花宴巻末
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 23:48 UTC 版)
花宴巻末には朧月夜の性格や朧月夜と光源氏との係わりにも関係してくる重要な記述が存在する。この部分は、たとえば大島本では 「心いるかたならませばゆみはりの月なき空にまよはましやは と言うこえ、ただそれなり。いとうれしきものかは」(注:ここが巻末) となっているなど、現在の流布本では文が途中で途切れたような形になっており、河内本やこれまで知られている別本も同文であった。しかしこの大沢本ではこの「いとうれしきものかは」の後に「かろかろしとてやみにけるとや」なる一文が存在し、「途中で切れた形」では無くなっている。伊井春樹はこのような表現について、一条兼良の『花鳥余情』などで述べられている解釈が、この大沢本のような本文の存在を前提としている可能性があるとしている。 なお、これまで知られてきた方の記述については、萩原広道の『源氏物語評釈』などで「あえて完全な記述をせず様々な想像を促すような余韻を残した優れた表現である。」として賞賛されてきた。
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