経口補水療法
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| 経口補水療法 | |
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| 治療法 | |
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| シノニム | Oral rehydration solution (ORS), oral rehydration salts (ORS), glucose-salt solution |
| MeSH | D005440 |
| eMedicine | 906999-treatment |
経口補水療法(けいこうほすいりょうほう、英: Oral rehydration therapy、ORT)とは、一種の補液を使用し脱水症状の予防と治療をすることであり、特に下痢による脱水に行われる[1]。感染症による下痢や嘔吐以外では、熱中症、周術期(手術前の脱水状態あるいは手術後の脱水状態)、高齢者の水分補給などでも用いられる[2]。
飲料水に一定量のブドウ糖と塩が含まれた経口補水液(ORS)が用いられ、特にナトリウムとカリウムの含有量が重要である[1]。経口補水療法は経鼻胃管が用いられる場合もある[1]。この療法を行うにあたり、定期的な亜鉛サプリメントの使用を定期的に含める必要がある[1]。経口補水療法により下痢による死亡の93 %を減少させると推測される[3]。
歴史
前史
経口補水療法は、もとは19世紀以降のコレラ研究において輸液療法に匹敵する水分や電解質を補給する効果をもつ治療法として確立された[2]。
1832年にアイルランドの医師のラッタがコレラ患者に生理食塩水を輸液して5人の命を救ったが、医学界からは疑問を持たれ普及することはなかった[2]。その80年後にイギリスの病理学者であるロジャースが再びコレラ患者への生理食塩水の輸液を行ったところ患者の死亡率が下がり、その後の経口補水療法への開発につながった[2]。
開発と普及
経口補水療法は1940年代にイェール大学のドローとハリソンにより初めて行われたとされる[2]。その後、1968年に東パキスタン(現バングラデシュ)で小児のコレラ流行の際に脱水症の治療法として活用され、輸液療法に匹敵する水や電解質を補給することによる治療法として確立された[2]。
経口補水療法は1940年代に開発されたが一般的に用いられるようになったのは1970年代である[4]。
1971年にインドの難民キャンプでこれらが大流行した際、コルカタ(カルカッタ)のジョンホプキンス大学研究所から経口補水液を持った医療班が現地で3700人の患者に経口補水療法(ORT)を実施したところ、死亡率が30%から3.6%に改善され、世界的に注目を集めるようになった[2]。
ユニセフとWHOは合同でRehydration projectを行っており、粉末のパッケージングの配布などを行っている[2]。WHO必須医薬品モデル・リストに収載されている[5]。開発途上国での卸売り価格は1リットル分の補液が作れるの配合パック1つで0.03米ドルから0.20米ドルである[6]。
2015年より世界の41 %の下痢の小児患者に経口補水療法がおこなわれた[7]。この療法は5歳未満の子供の死亡数を下げる重要な役割を果たしている[7]。
副作用
副作用には、嘔吐、高ナトリウム血症、高カリウム血症などがあげられる[1]。嘔吐を起こした場合、10分ほどあけてから徐々に再開することが推奨される[1]。推奨される配合には塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、グルコースなどがあげられる[1]。これらが入手できない場合は、グルコースをスクロースに置き換え、クエン酸ナトリウムを炭酸水素ナトリウムに置き換えることができる[1]。作用機序はグルコースによってナトリウムの取り込みを増加させるため腸からの水分の吸収が促進される[8]。この他にもいくつかの配合があるのに加えて自家製の配合もある[3]。
ユニセフとWHOが合同で行っているRehydration projectでは、粉末のパッケージングの配布とともに手作りORS(経口補水液)の作り方も公開している[2]。ただし、このプロジェクトでは粉末のパッケージングが入手できない場合にのみ、手作りORS(経口補水液)の活用をすすめている[2]。その理由として、組成が厳格でないこと、清潔な作製が難しいこと、保存性が悪いこと、カリウムやマグネシウムなどの配合がなく下痢による脱水症への十分な補正が困難なことなどを挙げている[2]。
出典
- 1 2 3 4 5 6 7 8 WHO Model Formulary 2008. World Health Organization (WHO). (2009). pp. 349–351. hdl:10665/44053. ISBN 9789241547659
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 谷口英喜「経口補水療法」『日本生気象学会雑誌』第52巻第4号、日本生気象学会、2015年、151-164頁、 doi:10.11227/seikisho.52.151。
- 1 2 Munos, MK; Walker, CL; Black, RE (April 2010). “The effect of oral rehydration solution and recommended home fluids on diarrhoea mortality.”. International Journal of Epidemiology 39 Suppl 1: i75–87. doi:10.1093/ije/dyq025. PMC 2845864. PMID 20348131.
- ↑ Selendy, Janine M. H. (2011) (英語). Water and Sanitation Related Diseases and the Environment: Challenges, Interventions and Preventive Measures. John Wiley & Sons. p. 60. ISBN 9781118148600. オリジナルの18 September 2017時点におけるアーカイブ。
- ↑ World Health Organization model list of essential medicines: 21st list 2019. Geneva: World Health Organization. (2019). hdl:10665/325771. WHO/MVP/EMP/IAU/2019.06. License: CC BY-NC-SA 3.0 IGO
- ↑ “Oral Rehydration Salts”. International Drug Price Indicator Guide. 2018年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月8日閲覧。
- 1 2 The State of the World's Children 2016 A fair chance for every child. UNICEF. (June 2016). pp. 117, 129. ISBN 978-92-806-4838-6. オリジナルの20 September 2016時点におけるアーカイブ。 2017年1月14日閲覧。
- ↑ Binder, HJ; Brown, I; Ramakrishna, BS; Young, GP (March 2014). “Oral rehydration therapy in the second decade of the twenty-first century.”. Current Gastroenterology Reports 16 (3): 376. doi:10.1007/s11894-014-0376-2. PMC 3950600. PMID 24562469.
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