根体 Ki[X]/(f(X)) について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/21 01:22 UTC 版)
「分解体」の記事における「根体 Ki[X]/(f(X)) について」の解説
詳細は「根体」を参照 上記の通り、剰余環 Ki+1 := Ki[X]/(f(X)) は f(X) が既約であるとき体を成す。この体の元は、cj ∈ Ki および α = π(X) として、 c n − 1 α n − 1 + c n − 2 α n − 2 + ⋯ + c 1 α + c 0 {\displaystyle c_{n-1}\alpha ^{n-1}+c_{n-2}\alpha ^{n-2}+\cdots +c_{1}\alpha +c_{0}} なる形に表すことができる(Ki+1 を Ki 上のベクトル空間と見れば、α の冪 αj (0 ≤ j ≤ n−1) がその基底を与えるということ)。 つまり Ki+1 の各元は α の次数高々 n の多項式と看做すことができる。Ki+1 の加法は多項式の加法によって、乗法は f(X) を法とする多項式の乗法で与えられる。すなわち、g(α), h(α) ∈ Ki+1 の積 g(α)h(α) = r(α) は、Ki[X] において g(X)h(X) を f(X) で割った剰余 r(X) によって与えられる。 剰余 r(X) は多項式の長除法によって計算することができるが、もっと直接的な簡約規則によっても r(α) = g(α)h(α) を直接計算することもできる。まず f(X) は体上の多項式であるから、それが最高次係数 1 f ( X ) = X n + b n − 1 X n − 1 + ⋯ + b 1 X + b 0 {\displaystyle f(X)=X^{n}+b_{n-1}X^{n-1}+\cdots +b_{1}X+b_{0}} と仮定して一般性を失わない。α が f(X) の根とすれば、 α n = − ( b n − 1 α n − 1 + ⋯ + b 1 α + b 0 ) {\displaystyle \alpha ^{n}=-(b_{n-1}\alpha ^{n-1}+\cdots +b_{1}\alpha +b_{0})} であり、積 g(α)h(α) の m ≥ n なる項 αm は α n α m − n = − ( b n − 1 α n − 1 + ⋯ + b 1 α + b 0 ) α m − n = − ( b n − 1 α m − 1 + ⋯ + b 1 α m − n + 1 + b 0 α m − n ) {\displaystyle \alpha ^{n}\alpha ^{m-n}=-\left(b_{n-1}\alpha ^{n-1}+\cdots +b_{1}\alpha +b_{0}\right)\alpha ^{m-n}=-\left(b_{n-1}\alpha ^{m-1}+\cdots +b_{1}\alpha ^{m-n+1}+b_{0}\alpha ^{m-n}\right)} と簡約することができる。 この簡約規則を用いる例として、Ki = Q[X] を有理係数多項式環として、既約多項式 f(X) = X7 − 2 をとる。g(α) = α5 + α2, h(α) = α3 + 1 を Q[X]/(X7 − 2) の二元とすれば、f(X) による簡約規則は α7 = 2 だから、g(α)h(α) = (α5 + α2)(α3 + 1) = α8 + 2 α5 + α2 = (α7) α + 2α5 + α2 = 2 α5 + α2 + 2αと計算できる。
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