ハディージャ・アデイェミ
演 - ルピタ・ニョンゴ杉本ゆう
イギリスのMI6に所属する女性エージェント。CIAのメイスとは旧知の仲であり、彼女からはディジーと呼ばれている。
サイバーインテリジェンスを専門とし、ハッキングして得た監視カメラの情報を元にした追跡を得意とする。
グラシエラ・リベラ
演 - ペネロペ・クルス本田貴子
コロンビアのDNIに所属する女性エージェント。エージェントではあるものの本業は心理学者。同機関のセラピストで戦闘の経験はない。夫と息子がいる。グラシーと呼ばれる。
リン・ミーシェン
演 - ファン・ビンビンたなか久美
中国のMINISTRYに所属する女性エージェント。メイスたちとは完全に別ルートで行動しており、謎が多い。薬草に精通している。
ニック・ファウラー
演 - セバスチャン・スタン白石充
メイスと同じくCIAに所属する男性エージェント。生真面目なメイスとは対照的に気楽な性格で軽口が多く、彼女に気のある素振りを度々見せている。
ルイス・ロジャス
演 - エドガー・ラミレス関口雄吾
コロンビア諜報機関のエージェント。グラシエラからセラピーを受けている。
ラリー・マークス
演 - ジョン・ダグラス・トンプソン英語版平林剛
CIAの上級職員の男性。メイスとニックの上司にあたる。
イライジャ・クラーク
演 - ジェイソン・フレミング浅科准平
国際テロ組織の資金運用を任されている有力者。デバイスの奪取を企む。
ジョヴァンニ・ルポ
演 - エミリオ・インソレラ
スティーヴンス
演 - ジェイソン・ウォン英語版
グレイディ
演 - レオ・スター英語版玉井勇輝
CIAエージェント。
ヨナス・ミュラー
演 - シルヴェスター・グロート石黒史剛
BNDにおけるマリーの上司。
アーメド・イマーム
演 - ヒテン・パテル
ピョートル・ハサノフ
演 - オレグ・クリクノヴァ(佐久間元輝

製作

ジェシカ・チャステインは、『ミッション:インポッシブル』や『ジェームズ・ボンド』といったシリーズと同じ精神で、女性主導によるスパイ映画のアイデアを、『X-MEN:ダーク・フェニックス』を制作中のサイモン・キンバーグ監督に提案した。コンセプトはその上に構築され、2018年5月に、キンバーグが監督し、マリオン・コティヤールペネロペ・クルスファン・ビンビンルピタ・ニョンゴが出演することに加えて、チャステインが本作をプロデュースすることが発表された。このプロジェクトは2018年のカンヌ映画祭でバイヤーに売り込まれ、グローバル・ロード・エンターテインメントアマゾン・スタジオが配給権を入札し[8][9]ユニバーサル・ピクチャーズが最終的に2000万ドル以上の入札で北米配給権を獲得した[10]

2019年2月、チャステインは男性俳優のキャスティングに関する提案を示した[11]。2019年5月、セバスチャン・スタンエドガー・ラミレスが映画のキャストに加わり、コティヤールが降板したことが発表された[12]。6月にはダイアン・クルーガーがキャストに追加された[13]

撮影は2019年7月に始まり、パリモロッコロンドンの間で撮影された[14][15][16]。2019年9月、エミリオ・インソレラが映画のキャストに加わった[17]。追加の撮影が、2020年7月にロンドンでCOVID-19感染症対策をしたうえで行われた[18]

公開

ユニバーサル・ピクチャーズから2022年1月7日に公開される予定。当初は2021年1月15日に公開される予定[19]だったが、COVID-19のパンデミックにより2022年1月14日に延期された後、1週間繰り下げて2022年1月7日に公開されることになった[20]

NBCユニバーサルは本作品を含む2022年に劇場公開される映画について、公開から45日間は劇場独占とし、それ以降は同社傘下の定額制動画配信サービスであるPeacockにて独占配信とする方針を2021年12月に明らかにした[21]

日本ではキノフィルムズ配給により、2022年2月4日に公開された[6]

作品の評価

Rotten Tomatoesによれば、213件の評論のうち高評価は24%にあたる52件で、平均点は10点満点中4.5点、批評家の一致した見解は「スターキャストでコンセプトも先進的だが、『355』はその全てを無駄遣いし、すぐに忘れてしまうような平凡な語り口の物語になっている。」となっている[22]Metacriticによれば、40件の評論のうち、高評価は6件、賛否混在は27件、低評価は7件で、平均点は100点満点中40点となっている[23]

関連項目

出典

  1. ^ a b The 355” (英語). The Numbers. 2022年2月25日閲覧。
  2. ^ a b The 355” (英語). Box Office Mojo. 2022年2月25日閲覧。
  3. ^ 『キネマ旬報』2023年3月下旬号 p.45
  4. ^ 355 - KINENOTE
  5. ^ McNary, Dave (2019年8月20日). “Jessica Chastain, Lupita Nyong'o Spy Thriller 355 Gets 2021 Release Date” (英語). Variety. オリジナルの2019年8月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190820192015/https://variety.com/2019/film/news/355-release-date-jessica-chastain-lupita-nyongo-fan-bingbing-1203307870/ 2022年1月6日閲覧。 
  6. ^ a b 作品情報/映画「355」”. 映画.com. エイガ・ドット・コム. 2022年2月4日閲覧。
  7. ^ 355 -日本語吹き替え版”. ふきカエル大作戦!! (2022年8月30日). 2022年8月30日閲覧。
  8. ^ Fleming, Mike Jr (2018年5月1日). “Hot Cannes Package ‘355’: Jessica Chastain, Marion Cotillard, Penelope Cruz, Fan Bingbing, Lupita Nyong’o Form Spy Sisterhood” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2018/05/female-spy-film-355-jessica-chastain-marion-cotillard-penelope-cruz-fan-bingbing-lupita-nyongo-simon-kinberg-cannes-market-1202380078/ 2022年2月25日閲覧。 
  9. ^ Setoodeh, Ramin; Lang, Brent (2018年5月11日). “Cannes Mega Deal: Jessica Chastain Spy Movie ‘355’ Fetches $25 Million Offer as Bidding Heats Up” (英語). Variety. https://variety.com/2018/film/news/cannes-mega-deal-jessica-chastain-spy-movie-355-fetches-25-million-offer-as-bidding-heats-up-exclusive-1202807068/ 2022年2月25日閲覧。 
  10. ^ Siegel, Tatiana (2018年5月12日). “Cannes: Universal Lands Jessica Chastain-Led Female-Fronted Spy Film 355 (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/cannes-universal-lands-jessica-chastain-led-female-fronted-spy-film-355-1111314 2022年2月25日閲覧。 
  11. ^ Samhan, Jamie (2019年2月6日). “Jessica Chastain Is In The Market For A ‘Bond Boy’” (英語). ETCanada. https://etcanada.com/news/416082/jessica-chastain-is-in-the-market-for-a-bond-boy/ 2022年2月25日閲覧。 
  12. ^ Siegel, Tatiana (2019年5月14日). “Sebastian Stan and Edgar Ramirez Join '355'” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/sebastian-stan-edgar-ramirez-join-355-1210423 2019年5月14日閲覧。 
  13. ^ Kroll, Justin (2019年6月3日). “Diane Kruger Joins Simon Kinberg’s Spy Thriller ‘355’” (英語). Variety. https://variety.com/2019/film/news/diane-kruger-355-simon-kinberg-1203231747/ 2022年2月25日閲覧。 
  14. ^ Frater, Patrick (2019年4月10日). “Fan Bingbing Returns to Screen in Jessica Chastain’s ‘355’” (英語). Variety. https://variety.com/2019/film/asia/china-fan-bingbing-return-jessica-chastain-355-1203185605/ 2022年2月25日閲覧。 
  15. ^ “Headlines from China: Filming of ‘355’ Starts with Fan Bingbing in the Cast” (英語). China Film Insider. (2019年7月1日). http://chinafilminsider.com/headlines-from-china-filming-of-355-starts-with-fan-bingbing-in-the-cast/ 2022年2月25日閲覧。 
  16. ^ Crist, Allison (2019年7月8日). “Jessica Chastain Reveals Production Underway for Spy Thriller '355'” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/jessica-chastain-reveals-production-underway-spy-thriller-355-1222982 2022年2月25日閲覧。 
  17. ^ N'Duka, Amanda (2019年9月24日). “Elaine Hendrix To Star In ‘The Country Club’; Universal’s ‘355’ Thriller Adds Emilio Insolera” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2019/09/elaine-hendrix-the-country-club-universal-355-emilio-insolera-1202738036/ 2019年9月25日閲覧。 
  18. ^ Jessica Chastain Used Men as Eye Candy in Her Female-Fronted Film, The 355” (英語). YouTube. Late Night with Seth Meyers (2020年10月6日). 2020年10月8日閲覧。
  19. ^ McClintock, Pamela (2019年8月20日). “Jessica Chastain's Female-Led Spy Film '355' Lands January 2021 Release” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/jessica-chastains-female-led-spy-film-355-lands-january-2021-release-1233336 2019年8月20日閲覧。 
  20. ^ Rubin, Rebecca (2020年11月23日). “Jessica Chastain, Lupita Nyong'o Spy Thriller 'The 355' Moves Back a Year” (英語). Variety. https://variety.com/2020/film/news/355-movie-release-date-jessica-chastain-lupita-nyongo-1234838214/ 2020年11月23日閲覧。 
  21. ^ “ユニバーサル新作を全米公開45日後にPeacockで配信へ”. 映画.com. (2021年12月21日). https://eiga.com/news/20211221/1/ 2021年12月21日閲覧。 
  22. ^ The 355. Rotten Tomatoes (英語). 2022年2月25日閲覧.
  23. ^ "The 355" (英語). Metacritic. 2022年2月25日閲覧。

外部リンク


「355 (映画)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「355 (映画)」の関連用語

355 (映画)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



355 (映画)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの355 (映画) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS