異字同訓とは? わかりやすく解説

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いじ‐どうくん【異字同訓】

読み方:いじどうくん

異な漢字ありながら、意味の近い語が、訓で読む場合同じになるもの。「足・脚」「堅い固い硬い」の類。


同訓異字

(異字同訓 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/09 01:14 UTC 版)

同訓異字(どうくんいじ)は、異なる漢字だが、同じ訓を有するものの組み合わせ。異字同訓(いじどうくん)とも言う。

概要

同訓異字となる漢字の組み合わせには次の3つの場合がある。

  1. 字義がほぼ同じで、同様の使い方ができる漢字
  2. 字義が類似しているが、違いがあり、書き分けられる漢字
  3. 字義がまるで異なるが、たまたま訓では同じ読みをする漢字

このうち、2. の場合は、正書法で使い分けが求められる場合があり、字義が似ているだけに日常生活においても混乱することが多い(例:整えると調える、収めると納めるなど)。1. についても書き手の印象などから使い分ける場合があり、2. との境界は曖昧である。これらの書き分けは、時代によって基準が異なる。例えば、常用漢字表表外漢字・表外訓となっている場合は、代表的な訓読文字で代用する場合がある(例:貴い・崇い→高い、賎い・卑い→低い、惧れる・畏れる→恐れる)が、これらの漢字も中国語では意味が異なり、本来は日本語としても書き分けられていた字が多い。

同じ読みでも同訓異字ではない例

例:いって→行って(←いく)、言って(←いう)
例:かける→○欠ける・○賭ける・×書ける(書く+える)
  • 品詞が異なる
例:釣る・鶴

 ただし、鶴と弦や蔓、釣ると吊るなどは同じ品詞なので同訓異字である。
 また、送り仮名が異なる場合でも同じ品詞なら、これは同訓異字に含める

例:分かる・解る・判る

なお、音読が同じとなる漢字の組は同音異字と呼ぶ。その中で熟語を構成するものは同音異義語と呼ぶ。

審議会等による「異字同訓」使い分け例示

1972年6月、国語審議会漢字部会より『「異字同訓」の漢字の用法』[1]用法例が公表された。

2010年6月、文化審議会国語分科会により『「異字同訓」の漢字用法例(追加字種・追加音訓関連)』(改訂常用漢字表に伴う)[2]より異字同訓漢字の用法例が公表された。

2014年2月、文化審議会国語分科会が『「異字同訓」の漢字の使い分け例』[3]が公表された。

同訓異字の例

名詞の例

  • あと:後・后・痕・跡・址
  • さき:先・前
  • うた:歌
  • こと:事・言;(楽器)琴・筝;(差異、とりわけ)異・殊・特
  • そら:空・天
  • つち:土・地・壌・槌・鎚・錘
  • ちから:力・権
  • つね:常・恒・平・経
  • なみ:(水面のなみ)波・浪・涛;(普通)並・平
  • なみだ:涙・泪・涕
  • のり:(貼り付ける材料)糊;(おきて、ものさし)規・則・法・度
  • むら:村・邑

動詞の例(慣用的なものは除く)

  • あう:合う・会う・逢う・遭う・遇う
  • あける:開ける・空ける・明ける
  • あらわれる:現れる・表れる・顕れる・露れる
  • かくれる:隠れる・匿れる・潜れる
  • いきる:生きる・活きる・存きる
  • しぬ:死ぬ・歿ぬ・滅ぬ・亡ぬ
  • いたる:至る・到る・達る
  • いれる:入れる・容れる・淹れる
  • うつ:打つ・撃つ・討つ・伐つ・攴つ・撲つ
  • うつす:写す・映す・移す・遷す・撮す
  • うやまう:敬う・尊う
  • さげすむ:蔑む・鄙む
  • うむ:生む・産む・膿む・倦む・熟む・績む
  • おおう:覆う・掩う・蔽う・被う・蓋う
  • おかす:犯す・侵す・冒す
  • おごる:奢る・侈る・驕る・傲る・慢る・僭る
  • おさめる:治める・主める・統める・経める・収める・納める・修める
  • おそれる:恐れる・怖れる・畏れる・惧れる
  • おどす:脅す・威す・嚇す
  • おる:折る・居る・織る
  • おわる:終わる・了わる
  • かく:書く・描く・画く・欠く・闕く・掻く・舁く
  • かわる:変わる・代わる・替わる・換わる・更わる・迭わる
  • きく:聞く・聴く・訊く・利く・効く
  • きる:着る・切る・斬る・伐る・截る・剪る・馘る・鑽る
  • こたえる:答える・応える・堪える
  • さがす:探す・捜す
  • さす:刺す・指す・差す・挿す・射す・注す・点す・螫す
  • さめる:冷める・覚める・醒める・褪める
  • したがう:従う・順う・随う・遵う
  • しみる:染みる・沁みる・凍みる・滲みる・浸みる・泌みる
  • すく:好く・空く・透く・隙く・漉く・抄く・鋤く・梳く・剥く
  • すぐれる:優れる・秀れる・卓れる・英れる・傑れる・偉れる・俊れる
  • すすめる:進める・薦める・勧める・奨める
  • そこなう:損なう・害なう・残なう
  • そむく:背く・反く
  • たつ:立つ・建つ・断つ・絶つ・裁つ・截つ・起つ・経つ・発つ・顕つ・佇つ・勃つ
  • つく:付く・附く・吐く・着く・突く・衝く・撞く・就く・即く・憑く・漬く・浸く・点く・搗く・舂く・蹤く・跟く
  • つくる:作る・造る・創る
  • つる:釣る・吊る・痙る・攣る
  • とく:解く・説く・溶く・融く・梳く・熔く・鎔く
  • とる:取る・採る・捕る・執る・摂る・撮る・録る・獲る・穫る・盗る
  • なおる:直る・治る
  • なく:泣く・鳴く・啼く
  • ならぶ:並ぶ・列ぶ・伍ぶ
  • ねる:練る・煉る・錬る・寝る
  • のこる:残る・遺る
  • のばす:伸ばす・延ばす・展ばす
  • のる:乗る・載る
  • はかる:図る・計る・測る・量る・諮る・謀る
  • ひく:引く・弾く・牽く・惹く・轢く・碾く・退く・挽く・曳く・抽く
  • ひらく:開く・拓く・啓く・披く・展く
  • ひろめる:広める・弘める・布める
  • ふく:吹く・噴く・拭く・葺く
  • ふむ:踏む・践む・履む
  • みたす:満たす・充たす
  • みる:見る・観る・看る・視る・覧る・診る
  • もどる:戻る・復る・還る
  • ゆく:行く・往く・逝く・之く
  • よる:寄る・因る・拠る・依る・由る・縁る・選る・撚る・縒る・倚る・凭る・頼る
  • よろこぶ:喜ぶ・悦ぶ・歓ぶ・慶ぶ
  • わかる:分かる・判る・解る

形容詞の例

  • あつい:熱い・暑い・厚い・篤い
  • あぶない:危ない・殆ない
  • おおい:多い・衆い
  • すくない:少ない・寡ない・戔ない
  • おおきい:大きい・巨きい
  • ちいさい:小さい・微さい・矮さい
  • かたい:(固まっている)固い・堅い・硬い・剛い;(むずかしい)難い
  • きよい:清い・浄い・潔い・澄い・純い・聖い・廉い
  • きたない:汚い・濁い・穢い
  • こい:濃い・密い
  • うすい:薄い・淡い
  • こわい:怖い・恐い・強い
  • たかい:高い・上い・貴い・崇い・尊い・尚い・尭い
  • ひくい:低い・下い・賎い・卑い・矮い
  • つよい:強い・豪い・毅い・剛い・勁い
  • よわい:弱い・懦い
  • はやい:早い・速い・快い・迅い・疾い・捷い
  • おそい:晩い・遅い・慢い・徐い
  • ひとしい:等しい・均しい・斉しい・同しい
  • ひろい:広い・博い・洋い・汎い・寛い・宏い・弘い・曠い・浩い・豁い
  • せまい:狭い・陋い・隘い・窄い
  • むごい:酷い・惨い・厳い・峻い・残い
  • やさしい:(たやすい)易しい;(寛大)優しい・寛しい
  • やわらかい:柔らかい・軟らかい
  • やすい:(経費が少ない)安い・廉い;(たやすい)易い
  • よい:良い・吉い・好い・善い・美い・義い
  • わるい:悪い・凶い・壊い・歹い・邪い・奸い・惡い

形容動詞の例

  • おだやか:穏やか・平やか
  • やすらか:安らか・泰らか・康らか・靖らか・寧らか
  • ゆたか:豊か・富か・裕か・穣か

副詞の例

  • まったく:全く、完く
  • みだりに:妄りに、濫りに
  • わずか:僅か、微か、些か、纔か

出典

  1. ^ 「異字同訓」の漢字の用法(昭和47年6月28日 第80回国語審議会 参考資料)
  2. ^ 「異字同訓」の漢字の用法例(追加字種・追加音訓関連)(平成22年6月7日 文化審議会答申「改定常用漢字表」に付された参考資料)
  3. ^ 「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)(平成26年2月21日) 文化審議会国語分科会報告

関連項目



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