水車 (ホッベマの絵画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/04 06:29 UTC 版)
フランス語: Le Moulin à eau 英語: The Water Mill |
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作者 | メインデルト・ホッベマ |
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製作年 | 1660年代 |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 80 cm × 66 cm (31 in × 26 in) |
所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
『水車』(すいしゃ、仏: Le Moulin à eau, 英: The Water Mill)は、オランダ絵画黄金時代の画家メインデルト・ホッベマが1660年代にキャンバス上に油彩で制作した風景画である。柵の上に「m. Hobbema」という画家の署名が記されている。作品は1861年にヴィスルバン (Witzleben) 男爵から取得されて以来[1]、パリのルーヴル美術館に所蔵されている[1][2][3]。
作品
メインデルト・ホッベマはオランダ絵画史上ヤーコプ・ファン・ロイスダールと並ぶ有数の風景画家であり、ドラマ性に富んだ趣のある風景画で知られている[2]。後世の画家たちもホッベマに絶大な影響を受けており、19世紀にはフランスのバルビゾン派の風景画家たちがロイスダールとともにホッベマの技法を取り入れた[2]。
ホッベマは故郷のアムステルダム以外の場所や旅の途中でモティーフを見つけ出したが、その場所の中にはトゥウェンテ (ドイツに隣接するオランダの地域) 近辺の深い森林地帯、オランダ国境沿いにあるドイツのヴェストファーレン地方のような遠方も含まれていた[2]。ホッベマの旅の多くは、彼の師であったロイスダールに随行したものである[2]。

ホッベマの好みのモティーフは、道や光り輝く池のある、陽光に照られされた森、散在する木々のある平地の風景、そして水車であった。彼はとりわけ水車を好み、水車を描いた絵画は30数点が知られている[3]。ロイスダールは水車小屋を絵画の中心的主題とした最初の画家である[4]が、1660年代に水車小屋の主題に取り組み始めたホッベマは今日、ロイスダールよりも水車小屋を強く連想させる画家となっている[5]。
本作に描かれているのは、ドイツとの国境に接するオーファーアイセル州近くのデンカンプ (Denckamp) にほど近いジングラーフェン (Singraven) の土地に立ち並ぶ製材所の水車であり、今も現存している[2]。ホッベマは背景にメインモティーフである水車を描き、前景に太陽の光で葉を金色に染めた節だらけの木々を配した。水車という単純なモティーフが、色彩の鮮やかなコントラスト、光線、迫力ある雲の形を通して風情ある演出を施されている[2]。
脚注
- ^ a b “Le Moulin à eau”. ルーヴル美術館公式サイト (フランス語). 2025年6月28日閲覧。
- ^ a b c d e f g 『ルーヴル美術館収蔵絵画のすべて』、2011年、394頁。
- ^ a b “The Water Mill”. Web Gallery of Artサイト (英語). 2025年6月28日閲覧。
- ^ Slive 2011, p. 54.
- ^ Slive 2001, p. 130.
参考文献
- ヴァンサン・ポマレッド 監修・解説『ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて』、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2011年刊行、ISBN 978-4-7993-1048-9
- Slive, Seymour (2011). Jacob van Ruisdael: Windmills and Water Mills. Los Angeles: Getty Publications. ISBN 978-1-60606-055-1
外部リンク
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