2011年の日本グランプリ (ロードレース)とは? わかりやすく解説

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2011年の日本グランプリ (ロードレース)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/26 08:31 UTC 版)

  2011年の日本グランプリ
レース詳細
2011年のロードレース世界選手権 全18戦中第15戦
決勝日 2011年10月2日
開催地 ツインリンクもてぎ
開催コース 常設サーキット
4.801km
MotoGP
ポールポジション ファステストラップ
ケーシー・ストーナー ダニ・ペドロサ
1:45.267 1:46.090
表彰台
1. ダニ・ペドロサ
2. ホルヘ・ロレンソ 3. ケーシー・ストーナー


Moto2
ポールポジション ファステストラップ
マルク・マルケス アンドレア・イアンノーネ
1:52.067 1:52.307
表彰台
1. アンドレア・イアンノーネ
2. マルク・マルケス 3. トーマス・ルティ


125 cc
ポールポジション ファステストラップ
ヨハン・ザルコ ヨハン・ザルコ
1:57.888 1:58.508
表彰台
1. ヨハン・ザルコ
2. ニコラス・テロル 3. エクトル・ファウベル


2011年の日本グランプリは、ロードレース世界選手権2011年シーズン第15戦として、9月30日から10月2日まで栃木県ツインリンクもてぎで開催された。

概要

震災・原発事故の影響

元々このシーズンの日本GPは4月22 - 24日に第3戦として開催予定だったが、3月10日に発生した東日本大震災の影響により、9月30日 - 10月2日に延期となった[1]

地震により損壊したツインリンクもてぎのロードコース部分の復旧作業は6月には終わり受け入れ態勢は整ったものの[2]バレンティーノ・ロッシホルヘ・ロレンソなど多くのライダーが福島第一原発事故による放射線の影響を警戒し開催が不安視されていた[3]。しかしFIMがイタリアの第三者機関に委託した調査の結果、茂木町の放射能の危険は無視できる程度であると報告され[4]、最終的にはほぼ全てのライダーが出場することになった。

唯一、Moto2クラスのクラウディオ・コルティ(イタルトランスチーム)だけは原発事故を理由に欠場[5]、代役として全日本ロードレース選手権J-GP2クラスでこの年チャンピオンとなる中上貴晶がエントリーした。

125ccクラス

125ccクラス予選では、ポイントランキング2位のヨハン・ザルコがシーズン3度目のポールポジションを獲得した。2番グリッドにはエクトル・ファウベル、ポイントリーダーのニコラス・テロルは3番グリッドからのスタートになった[6]

日曜日の決勝レース、序盤はフロントロウの3人が接戦を展開し、中盤にはファウベルが遅れてテロルとザルコのマッチレースとなった。14周目にトップに立ったザルコはその後テロルを一気に突き放すことに成功、5.9秒差を付けてグランプリ初優勝を果たした。

第6戦カタルニアでの肘出しペナルティ、第9戦ザクセンリンクでの同着フィニッシュからの2位など、ここまで5度も目前の勝利を逃してきたザルコは、6度目にして遂にチャンスをものにした[7]。この結果タイトル争いではテロルとザルコのポイント差は31ポイントに縮まり、ザルコが逆転チャンピオンに望みを残した[8]

Moto2クラス

Moto2クラス予選では、ポイントランキング2位のマルク・マルケスが2戦連続・シーズン6度目のポールポジションを獲得した。以下フロントロウにはトーマス・ルティアンドレア・イアンノーネと続き、ポイントリーダーのステファン・ブラドルは3列目8番グリッドからのスタートとなった[9]。地元勢では高橋裕紀が5番グリッド、中上貴晶は予選17位を記録したが、ウォームアップ走行で転倒し肩甲骨を骨折、決勝は欠場となった[10]。またMoto2クラスに復帰して2戦目のセルヒオ・ガデアは予選中の転倒で腰椎骨折・脾臓を傷める重傷を負い、残りシーズンを欠場することとなった。

決勝レースでは序盤からイアンノーネが4台の集団バトルをリード。一時的にトップを譲る場面はあったものの、最後は2位のマルケスに約2秒差を付けてシーズン3勝目を挙げた。ブラドルは終盤にかけて3位表彰台争いを展開したが、トーマス・ルティに競り負けて4位に終わった。

この結果チャンピオン争いでは、遂にマルケスが一時82ポイントもあった大差[11]をひっくり返すことに成功し、ブラドルに1ポイント差でランキング首位に立った[12]

MotoGPクラス

MotoGPクラスでは今回ワイルドカード枠でHRCのテストライダー2人、伊藤真一秋吉耕佑がエントリーした。宮城県名取市在住、44歳の伊藤の参戦には、大震災の被災者を元気づけたいという思いが込められていた[13]

土曜日の予選では、ポイントリーダーのケーシー・ストーナーが4戦連続・シーズン10回目のポールポジションを獲得、ランキング2位のホルヘ・ロレンソが2番グリッド、アンドレア・ドヴィツィオーゾが3番グリッドに続いた[14]

日曜日の決勝、序盤はストーナーがトップを維持していたが5周目にコースアウトを喫して中団に沈む。代わってトップに立ったドヴィツィオーゾは、ジャンプスタートを犯していたためライドスルーペナルティで脱落。その結果4番グリッドからスタートしたダニ・ペドロサがトップに立つと、後続との差を徐々に広げて独走でシーズン3勝目を挙げた。2位にはロレンソ、3位にはコースアウトから復帰後追い上げを見せたストーナーが入った。この結果チャンピオン争いでは、ストーナーとロレンソの差が40ポイントに縮まった[15]

バレンティーノ・ロッシは1周目にロレンソ、ベン・スピーズと接触してシーズン初のリタイヤとなった[16]。他にアルバロ・バウティスタが4位走行中の14周目に単独転倒、エクトル・バルベラは2周目のクラッシュで右鎖骨骨折等の重傷を負い次戦欠場となる[17]など荒れたレースとなった。そんな中地元勢は全員が生き残り、青山博一が9位、秋吉が12位、伊藤が13位で完走を果たした。

MotoGPクラス決勝結果

順位 No. ライダー マニュファクチャラー 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 26 ダニ・ペドロサ ホンダ 24 42:47.481 4 25
2 1 ホルヘ・ロレンソ ヤマハ 24 +7.299 2 20
3 27 ケーシー・ストーナー ホンダ 24 +18.380 1 16
4 58 マルコ・シモンチェリ ホンダ 24 +23.550 6 13
5 4 アンドレア・ドヴィツィオーゾ ホンダ 24 +23.691 3 11
6 11 ベン・スピーズ ヤマハ 24 +37.604 5 10
7 69 ニッキー・ヘイデン ドゥカティ 24 +39.167 10 9
8 5 コーリン・エドワーズ ヤマハ 24 +45.023 14 8
9 7 青山博一 ホンダ 24 +49.074 11 7
10 14 ランディ・ド・プニエ ドゥカティ 24 +59.022 13 6
11 35 カル・クラッチロー ヤマハ 24 +1:13.964 12 5
12 64 秋吉耕佑 ホンダ 24 +1:21.709 16 4
13 72 伊藤真一 ホンダ 24 +1:26.381 18 3
Ret 24 トニ・エリアス ホンダ 17 アクシデント 15
Ret 19 アルバロ・バウティスタ スズキ 13 アクシデント 8
Ret 6 ダミアン・カドリン ドゥカティ 13 アクシデント 17
Ret 8 エクトル・バルベラ ドゥカティ 1 アクシデント 9
Ret 46 バレンティーノ・ロッシ ドゥカティ 0 衝突 7
DNS 17 カレル・アブラハム ドゥカティ 負傷

Moto2クラス決勝結果

順位 No ライダー マニュファクチャラー 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 29 アンドレア・イアンノーネ スッター 23 43:25.007 3 25
2 93 マルク・マルケス スッター 23 +1.999 1 20
3 12 トーマス・ルティ スッター 23 +3.686 2 16
4 65 ステファン・ブラドル カレックス 23 +4.313 8 13
5 3 シモーネ・コルシ FTR 23 +4.647 6 11
6 15 アレックス・デ・アンジェリス モトビ 23 +4.813 7 10
7 38 ブラッドリー・スミス テック3 23 +10.520 4 9
8 77 ドミニク・エガーター スッター 23 +10.725 9 8
9 34 エステベ・ラバト FTR 23 +11.387 17 7
10 36 ミカ・カリオ スッター 23 +12.803 12 6
11 19 ザビエル・シメオン テック3 23 +18.259 16 5
12 13 アンソニー・ウエスト MZ-RE ホンダ 23 +20.815 22 4
13 51 ミケーレ・ピロ モリワキ 23 +23.795 14 3
14 75 マティア・パシーニ FTR 23 +24.388 10 2
15 44 ポル・エスパルガロ FTR 23 +34.071 20 1
16 16 ジュール・クルーセル スッター 23 +38.236 26
17 9 ケニー・ノエス FTR 23 +39.505 29
18 76 マックス・ノイキルヒナー MZ-RE ホンダ 23 +39.609 28
19 54 ケナン・ソフォーグル スッター 23 +42.296 18
20 45 スコット・レディング スッター 23 +44.162 15
21 53 バレンティン・デビーズ FTR 23 +46.662 30
22 14 ラタパー・ウィライロー FTR 23 +46.950 25
23 68 ヨニー・エルナンデス FTR 23 +49.625 27
24 4 ランディ・クルメナッハ カレックス 23 +50.590 36
25 39 ロベルティーノ・ピエトリ スッター 23 +52.044 35
26 6 ホアン・オリベ FTR 23 +52.365 33
27 63 マイク・ディ・メッリオ テック3 23 +1:02.873 24
28 7 小山知良 TSR 23 +1:35.559 32
29 95 マシェル・アル・ナイミ モリワキ 23 +1:35.771 34
30 72 高橋裕紀 モリワキ 22 +1 lap 5
31 40 アレックス・エスパルガロ ポンス カレックス 20 +3 laps 13
Ret 80 アクセル・ポンス ポンス カレックス 17 棄権 23
Ret 64 サンティアゴ・エルナンデス FTR 17 アクシデント 31
Ret 18 ジョルディ・トーレス スッター 0 衝突 11
Ret 35 ラファエレ・デ・ロサ スッター 0 衝突 19
Ret 88 リカルド・カルダス モリワキ 0 衝突 21
DNS 30 中上貴晶 スッター 負傷
DNS 33 セルヒオ・ガデア モリワキ 負傷

125ccクラス決勝結果

順位 No ライダー マニュファクチャラー 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 5 ヨハン・ザルコ デルビ 20 39:49.968 1 25
2 18 ニコラス・テロル アプリリア 20 +5.900 3 20
3 55 エクトル・ファウベル アプリリア 20 +13.605 2 16
4 25 マーベリック・ビニャーレス アプリリア 20 +16.191 4 13
5 11 サンドロ・コルテセ アプリリア 20 +23.422 7 11
6 94 ジョナス・フォルガー アプリリア 20 +23.661 8 10
7 23 アルベルト・モンカヨ アプリリア 20 +24.034 5 9
8 26 アドリアン・マルティン アプリリア 20 +24.171 9 8
9 52 ダニー・ケント アプリリア 20 +49.118 18 7
10 19 アレッサンドロ・トヌッチ アプリリア 20 +51.393 10 6
11 84 ヤコブ・コーンフェール アプリリア 20 +51.893 13 5
12 77 マルセル・シュロッター マヒンドラ 20 +1:01.043 16 4
13 53 ジャスパー・イウェマ アプリリア 20 +1:04.921 15 3
14 21 ハリー・スタフォード アプリリア 20 +1:05.606 24 2
15 63 ズルファミ・カイルディン デルビ 20 +1:06.245 23 1
16 8 ジャック・ミラー KTM 20 +1:07.653 26
17 82 大久保光 ホンダ 20 +1:07.770 25
18 50 ストゥーラ・ファーガーハウグ アプリリア 20 +1:11.052 30
19 30 ジュリアン・ペドーネ アプリリア 20 +1:15.954 20
20 14 ブラッド・ビンダー アプリリア 20 +1:16.227 27
21 65 森俊也 アプリリア 20 +1:16.729 32
22 36 ホアン・ペレロ アプリリア 20 +1:17.514 29
23 39 ルイス・サロム アプリリア 20 +1:40.618 12
24 79 山本剛大 ホンダ 20 +1:41.836 33
25 89 Luca Fabrizio アプリリア 19 +1 lap 35
Ret 17 テイラー・マッケンジー アプリリア 17 棄権 28
Ret 10 アレクシ・マスボー KTM 13 棄権 21
Ret 81 渡辺陽向 ホンダ 10 棄権 31
Ret 99 ダニー・ウェブ マヒンドラ 9 棄権 19
Ret 7 エフレン・バスケス デルビ 8 棄権 6
Ret 31 ニクラス・アジョ アプリリア 1 アクシデント 18
Ret 3 ルイジ・モルシアーノ アプリリア 1 アクシデント 11
Ret 28 ジュゼップ・ロドリゲス アプリリア 1 棄権 14
DNS 96 ルイ・ロッシ アプリリア 負傷 17
DNS 80 大西隼 ホンダ 負傷 34

脚注

  1. ^ http://www.mfj.or.jp/user/top/info/detail.php?aid=1758
  2. ^ http://www.twinring.jp/motegi/2011/roadcourse/
  3. ^ http://www.bikesportnews.com/news-detail.cfm?newstitle=Rossi-and-Lorenzo-unhappy-over-Motegi-MotoGP-round&newsid=389
  4. ^ https://web.archive.org/web/20111123202455/http://www.motogp.com/ja/news/2011/Grand+Prix+of+Japan+Statement+from+the+FIM
  5. ^ http://www.sportmediaset.mediaset.it/motogp/gp_giappone/articoli/69031/salto-motegi-perche-ho-paura.shtml
  6. ^ https://web.archive.org/web/20111101185352/http://www.motogp.com/ja/news/2011/japan+motegi+qp+125
  7. ^ http://www.motogp.com/ja/news/2011/japan+motegi+race+zarco
  8. ^ https://web.archive.org/web/20111101162727/http://www.motogp.com/ja/news/2011/japan+motegi+race+125
  9. ^ https://web.archive.org/web/20111101161829/http://www.motogp.com/ja/news/2011/japan+motegi+qp+moto2
  10. ^ http://ms.bridgestone.co.jp/database/report_disp_type24?rid=5375
  11. ^ https://web.archive.org/web/20110910075255/http://www.motogp.com/en/Results+Statistics/2011/GBR/Moto2/RAC/World+Standing
  12. ^ https://web.archive.org/web/20111102174527/http://www.motogp.com/ja/news/2011/japan+motegi+race+moto2
  13. ^ https://web.archive.org/web/20111011051231/http://www.47news.jp/topics/entertainment/2011/10/post_4377.php
  14. ^ http://www.motogp.com/ja/news/2011/japan+motegi+qp+motogp
  15. ^ http://www.motogp.com/ja/news/2011/japan+motegi+race+motogp+pedrosa
  16. ^ https://web.archive.org/web/20111101161352/http://www.motogp.com/ja/news/2011/japan+motegi+valentino+rossi
  17. ^ https://web.archive.org/web/20111101161109/http://www.motogp.com/ja/news/2011/Barbera+injury+update+Japan+Motegi+0

参考文献


前戦
2011年のアラゴングランプリ
ロードレース世界選手権
2011年シーズン
次戦
2011年のオーストラリアグランプリ
前回開催
2010年の日本グランプリ
日本グランプリ 次回開催
2012年の日本グランプリ



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