2023年の航空
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/26 08:57 UTC 版)
2023年の航空(2023ねんのこうくう)では、2023年(令和5年)の航空の状態やできごとをまとめる。
2022年の航空 - 2023年の航空 - 2024年の航空
概観
旅客航空
ICAOによれば、旅客航空は回復傾向にあり、世界の旅客数は2023年末で2019年の約95%に達し、多くの路線でコロナのパンデミック前の水準を回復した。特に成長したのは、次の路線である[1]。
貨物航空
2023年の年間の航空貨物トンキロ(CTK)は2022年とほぼ同レベルだった。11月までは前年より若干少なかったが、12月単月のCTKが前年比+10.8%となり、年間通してみたら、前年とほぼ同じになっていた。[2]
持続可能性への対応
持続可能性への対応が本格化しはじめた。
- 2023年10月に、EUはSAF含有義務化の規定を定めた(具体的には2025年2%、2030年6% ...と設定)。
- 1月28日、Virgin Atlanticにより、100%SAFによる大西洋横断のデモフライト「Flight100」が行われた。ロンドン・ヒースロー空港(LHR)からニューヨークJFKまでの区間をSAFのみで飛んだ。
- 燃料電池・水素燃料機の開発の推進
- ボーイングとNASAが共同開発したX-66
- Airbusによる水素機のプロジェクト「ZEROe」は2020年に立ち上がっていたが、本年Airbus社はドイツ・オットブルンのE-Aircraft System Houseにて1.2メガワット(MW)の水素燃料電池システムの地上試験を成功させ、一歩前に進んだ(実用化は2035年前後の予定)
- 一部空港ではプライベートジェット制限の検討も進行
他
IATAの年次総会は6月4日-6日にトルコ共和国イスタンブール市で行われ、ホスト航空会社はペガサス航空(Pegasus Airlines) でAnadoluJetとの共同主催とされた。
出来事
- 1月1日 -
フィリピンで停電のため航空管制施設でトラブルが発生し、マニラ発着便を中心に多数が運航停止となった。ニノイ・アキノ国際空港では乗客5万人以上に影響が出た[3]。
→詳細は「en:2023 Philippine airspace closure」を参照 - 5月28日 -
中国が自主開発した旅客機であるCOMAC C919が商業運航を開始した[4]。
航空事故など
- アメリカ合衆国で重大なニアミスが19件発生、過去7年で最悪
米連邦航空局(FAA)は2023年1~10月で19件の重大な滑走路インシデントが発生したと報告し、2016年以来の悪い状況となった[5]。
-
対策
- FAAは、一連のニアミス事故を受けて、航空管制官の疲労問題に対処するため、元国家運輸安全委員会(NTSB)の職員で睡眠の専門家が率いる専門家グループ(パネル)の設置に着手した。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、このパネルは翌2024年1月から活動を開始し「最新の睡眠科学や疲労に関する知見を、航空管制官の勤務要件やスケジュールにどのように適用できるかを検討する」とされた[5]。
-
- (なお、アメリカの状況は深刻すぎて、対策を検討したものの十分に改善できなかったらしく、2025年1月29日には、首都ワシントンD.C.でアメリカン航空機と軍用ヘリ・ブラックホークによる空中衝突事故(アメリカン航空5342便空中衝突事故)が発生してしまった。)
- その他の航空事故
- 航空事故の一覧 (2020年以降)も参照
- 1月2日 -
オーストラリア東部の観光地ゴールドコーストでヘリコプター2機が衝突する事故があり4人が死亡し、複数のけが人が出た[6]。
→詳細は「en:2023 Gold Coast helicopter crash」を参照 - 1月15日 -
ネパールの首都・カトマンズから中部の観光都市・ポカラに向けて飛行したイエティ航空691便(ATR 72-500型機)は午前11時半ごろ、着陸寸前で墜落した。乗員4名、乗客68名の全員が死亡した[7][8][9]。
→詳細は「イエティ航空691便着陸失敗事故」を参照 - 4月6日 -
日本の沖縄県宮古島沖で陸上自衛隊の多用途ヘリコプターが墜落した。
脚注
- ^ なおICAOは「SouthWest ASIA」も挙げている。ICAO用語の「SW ASIA」はICAOによる空域の便宜上の分類で、通常の地理的な「南西アジア」とは指す国が異なる。ほとんどは地理用語の中東と重なるが、パキスタンまで含まれ、インドは含まれない。
- ^ ICAO用語の「Pacific」は、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、ハワイなど。
- ^ a b c d e “Passenger air traffic surpasses pre-pandemic levels”. 2025年6月26日閲覧。
- ^ “Air Cargo Demand Surges 10.8% in December, Closing 2023 Near 2022 Levels”. 2025年6月26日閲覧。
- ^ “フィリピンで航空管制トラブル、日本と東南アジア結ぶ12便欠航”. MSN. 2023年1月1日閲覧。
- ^ “MU9191起飞”. 新華社. (2023年5月28日) 2023年5月28日閲覧。
- ^ a b c d e f “FAA Identifies 19 Serious Near Miss Incidents In 2023: The Most In 7 Years”. 2025年6月26日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “豪州の観光地 ヘリコプター同士が空中衝突 4人死亡 けが人複数 | NHK”. NHKニュース. 2023年1月3日閲覧。
- ^ “ネパールで72人搭乗の航空機が墜落 ヒマラヤの眺望で人気の街:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2023年1月15日). 2023年1月15日閲覧。
- ^ “ネパール中部でイエティ航空機が墜落 29人死亡”. Aviation Wire (2023年1月15日). 2023年1月15日閲覧。
- ^ “Nepal plane crash Live Updates: At least 64 dead as plane crashes in Pokhara; 5 Indians were on board, says airport official” (英語). The Indian Express (2023年1月15日). 2023年1月15日閲覧。
- 2023年の航空のページへのリンク