本遺跡の特色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 16:20 UTC 版)
弥生時代の環濠集落は各地にみられるが、本遺跡は関東地方では珍しい多重環濠集落である。独立丘陵上に位置するという地理的条件から、遺跡の範囲が明確であり、環濠と墓域を含む集落の全体像を把握することが可能である。また、土器形式の編年に基づき、弥生中期後半から後期後半に至る集落の変遷を知ることができる。 出土土器は、南関東系のもの以外に、中部高地や東海地方の系統を引くものがある。出土遺物には、土器のほか、A溝から出土した銅鐸形土製品(3点)と銅釧がある。銅鐸形土製品が1遺跡から3点も出土するのは珍しく、銅鐸文化圏外の本遺跡からこれらが出土したということは、東海地方の菊川式土器に類似した下戸塚式土器とともに、本遺跡と東海地方との交流をうかがわせるものである。本遺跡は、弥生時代における遠隔地間の交流と影響のあり方を知ることができる点でも貴重である。以上のように、本遺跡は、関東地方を代表する弥生時代集落遺跡であり、関東における弥生文化を理解するうえで重要な遺跡である。
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