松井孝典による調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 21:15 UTC 版)
「鴨島 (島根県)」の記事における「松井孝典による調査」の解説
1993年(平成5年)2月、地球物理学者の松井孝典を団長、同じく地球物理学者の竹内均を副団長とする「鴨島海底学術調査団」が結成され、翌1994年(平成6年)にかけて最新のレーダーなどを用いた益田市沖の海底検査や陸地でのトレンチ調査などが実施された。 まず、海底音波探査によって、海底に地殻変動による横ずれ断層が確認された。そして、益田川沿いでかつて沼地であったと思われる地点を選んで行われたトレンチ調査では、特徴的な砂の層が認められた。その砂層は河口域で特徴的に見られる珪藻の殻を含み、下層の泥質層との間は水分を含んだ泥の上に急激に砂がたまった際に見られる顕著な火炎状構造を示していたことから、この砂層は益田川を遡った津波によってもたらされたものと考えられた。そして、その砂層直下の泥質層の放射性炭素年代測定を行ったところ BP 930 ± 80 となり、万寿年間に津波が発生したとする伝説を裏付ける結果となった。 こうした調査結果を受けて、鴨島海底学術調査団は益田市内で記者会見を開き、「鴨島の存在の大前提となる万寿の地震と津波は確かにあった。伝承が正しかったと科学的にいえるのではないか」と報告した。ただし、これらによっても大津波の存在が裏付けられたに過ぎず、鴨島跡を特定するまでには至っていない。
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