行動が維持される仕組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/05 02:10 UTC 版)
トゲウオにおいては、雄が他の雄に対して縄張り防衛の行動を取るが、その際、相手の魚の腹部が赤いとこの行動が起きることがわかっている。これは、この魚の雄が婚姻色として腹部に赤を発色することに対応している。このように、一連の本能行動の始まるとき、その最初は、ごく簡単な刺激であることがあり、そのような刺激を信号刺激、あるいは鍵刺激という。 縄張りに侵入した個体が、もし腹部が赤でなく、やや膨らんだ形をしていると、これはメスと判断され、それに対しては雄は雌の前でジグザグダンスを行う。メスに産卵の条件が整っていれば、雌は雄の後に従い、すると雄は雌を自分の巣に誘い、産卵を促す。このように、片方の刺激による動作が他方にとって信号刺激となり、それによって新たな反応が引き出され、それがさらに他方にとって…といった繰り返しによって、全体としては複雑な行動が形成されて、それの連鎖によって本能行動は完成される。したがって、それを個々の要素に分解すれば、特定の刺激に対して特定の反応を返す、という機械的なものであると考えられる。 最初に挙げたクモの網を張る行動も、個々の動作は比較的単純で、体の各部分の長さに合わせて糸を引くために、正確な形になっている。あとは基本動作の繰り返しである場合が多い。
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