飯田みち代とは? わかりやすく解説

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飯田みち代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/30 13:28 UTC 版)

飯田 みち代(いいだ みちよ、本名:飯田 実千代、英語表記:Michiyo Iida)は、日本のソプラノ歌手。ヨーロッパと日本を拠点に活動し、現代オペラから宗教曲歌曲に至るまで幅広いレパートリーを持つ。 その歌声は「天から金色の雨が降ってくる」と評された[1]

経歴と演奏活動

愛知県出身。京都大学教育学部心理学科にて、河合隼雄山中康裕のもとで臨床心理学を学ぶ[2][3][4]


卒業後は一般企業に就職し、働きながら引田リエ子に師事して歌の勉強を始め、コンクール受賞をきっかけにウィーンで研鑽を積む。マルタ・ランティエリ、スザンナ・ギオーネ、ヴィックス・シュラバートに歌唱法を師事[5]。ドイツ歌曲はデビッド・ルッツ、指揮法を井﨑正浩に師事[6]

帰国後は日本各地のオペラ公演や演奏会に多数出演し、またハンガリードイツなど欧州でも活動[7]。とりわけ《ルル》《メデア》《アイナダマール》などの現代オペラにおける演技力と音楽表現は高い評価を受けた[8][9][10]

主な受賞歴

  • 1989年:日伊音楽協会主催「イタリア声楽コンコルソ」予選通過(『毎日新聞』1989年3月29日付)
  • 1990年:同コンコルソで金賞受賞(『毎日新聞』1990年4月8日付)
  • 1992年:飯塚新人音楽コンクール大賞受賞[11]
  • 1995年:日伊声楽コンコルソ第2位受賞
  • 2005年3月14日:平成16年度(2004年度)愛知県芸術文化選奨 文化賞(個人)受賞(受賞名義:飯田みち代/本名:柳田実千代)[12]
  • 2025年3月20日:春日井市芸術文化選奨 文化賞受賞[13]

主な出演歴(抜粋)

  • 《ねじの回転》家庭教師役(1994年)[14]
  • 《愛の妙薬》アディーナ役(1995、2000年)
  • 《セビリアの理髪師》ロジーナ役(1998年)
  • 《魔笛》夜の女王役(2005年新国立劇場、2007年兵庫)[15][16]
  • 《ルル》ルル役(2003年日生劇場[17]、2009年びわ湖ホール[18]
  • 《夕鶴》つう役(2001年)[19]
  • 《ラ・ボエーム》ムゼッタ役(2006年)[20]
  • 《死の都》マリー・マリエッタ役(2014年)《死の都》[21]
  • 《夜長姫と耳男》夜長姫役(2008年)《夜長姫と耳男》[22]
  • 《メデア》メデア役(2012年)《メデア》[23]
  • 《アイナダマール》マルゲリータ・シグレ役(2014年)《アイナダマール》[24]
  • 《白峯》美福門院役(2014年)
  • 《万葉集》額田王/太伯皇女(二役)(2016年、2017年)
  • 2025年:ソルノク市立交響楽団(ハンガリー)[25]、ホセ・カレーラス白血病基金コンサート出演(ドイツ)

評価・批評

  • 『音楽現代』:「十二音技法によるベルクの前衛オペラ《ルル》、タイトルロールの飯田みち代が出色。歌唱力抜群で、陰陽自在な発声で多層の女性像を魅力的に描き出す」と、歌唱技術と音楽表現・演技を高評価
  • 産経新聞』:「歌は天命、にじみ出る内面」と、難病克服の人生と音楽への信念を紹介(2004年10月27日)。
  • 日経新聞樋口隆一:「可憐で表情豊かな飯田みち代のイゾルデは、この役の本来の性格を思い出させてくれた」(2005年)と演技を高く評価。
  • 朝日新聞』:「ルル役で貧しい育ちゆえに幸せも満足も知らない。それでも必死に生きる。飯田のけなげさも相まってルルはそんな女になった」演技を高評価(2009年10月9日)/「《金閣寺》乱れた母親役を演じた飯田みち代の艶めかしい笑いが良かった」(2015年12月21日)。
  • 読売新聞』:「《メデア》とりわけ題名役(飯田みち代)が愛を失い、異国で一人追いつめられていくさまが切ない。とくに子供たちとの面会を許される場面では「感謝いたします。お優しい王様」と猫なで声をだしつつ陰鬱な笑みを浮かべる。狂気の目つきに胸が痛んだ」(2012年11月13日)

録音・CD

  • Michiyo Iida singt Richard Strauss und Alban Berg』Preiser Records(廃盤)
収録:リヒャルト・シュトラウスおよびアルバン・ベルクの歌曲
ピアノ:デーヴィッド・ルッツ:2008年収録[26]

出典

※以下の新聞・雑誌より:

  • 『毎日新聞』1989年3月29日/1990年4月8日
  • 『産経新聞』2004年10月27日
  • 『日経新聞』2005年7月
  • 『朝日新聞』2009年10月9日、平成27年12月21日
  • 『読売新聞』2012年11月13日
  • 『音楽現代』2009年11月号
  • 公式プログラム、主催者発行パンフレットなど

脚注

  1. ^ 『ACT4』2005年9月号、64ページ、「ACT4 STYLE」特集、執筆者不明。《トリスタンとイゾルデ》でイゾルデ役を演じた飯田みち代について、「『天から金色の雨が降ってくる』と賞される彼女の歌声」と記述されている。
  2. ^ 飯田みち代さんインタビュー(京都大学オフィシャル・アルムナイ、2022年11月掲載)
  3. ^ 京都大学創立125周年記念音楽祭 出演者一覧(京都大学公式、2022年11月26日開催。「飯田みち代(教育)」と記載)
  4. ^ 「創立125周年に寄せて:飯田みち代」『京都大学』公式サイト、2020年12月17日、https://www.kyoto-u.ac.jp/125th/alumni/45/
  5. ^ 大府市公式サイト 、2022年11月26日開催、2025年6月閲覧
  6. ^ 大府市公式サイト、2022年11月26日開催、2025年6月閲覧
  7. ^ Dalok szoprán hangra és zenekarra – Szolnoki Szimfonikusok” (ハンガリー語). szolnokiszimfonikusok.hu. 2025年6月23日閲覧。
  8. ^ 『音楽現代』2009年11月号、「十二音技法によるベルクの前衛オペラ《ルル》、タイトルロールの飯田みち代が出色」
  9. ^ 『読売新聞』2012年11月13日、「《メデア》の狂気と陰鬱な演技に胸が痛んだ」
  10. ^ 『朝日新聞』2009年10月9日、「飯田のけなげさも相まってルルはそんな女になった」
  11. ^ 飯塚新人音楽コンクール受賞者一覧”. 飯塚文化連盟. 2025年6月23日閲覧。
  12. ^ 平成16年度愛知県芸術文化選奨 受賞者一覧”. 愛知県. 2025年6月23日閲覧。
  13. ^ 音楽のまち・かすがい「リレーコンサート」”. 春日井市 (2023年9月11日). 2025年6月23日閲覧。
  14. ^ 《ねじの回転》2002年公演記録”. 昭和音楽大学オペラ研究所オペラ情報センター. 2025年6月23日閲覧。
  15. ^ 兵庫県立芸術文化センター「魔笛」公演詳細(2005年)”. 兵庫県立芸術文化センター. 2025年6月23日閲覧。
  16. ^ 東京二期会《魔笛》2005年公演情報”. 公益財団法人東京二期会. 2025年6月23日閲覧。
  17. ^ ルル(2003年 日生劇場公演)”. 公益財団法人 東京二期会. 2025年6月23日閲覧。
  18. ^ ベルク作曲《ルル》(フリードリヒ・チェルハ補筆完成版)”. 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール. 2025年6月23日閲覧。
  19. ^ 平成13年度愛知県文化振興事業団主催オペラ《夕鶴》”. 愛知県芸術文化センター. 2025年6月23日閲覧。
  20. ^ ラ・ボエーム(2006年東京二期会公演)”. 公益財団法人 東京二期会. 2025年6月23日閲覧。
  21. ^ 『死の都』”. びわ湖ホール. 2025年6月23日閲覧。
  22. ^ 夜長姫と耳男”. 昭和音楽大学オペラ情報センター. 2025年6月23日閲覧。
  23. ^ オペラ《メデア》2012年公演パンフレット” (PDF). 二期会. 2025年6月23日閲覧。
  24. ^ アイナダマール”. 昭和音楽大学オペラ情報センター. 2025年6月23日閲覧。
  25. ^ Dalok szoprán hangra és zenekarra – Szolnoki Szimfonikusok” (ハンガリー語). szolnokiszimfonikusok.hu. 2025年6月23日閲覧。
  26. ^ CD『Michiyo Iida singt Richard Strauss und Alban Berg』、Preiser Records、PR 90755(2008年)



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