順分岐拡大とは? わかりやすく解説

順分岐拡大

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 09:25 UTC 版)

付値体」の記事における「順分岐拡大」の解説

この項では、K の | ⋅ | K {\displaystyle |\cdot |_{K}} に対す剰余体 F K {\displaystyle F_{K}} の標数 p は正であるとする。 L を K の n 次代拡大体で、K, L は初めに述べた条件を満たすとする。T を L / K {\displaystyle L/K} の最大不分岐部分拡大としたとき、 ( [ L : T ] ,   p ) = 1 {\displaystyle \scriptstyle ([L:T],\ p)=1} が満たされるならば、L を K のn 次の順分岐拡大体、 L / K {\displaystyle L/K} は順分岐または分岐が穏やかであるという。L が無限次拡大体のとき、 L / T {\displaystyle L/T} の任意の有限部分拡大に対して拡大次数が p と互いに素となるとき、順分岐定める。 L が有限次拡大体で、 | ⋅ | L {\displaystyle |\cdot |_{L}} に対す分岐指数 e と剰余次数 f に対して、 [ L : K ] = e f {\displaystyle \scriptstyle [L:K]=ef\!} を満たすであれば、 L / K {\displaystyle L/K} が順分岐であることは、 ( e ,   p ) = 1 {\displaystyle \scriptstyle (e,\ p)=1} が成り立つことを意味する。 特に、K の | ⋅ | K {\displaystyle |\cdot |_{K}} に対す剰余体有限体であるとき、 L / K {\displaystyle L/K} が不分岐であるならば、順分岐である。 順分岐拡大について、以下のことが成立する(1) L を K の有限次代拡大体とし、T を L / K {\displaystyle L/K} の最大不分岐部分拡大としたとき、L が K の順分岐拡大である必要十分条件は、p と互いに素正整数 m 1 , … , m r {\displaystyle m_{1},\ldots ,m_{r}} と K の元 a 1 , … , a r {\displaystyle a_{1},\ldots ,a_{r}} が存在して L = T ( a 1 m 1 , … , a r m r ) {\displaystyle L=T({\sqrt[{m_{1}}]{a_{1}}},\ldots ,{\sqrt[{m_{r}}]{a_{r}}})} となることである。 (2) L ,   K ′ {\displaystyle L,\ K'} を K の代数閉包含まれる有限次代拡大とし、 L ′ = L K ′ {\displaystyle L'=LK'} とおく。このとき、 L / K {\displaystyle L/K} が順分岐であれば、 L ′ / K ′ {\displaystyle L'/K'} も順分岐である。 (3) L ,   L ′ {\displaystyle L,\ L'} が K の順分岐拡大体であるならば、合成体 L L ′ {\displaystyle LL'} も K の順分岐拡大体である。 K の(有限次ないし無限次)代数拡大体 E に対して、E に含まれる K の順分岐拡大体全ての合成は、包含関係最大な K の順分岐拡大であり、 E / K {\displaystyle E/K} の最大分岐部分拡大という。特に K の代数閉包 K ¯ {\displaystyle {\bar {K}}} に対して、 K ¯ / K {\displaystyle {\bar {K}}/K} の最大分岐部分拡大を K の最大順分岐拡大体という。 L / K {\displaystyle L/K} の最大不分岐部分拡大 T および最大分岐部分拡大 V に対して、以下のことが成立する。 T の剰余体と V の剰余体等しくF L / F K {\displaystyle F_{L}/F_{K}} の分離閉包である。また V の値群 G V {\displaystyle G_{V}} は K, L の値群 G K ,   G L {\displaystyle G_{K},\ G_{L}} を用いて G V = { ω ∈ G L |   m ω ∈ G K ,   ( m ,   p ) = 1 } {\displaystyle G_{V}=\{\omega \in G_{L}|\ m\omega \in G_{K},\ (m,\ p)=1\}\!} と表される。 L を K の有限次代拡大体で、初めに述べた条件満たし、さらに | ⋅ | L {\displaystyle |\cdot |_{L}} の | ⋅ | K {\displaystyle |\cdot |_{K}} の分岐指数 e、剰余次数 f に対して、 [ L : K ] = e f {\displaystyle [L:K]=ef} が満たされているとする。いま分岐指数 e を e = ep s   ( s ≥ 0 ,   ( e ′ ,   p ) = 1 ) {\displaystyle \scriptstyle e=e'p^{s}\ (s\geq 0,\ (e',\ p)=1)} と表し、T, V をそれぞれ L / K {\displaystyle L/K} の最大不分岐部分拡大最大分岐部分拡大とすれば、K, T, V, L の値群・剰余体分岐指数剰余次数の間には、以下の様な関係が成立する。 K ⊆ T ⊆ V ⊆ L G K = G TG VG L F KF T = F V ⊆ F L 1 = 1 ≤ e ′ ≤ e 1 ≤ [ T : K ] = [ T : K ] ≤ [ L : K ] / e {\displaystyle {\begin{array}{ccccccc}K&\subseteq &T&\subseteq &V&\subseteq &L\\G_{K}&=&G_{T}&\subseteq &G_{V}&\subseteq &G_{L}\\F_{K}&\subseteq &F_{T}&=&F_{V}&\subseteq &F_{L}\\1&=&1&\leq &e'&\leq &e\\1&\leq &[T:K]&=&[T:K]&\leq &[L:K]/e\end{array}}} 上記において、特に T = K {\displaystyle T=K} かつ V = L {\displaystyle V=L} であるとき、 L / K {\displaystyle L/K} は完全分岐であるといい、 V ≠ L {\displaystyle V\neq L} のとき(つまり L / K {\displaystyle L/K} が順分岐ではないとき)、 L / K {\displaystyle L/K} は激分岐であるという。

※この「順分岐拡大」の解説は、「付値体」の解説の一部です。
「順分岐拡大」を含む「付値体」の記事については、「付値体」の概要を参照ください。

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