演算子体の単位元
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 00:14 UTC 版)
「ディラックのデルタ関数」の記事における「演算子体の単位元」の解説
ミクシンスキーの演算子法に従い、R≥0 = [0, ∞) 上の複素数値連続関数の全体 C = C([0, ∞); C) が畳み込み ( f ∗ g ) ( x ) := ∫ 0 x f ( x − ξ ) g ( ξ ) d ξ {\displaystyle (f*g)(x):=\int _{0}^{x}f(x-\xi )g(\xi )\,d\xi } に関して零因子を持たないというティッチマーシュの定理(英語版)を用いて、(単位元を持たない可換な)整域としての C の商体 M を構築する M はティッチマーシュ・ミクシンスキー代数や、ミクシンスキー演算子(ヘヴィサイド演算子、—超関数)の体などと呼ばれる。M には C にはなかった乗法の単位元 δ = {δ(x)} が付加されているが、この δ(x) はしばしばデルタ関数と看做される。 実際 δ は、特に定数関数 1 に対応する積分作用素 l = {1} ∈ C ⊂ M に対して lδ = δl = l すなわち、形式上は任意の x に対して ∫ 0 x δ ( ξ ) d ξ = 1 {\displaystyle \int _{0}^{x}\delta (\xi )\,d\xi =1} を満たさなければならない(もし δ が R≥0 上の連続関数ならば、x = 0 とすれば左辺は 0 となるから、これを C の中だけで考えることはできない)。再び形式的な議論だが、この被積分関数を δ(x) と [0, x] の指示関数との値ごとの積と見なすことで、無限区間でのデルタ関数の性質が満たされると考えることができる。一方で、十分小さな ε > 0 に対し ∫ ε x δ ( ξ ) d ξ = ∫ 0 x δ ( ξ ) d ξ − ∫ 0 ε δ ( ξ ) d ξ = 0 {\displaystyle \int _{\varepsilon }^{x}\delta (\xi )\,d\xi =\int _{0}^{x}\delta (\xi )\,d\xi -\int _{0}^{\varepsilon }\delta (\xi )\,d\xi =0} だから、x ≠ 0 で δ(x) = 0 が満たされていると考えることができる。
※この「演算子体の単位元」の解説は、「ディラックのデルタ関数」の解説の一部です。
「演算子体の単位元」を含む「ディラックのデルタ関数」の記事については、「ディラックのデルタ関数」の概要を参照ください。
- 演算子体の単位元のページへのリンク