沙羅_(歌曲集)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 沙羅_(歌曲集)の意味・解説 

沙羅 (歌曲集)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/03 13:20 UTC 版)

沙羅』(さら)は、清水重道作詩、信時潔作曲による歌曲集。

概説

国文学者でのちに東京音楽学校教授[1]となった[2]清水重道が1935年(昭和10年)[3]に作った詩に、信時潔が作曲を行い、1936年(昭和11年)に発表された。1943年(昭和18年)9月「木下保第10回独唱会・信時潔歌曲の夕」において全曲初演(水谷達夫ピアノ伴奏)[4]。木下・水谷によりコロンビヤレコード[5]への録音も行われ、レコードが1943年度の文部大臣賞を受賞した[4]。木下は「『沙羅』は信時潔の歌曲の中でも傑出した一連の独唱曲集である[6]」「八曲からなるこの連曲は、日本古来から現代に至る純粋な日本的香り豊かな、そして気品ある作品である[7]」と評価している。

さらに木下は「編曲であっても、この作品が、戦前戦後を通じて、いちばん心にひびく作品[3]」ととらえ、合唱に編曲し、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団などにおいて、木下指揮により、自身が提唱する“やまとことば”を駆使して、繰り返し演奏した。女声合唱男声合唱混声合唱ともに木下保編曲版が出版されている。(なお、当初は男声合唱への編曲は福永陽一郎が行い、木下指揮で演奏されたが、後に木下自身により「ここで一度沙羅の素朴さにもどり、一切の飾り気を無視した中からその魂を浮き立たせようという主旨[6]」で再編曲されている。福永版は出版されていない)

曲目

  1. 丹澤
  2. あづまやの
  3. 北秋の
  4. 沙羅
  5. 行々子
  6. 占ふと
  7. ゆめ

楽譜

歌曲

  • 沙羅 清水重道 作詞、信時潔 曲 共益社 1936年[8]

合唱

  • 女声合唱組曲 沙羅 清水重道作詩/信時潔作曲/福永陽一郎編曲 カワイ楽譜
  • 女声合唱組曲 沙羅 清水重道作詩/信時潔作曲/木下保編曲 音楽之友社 2010/4/7 ISBN 9784276554986
  • 女声合唱のための 沙羅 清水重道作詩/信時潔作曲/永友博信編曲 Edition TOMS JAPAN
  • 男声合唱組曲 沙羅:改訂新版 清水重道作詩/信時潔作曲/木下保編曲 音楽之友社 2012/7/26 ISBN 9784276548381
  • 混声合唱組曲 沙羅 清水重道作詩/信時潔作曲/木下保編曲 音楽之友社 2005/11/17 ISBN 9784276544901
  • 混声合唱組曲 沙羅 清水重道作詩/信時潔作曲/中西覚編曲 マザーアース 2019/6/15 ISMN 9790650034197

録音

歌曲

  • 木下保の藝術-SP音源復刻盤- 木下記念日本歌曲研究会/木下記念スタジオ(限定頒布)※上記の文部大臣賞受賞レコードの復刻
  • Auf Flügeln des Gesanges/歌の翼に 畑中良輔ビクターエンタテインメント)VICC-60138
  • 信時潔作品集 畑中良輔(ビクターエンタテインメント)KCDK-1206

合唱

  • 木下保の藝術 -髙田三郎、信時潔合唱作品集- 木下保指揮 日本女子大合唱団、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 フォンテック
  • 木下保指導による 混声合唱曲集 沙羅 木下保指揮 東京放送合唱団 フォンテック

エピソード

  • 『沙羅』全曲初演の際、客席で聴いた時のことを團伊玖磨はこう語っている。「あの夜の演奏会で、日本歌曲に開眼したのは僕だけでなく、何人もの作曲家が、そして声楽家がたった一晩で開眼し、その各々の道を辿りながら歌曲へのグラナド・アド・パルナスムを昇り始めたのである。[4]
  • 畑中良輔によると「(木下歌唱による)『沙羅』がコロムビアの全曲収録を終え、ラフテスト盤が出来た時のこと。一刻も早く信時先生の耳に入れたいとの木下先生の要望で、前夜から木下先生のお宅に泊まりこみ、翌朝早く、蓄音機がないという信時先生の国分寺のご自宅まで、私がポータブル蓄音機を背負って伺った[9]」という。

脚注

  1. ^ 校章・校歌”. 秋田県立湯沢高等学校. 2020年2月16日閲覧。
  2. ^ 信時潔の孫の信時裕子らがまとめた『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』解説
  3. ^ a b 木下保指導による 混声合唱曲集 沙羅 木下保指揮 東京放送合唱団 フォンテック ライナーノーツ 制作ノート 荒巻亀太郎
  4. ^ a b c 木下保の藝術-SP音源復刻盤- CD ライナーノーツ
  5. ^ 慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第92回(1967年)定期演奏会パンフレット 木下保
  6. ^ a b 慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第96回(1971年)定期演奏会パンフレット 木下保
  7. ^ 木下保指導による 混声合唱曲集 沙羅 木下保指揮 東京放送合唱団 フォンテック ライナーノーツ 歌唱について 木下保
  8. ^ 沙羅”. 国立国会図書館サーチ. 2020年2月16日閲覧。
  9. ^ 木下保の藝術 -信時潔、團伊玖磨歌曲集- CD ライナーノーツ -木下 保 先生のこと- 畑中良輔

「沙羅 (歌曲集)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「沙羅_(歌曲集)」の関連用語

沙羅_(歌曲集)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



沙羅_(歌曲集)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの沙羅 (歌曲集) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS