球果
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球果(きゅうか、毬果[1][2][3][4][5]、cone[6][2][4])は、裸子植物の針葉樹類が形成する胞子嚢穂(生殖器官)である[7]。「果」と表現されるが、厳密には果実ではない[8][9][10][注釈 1]。英語 cone は円錐を意味する単語であるが、初め矢田部良吉により「毬果」と訳され、後に「球果」として広まった[1]。
注釈
- ^ 「果実」という用語は被子植物の持つ成熟した子房に限定して使われる[8]。
- ^ 「花」という用語も現代の植物学では被子植物の生殖器官にのみ用いられる[8][23]。かつての花の定義ではゲーベルにより提唱された「胞子葉からなるシュート」という考え方を用いていた[24]。この定義ではトクサ類のツクシや小葉類ヒカゲノカズラの胞子嚢穂も花になる[24][20]。イームスによる定義では、「1個の有限の茎頂に胞子葉および普通には不稔の他の付属物が着生したもの」である[23][25]。
- ^ なお、この用語では球果と球花の区別がつかないため、雌性球果に対しては「種子をつけた雌性胞子嚢穂」という表現を用いている[8]。
- ^ この場合、雄性球果を「花粉錐 (pollen cone)」、「雄錐 (male cone)」や「小胞子錐」と、雌性球果を「種子錐 (seed cone)」、「雌錐 (female cone)」や「大胞子錐」と呼び分けている。ただし、これらは植物学の分野で一般的な用語ではない。クレイン (2014) では、イチョウの雄性胞子囊穂に対して pollen cone が用いられ、矢野真千子による邦訳では「花粉錐」と訳されているが、金井 (2016) による書評では、これまでの表現のように「雄花穂」で十分であると評されている。
- ^ 但し、Yang et al. (2022) ではイヌガヤ属 Cephalotaxus が単型科イヌガヤ科 Cephalotaxaceae としてイチイ科から分離され、イチイ科の姉妹群となっているが、かつての系統解析ではイチイ科に内包されることも多く、本項ではイチイ科に内包して扱う。
- ^ かつては種鱗を「果鱗 (seminiferous scale)」[4]や「実鱗(實鱗、Fruchtschuppen)」[5][47]と呼び、苞鱗を「被鱗(Deckschuppen)」と呼んだ[5][47]。
- ^ 後述の通り、ヒノキ亜科では胚珠は鱗片の葉腋に形成されるため、鱗片部分に種鱗の一部は含まず、果鱗は苞鱗のみからなる[57]。
- ^ ただし、前記の通り古くは「果鱗」は種鱗を指していた[4]。佐竹 (1934) はそれを認識したうえで、種鱗と苞鱗からなる球果の鱗片を果鱗と呼ぶべきであると述べている。このように、鱗片の名称には混乱が見られるため、下記にまとめる。
- ^ 反転した維管束だけでなく、それに向かい合って苞鱗と同じ向きの維管束も持つことを指す。
- ^ 遠位端では2個、中央部では4個になることもある。
- ^ ただしイヌガヤ属の雌性胞子囊穂は雌性球果と言及されることもある[38]。
- ^ Yang et al. (2022) ではイヌガヤ科とされる。
- ^ 雌性胞子嚢穂・雄性胞子嚢穂どちらに対しても用いられる。
- ^ pollen cone という表現は針葉樹類に限らず、イチョウ類やグネツム類
出典
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