阿保藩とは? わかりやすく解説

阿保藩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/30 06:23 UTC 版)

阿保藩(あぼはん)は、徳川家康が関東に入国した際に上野国(現在の群馬県)に置かれたとされる菅沼定盈に1万石が与えられて成立したが、関ヶ原の戦いののちに子の定仍伊勢長島に転出したため、約10年で廃藩となった。菅沼定盈が配置されたのは「上州阿保」とされ、文献によっては新田郡太田市周辺一帯)の「阿布」という土地ともされるが、いずれにしても所在不明で実態がはっきりしない[1][注釈 1]。「阿保」は上野国との国境にほど近い武蔵国賀美郡元阿保村(現在の埼玉県児玉郡神川町大字元阿保)であるとする説があり、この説を採用する事典もある[注釈 2]


注釈

  1. ^ 『角川日本地名大辞典』では「藩の存立には疑問が残されている」とまで記されている[2]
  2. ^ 後述の長谷川典明の論文(1989年)の発表以後の出版物では、『日本歴史地名大系 埼玉県の地名』(平凡社、1993年)が菅沼定盈の封地「阿保」とは武蔵国元阿保であると明示している。一方、『角川新版日本史辞典』(角川学芸出版社、1996年)の「近世大名配置表」においては、上野国新田郡の藩として一覧に掲出しており[3]、『藩と城下町の事典』(東京堂出版、2004年)は群馬県(新田郡)に所在した藩として記載している。
  3. ^ 野田城の戦いで知られる。
  4. ^ 赤丸は本文内で藩領として言及する土地。青丸はそれ以外。黒文字は本文内で言及する土地。灰文字はそれ以外。
  5. ^ なお、安保町は安保領内の町場であることからこの名で呼ばれ、本庄宿と七日市宿を結ぶ脇往還(下仁田街道)の宿駅であった[12]
  6. ^ 原本では「丹生村」と誤っている[15]
  7. ^ 元阿保には「安保氏館跡」という史跡がある。
  8. ^ 賀美郡特産の煙草が江戸で「上州煙草」として販売される、元阿保村の隣村である四軒在家村の割元名主(大庄屋)を上州側の村が務めていた時期があるなど[14]

出典

  1. ^ a b c 長谷川典明 1989, p. 10.
  2. ^ 阿保藩”. 角川地名大辞典. 2022年10月7日閲覧。
  3. ^ 『角川新版日本史辞典』(角川学芸出版社、1996年)p.1299「近世大名配置表」
  4. ^ a b c d 長谷川典明 1989, p. 9.
  5. ^ a b 長谷川典明 1989, p. 11.
  6. ^ 長谷川典明 1989, pp. 11–12.
  7. ^ 『藩翰譜』巻十一、吉川半七版『藩翰譜 第10上−11』75/87コマ
  8. ^ 長谷川典明 1989, p. 18.
  9. ^ 『日本歴史地名大系 埼玉県の地名』, p. 265, 「元阿保村」.
  10. ^ 元阿保村(近世)”. 角川地名大辞典. 2022年10月7日閲覧。
  11. ^ 賀美郡”. 角川地名大辞典. 2022年10月7日閲覧。
  12. ^ 『新編武蔵風土記稿』巻之二百四十四「阿保町」、内務省地理局版活字本『新編武蔵風土記稿 賀美郡第二』2丁表
  13. ^ 長谷川典明 1989, pp. 12–13.
  14. ^ a b c d e 長谷川典明 1989, p. 13.
  15. ^ a b 『群馬県史 第2巻』(1927年)、p.17 国会図書館デジタルコレクション該当部分
  16. ^ 川越・児玉往還を歩く”. 街道歩き旅. 2022年10月9日閲覧。[信頼性要検証]
  17. ^ a b 長谷川典明 1989, p. 15.
  18. ^ a b 長谷川典明 1989, p. 12.
  19. ^ 長谷川典明 1989, pp. 15–16.
  20. ^ a b 『新編武蔵風土記稿』巻之二百四十四「元阿保村」、内務省地理局版活字本『新編武蔵風土記稿 賀美郡第二』1丁裏
  21. ^ 『新編武蔵風土記稿』巻之二百四十五「大御堂村」、内務省地理局版活字本『新編武蔵風土記稿 賀美郡第三』1丁表
  22. ^ 長谷川典明 1989, p. 14.
  23. ^ 長谷川典明 1989, pp. 13–14.
  24. ^ a b c 上野 菅沼城”. 城郭放浪記. 2022年10月9日閲覧。[信頼性要検証]
  25. ^ a b c d 上野・菅沼城 菅沼定清とは 安中の海雲寺は招き猫の寺”. 城旅人. 2022年10月9日閲覧。[信頼性要検証]
  26. ^ a b c d 菅沼城”. 古城盛衰記. 2022年10月9日閲覧。[信頼性要検証]
  27. ^ 菅沼城”. 古城址探訪. 2022年10月9日閲覧。[信頼性要検証]


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