第一次基本母音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/04 05:57 UTC 版)
18の基本母音のうち最初の8つを第一次基本母音と呼ぶ。第一次基本母音のうち純粋に調音音声学的に定義されているのは [i](1) と [ɑ](5) の 2つだけである。 [i](1): 有声硬口蓋摩擦音 [ʝ] にならない限界において舌が最も前で最も硬口蓋に近づいて調音される音である。唇は横に引く(張唇)。 [ɑ](5): 有声咽頭摩擦音 [ʕ] にならない限界においてなるべく舌を下・奥の位置に置く。唇は横に引かず、丸めもしない。 それ以外の [e](2)・[ɛ](3)・[a](4) は、(1) と (5) の中間の前舌母音で、フォルマント F1 の周波数が等間隔に高くなっていくように配置される。張唇の度合いも徐々に下げていく。 [ɔ](6)・[o](7)・[u](8) は奥舌母音で、やはり F1 が等間隔に低くなっていくように配置される。唇は徐々に円唇度をあげていき、[u] は可能な限りもっとも狭くかつもっとも突き出した円唇奥舌母音になる。 上記のように基本母音の定義には調音と音響の両方がかかわっている。しばしば基本母音の「高さ」(F1 の周波数)が舌の最高点の位置に対応するように記述されることがあるが、これは現実の口の動きと一致しない。前舌・奥舌というのも実際には音響的に定義される(F1 と F2 の周波数の差が大きいのが前舌、小さいのが奥舌)。
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