磁力のヒステリシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/20 07:22 UTC 版)
磁性体は磁界の中に置かれるとそれ自身が磁石になる。これを「磁化」と呼ぶ。磁界を強くしていくとどこまでも磁化されるわけではなく、ある一定値で飽和する。この値を「飽和磁化」と呼ぶ。その飽和している時点から、逆に磁界を弱くしていくと、磁化はなかなか弱くならず、逆方向の磁界のある値のところで磁化が0になる。この時の磁界の大きさを「保磁力」と呼ぶ。このように磁性体の磁化は、磁界を強くするときと弱くするときとでは別のルートを辿り、特徴的なループを描く曲線になる。この、磁場を逆方向も含め交互にかけた時の磁化曲線を「磁気ヒステリシス曲線」と呼ぶ。縦軸は磁束密度 B = I + μH であり、横軸は H(磁場の強さ)である。透磁率μは B = μH で定義されるので、ヒステリシス曲線の勾配が透磁率になる。 このヒステリシス・ループを一回描くごとに、そのループで閉じられた面積に相当する分だけのエネルギーが外部の磁界から磁性体に供給される。その磁気エネルギーは熱エネルギーに変換される。なお、この飽和磁化は温度が高くなると徐々に低下し、磁性体の元素組成に応じた一定温度で磁性体でなくなる。この温度をキュリー温度と呼ぶ。
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