物理における対称性とは? わかりやすく解説

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対称性 (物理学)

(物理における対称性 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/23 05:03 UTC 版)

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複数の空間対称性をもつグラファイト結晶構造

物理学における対称性(たいしょうせい、: symmetry)とは、物理系の持つ対称性 — すなわち、ある特定の変換の下での、系の様相の「不変性」である。

概要

物理系の対称性は、ある変化の下で「保存する」系の物理的または数学的な(観測量、または内在量の)特徴である。変換には「連続的」な変換(円の回転など)または「離散的」な変換(左右対称な像の反射や正多角形の回転など)のファミリーがある。連続的または離散的変換により、それぞれに対応する型の対称性が現れる。連続対称性はリー群によって記述することができ、一方で離散対称性は有限群で記述することができる(対称変換群英語版を参照)。対称性は、多くの場合に群表現のような数学的形式化がしやすく、多くの問題を単純化するために有効に使うことができる。

こういった対称性の重要な例として、任意の微分可能座標変換一般座標変換)の下での物理法則不変性一般共変性原理)がある。

不変性としての対称性

不変性は、ある量を変化させないままにする変換によって数学的に規定される。この概念は実世界で観測される基本的な現象に対して適用することができる。例えば、温度は理想的には部屋の中ではどこも一定である。このとき、温度は部屋の中の位置に依存しないので、温度は測定者の位置の移動に関して「不変」である。

同様に、均一な球体をその中心に対して回転させても、回転を行う前とまったく同じ状態となる。このとき、その球体は球対称性を示したと言うことができる。球のどのについて回転させても、この操作は球がどのように「見える」かを保存する。

力の不変性

上述のように、観測された物理的対称性について議論するとき、「不変性」という有用な概念に着目することができる。これは力における対称性についても同様に適用することができる。

例えば、電線は円筒対称性を示す。これは、ある帯電した無限の長さの電線からの距離r における電界強度を考えるとき、電線を中心軸とする半径r の円筒の表面上の点はどこでも同じ強度を示すことから言える。電線を軸として回転させても、元の位置の電界強度(また移動した先の電界強度)は変わらないので、この操作は電界を保存する。回転された位置の電界強度は同じであるが、その方向はこの操作に従って回転する。これらの二つの性質は、チャージを持つ任意の系の回転はそれに対応するの回転を生じるというより一般的な性質を通して相互に関連している。

ニュートンの力学理論における例について考える。与えられた質量m の二つの物体が、始めは原点で静止した状態から、x 軸に沿ってお互い反対方向に一つは速度v1、もう一方は速度v2で運動するとする。この系の全運動エネルギーは(原点にいる観測者から計算されるとして)12m(v12 + v22)であり、もし速度が交換されるなら同じままである。全運動エネルギーはy 軸内の反射の下で保存する。

上の運動エネルギーの例は、対称性を表現する方法として、物理系のある側面を記述する方程式を用いている。ここでは、もしv1 およびv2 が交換されるなら、全運動エネルギーは同じであることを示している。

局所的および大局的対称性

対称性は「大局的」または「局所的」対称性に大きく分類することができる。「大局的対称性」は時空の全ての点において成立するものである。一方、「局所的対称性」は時空の異なる点において異なる対称性変換を持つものである。特に局所的対称性変換は時空座標によってパラメータ化されている。局所的対称性はゲージ理論の基礎を形成するなど物理学において重要な役割を果たしている。

連続的対称性

対称性ラベルを示す面心立方格子構造の第一ブリュアンゾーン

上で記述された回転対称性の二つの例、球対称性および円筒対称性はそれぞれ連続的対称性英語版である。これらは系の幾何における連続的な変化に従う不変性によって特徴付けられる。例えば、電線はその軸についてどんな角度で回転しても、電界強度は軸を中心とする円筒上で同じである。数学的に、連続的対称性は連続関数または滑らかな関数によって記述される。物理学における連続的対称性の重要なものは時空対称性である。

時空対称性

連続的「時空対称性」 (spacetime symmetry) は、空間時間の変換を含む対称性である。これらはさらに、物理系と関連する空間の幾何的変化のみを含む「空間対称性」、時間における変化のみを含む「時間対称性」、または空間と時間の変化を両方を含む「空間ー時間対称性」に分類される。

時間並進
このことは、任意の時刻t およびa (実数)についての変換



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