普明王
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/14 04:24 UTC 版)
普明王(ふみょうおう)は釈迦の前世の一人。仙術をかけられて人肉を食とした斑足王を教化した王。[1]梵語のSutasomaの訳。音写は須陀須摩王。
伝説
ある日、普明王が城外の園林に遊びに行く際、城門にて一人の婆羅門の乞食に会ったが、帰城の後に布施することを約束して園林に行った。ところが当時鹿足王という王が邪教を信じて千人の王の首を山神に捧げるために九百九十九人の王を生け捕りにしてあと一人の王を捕えようとしていた。普明王はその日遂に鹿足王に捕らえられて牢獄に入れられた。普明王は婆羅門との布施の口約束を果たすことが出来ないのを怨み、このことを鹿足王に訴え、一日の釈放を許されて婆羅門に布施をするために居城に帰来した。普明王の死を惜しむ臣民は普明王に再び牢獄に帰らないよう哀願したが、王は聞かなかった。不妄語戒を破ることは何物にも換え難いことであるとして、普明王は再び鹿足王のもとに身をゆだねた。鹿足王はこの普明王の熱い殉教の態度と普明王の語る尊い法に心を動かされ、ついに邪教を捨てて仏法に帰依した。[2]
脚注
参考文献
- 日明、小川孝栄『高祖遺文録』 2巻、久遠寺、1887年、13-15頁。 CRID 1130000794510319232。doi:10.11501/823606。 NCID BB14502518。 OCLC 836146579。国立国会図書館書誌ID: 000000466488 。
- 大屋徳城『釈迦』内外出版協会、1909年、17-18頁。 CRID 1130282270893591168。doi:10.11501/816545。 NCID BN08876074。 OCLC 673053224。国立国会図書館書誌ID: 000000461347 。
- 小野玄妙『仏教美術講話』甲子社書房、1927年、186-188頁。 CRID 1130282273133239040。doi:10.11501/1178181。 NCID BN1255626X。 OCLC 1074920446。国立国会図書館書誌ID: 000000772539 。
- 寺尾与三、本田穆堂『天の花地の花 : 童話物語』八紘社、1931年、23-30頁。 CRID 1130000796674777472。doi:10.11501/1717084。 NCID BB06859342。 OCLC 672905776。国立国会図書館書誌ID: 000000809725 。
- 早川厚一、曽我良成、村井宏栄、橋本正俊、志立正知「『源平盛衰記』全釈(9・巻3-2) (梅本和泰教授 退職記念号)」『名古屋学院大学論集』第50巻第2号、名古屋学院大学総合研究所、2014年、134-212頁、 CRID 1390009224749277952、doi:10.15012/00000358、 ISSN 03850056、 NAID 120005662314、 NCID AN00179501、 OCLC 5571105260、国立国会図書館書誌ID: 025277292。
- 引田弘道、大羽恵美「クシャーンティ・アヴァダーナ : 『ボーディサットヴァ・アヴァダーナ・カルパラター』第38章和訳」『愛知学院大学文学部紀要』第47号、愛知学院大学文学会、2017年、103-117頁、 CRID 1050573407752963584、 ISSN 02858940、 NAID 40021506778、 NCID AN0000649X、 OCLC 7447322571、国立国会図書館書誌ID: 028907848。
関連項目
- 走れメロス - 太宰治による短編小説。捕まった人物がすべきことのために一時的な釈放を許された後に約束を守り戻ってくる話であり、普明王の話と類似する。
- ダモンとピュティアス - 古代ギリシャの伝説。捕まった人物がすべきことのために一時的な釈放を許された後に約束を守り戻ってくる話であり、普明王の話と類似する。
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