大高元恭とは? わかりやすく解説

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大高元恭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/02 05:09 UTC 版)

大高 元恭(おおだか もとやす、宝暦8年10月16日1758年11月16日) - 文政末年)は蘭学の草創期に活躍した日本の医師、蘭学者本草学者。箸尾元恭とも名乗ったが、高階氏であったため大高と称した。元喬と記載されることもある。初名は和三郎、次に宗温と名乗り、その後清福庵宗粛と号する。字は知道。


  1. ^ 東大医方、西学医方に分けた寛永末年の医師の見立て番付。ちなみに元恭の後に登場する中環は、同じく橋本宗吉の門下で、緒方洪庵の蘭学の師中天游であり、この番付では元恭のほうが高い評価を得ている 。
  2. ^ 寛政12年の『蒹葭堂日記』[1]九月の前半部分だけで、元恭が六回も蒹葭堂の元を訪れているのが分かる。またもともと元温であった彼が元恭・宗粛と名乗っているのも、蒹葭堂が孔恭・世粛と名乗っているのに倣ったものであるとも考えられる。オランダ語を読めないものの、アタナシウス・キルヒャーの著作まで所蔵していた蒹葭堂にとって、博物学に強い関心をもち、蘭学者でもある元恭が心強い協力者であったことは疑い得ない。
  3. ^ 当時岩城氏・塩屋は能登から長崎を廻って大阪に荷を降ろして往き来する貿易に従事しており、こうした商活動が本草物産家としての元恭に、またひいては交友である蒹葭堂や橋本宗吉らに与えた影響についても、考慮されるべきであろう。
  4. ^ 京都大学の富士川文庫に残存するこの書物は、丹波元簡の校閲で、加州医官・大高元喆(テツ)、知道の著とされている。天下の書府と呼ばれた加賀藩の漢籍を含め、夥しい数の支那の医書や本草書を総覧して目録化したものである。元喆は尾張の蘭学者、野村立栄が江戸の噂話を採取して著わした『免帽降乗録』に、「翻訳ノ方ヨシ」と紹介されている、加賀藩の大高玄哲(元哲とも表記。喆は哲の異字体)と同一人物。『西洋学家訳述目録』の記述に誤謬が含まれていなければ、大高知道を名乗っていることからも、この書物は元恭のものであると考えるのが妥当であろう。そもそも元恭が能登の岩城家から娘婿を迎えていることを思えば、加賀藩に長く留まった時期があったことも十分に考えられるのであり、その場合この両者は同一人物であることになる。ちなみに元恭の父の名は、大高養哲であった。
  5. ^ 石川県立図書館に現存。第十二代加賀藩主・前田斉広公の命により、大高元哲が文化八年に翻訳したものとされているが、オランダ語の原書は見つかっていない。雷が電気であることを説き、大気中の硫黄と硝酸が摩擦により火花を発するものが雷であるとの説を紹介した。地震についても、硫黄と硝酸のまさつによる爆発を原因に挙げている。文化八年は橋本宗吉が『エレキテル究理原』『エレキテル訳説』を著わした年でもあり、彼らの間で、この時期電気学についての関心が高まっていたことが窺われる。また蒹葭堂はキルヒャーが地質学や火山現象について著わした『地下世界』を所持していたとされ、それが彼の地震現象についての関心に影響したことも考えられよう。彼はこの書物のなかでラテン語についての知識も披瀝しているが、正確なものである。硫黄と硝酸の説については、ショメールの生活百科辞典“Huishoudkundig Handboek voorden Stedeling en Landman; of Chomel, Huishoudelijk Woorden Verkort”(Amsterdam,1800‐1803)にも同様の記述が見られるが、この書物が幕府の翻訳事業として馬場佐十郎貞由らによって翻訳されたのは文化11年のことである。


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