(積率母函数 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/05 19:03 UTC 版)
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確率論や統計学において、確率変数 X の積率母関数またはモーメント母関数(英: moment-generating function)は、期待値が存在するならば次の式で定義される。
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積率母関数がそのように呼ばれるのは、t = 0 の周囲の開区間上でそれが存在する場合、それが確率分布のモーメントの母関数であるからである。
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積率母関数がそのような区間について定義される場合、それにより確率分布が一意に決定される。
積率母関数で重要なことは、積分が収束しない場合、積率(モーメント)と積率母関数が存在しない可能性がある点である。これとは対照的に特性関数は常に存在するため、そちらを代わりに使うこともある。
より一般化すると、n-次元の確率変数ベクトル(ベクトル値確率変数)
の場合、
の代わりに
を使い、次のように定義する。
-
計算
積率母関数はリーマン=スティルチェス積分で次のように与えられる。
-
ここで F は累積分布関数である。
X が連続な確率密度関数 f(X) を持つ場合、
は f(x) の両側ラプラス変換である。
-
ここで、
は i番目のモーメントである。
2つの独立確率変数の和
2つの独立な確率変数の和の積率母関数は次のようになる。
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独立確率変数の総和(一般化)
X1, X2, ..., Xn が一連の独立確率変数で(分布が同一である必要は無い)、
-
としたとき(ai は定数)、Sn の確率密度関数はそれぞれの Xi の確率密度関数の畳み込みとなり、Sn の積率母関数は次のようになる。
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他の関数との関係
積率母関数に関連して、確率論にはいくつかの変換が存在する。
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特性関数
-
特性関数
と積率母関数は
という関係にある。すなわち、特性関数は iX の積率母関数であり、X の積率母関数を虚数軸で評価したものである。
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キュムラント母関数
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キュムラント母関数は積率母関数の対数として定義される。特性関数の対数をキュムラント母関数とする場合もあるが、通常そちらは「第2」キュムラント母関数と呼ぶ。
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確率母関数
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確率母関数は
で定義される。したがって、
である。
具体例
分布 |
積率母関数
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二項分布
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コーシー分布 |
存在しない[1]。 |
指数分布
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for
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正規分布
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ポアソン分布
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注
- ^ Allan Gut: Probability: A Graduate Course. Springer-Verlag, 2012, ISBN 978-1-4614-4707-8, Chapter 8, Example 8.2.