日常や椿一輪が重たし
作 者 |
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季 語 |
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季 節 |
春 |
出 典 |
花恋 |
前 書 |
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評 言 |
今年の正月に刊行された句集「花恋」の中の一句である。金子皆子は兜太の夫人である。1997年に腎臓悪性腫瘍のため摘出を受けその後肺への転移もあり、治療の苦しさに耐え、千百八十六句の作品をこの句集に纏めた。 皆子にとって一日一日が切実であり、「椿一輪が重たし」とてらいもなく率直に書いたのだろう。切なる一瞬を切り取った句は読む人の胸にすうっと落ちる。 あとがきによると故郷秩父の山暮らしのお年寄りが「病気だって一人じゃ出来ないからねえ」。自分という個の肉体が病む、それさえも一人で出来ないと記す。この句にはこの思いが刻まれており、「命を見つめる」作者の視点に深く考えさせられた。 句集あとがきより 病んで良かった! これは現在只今の思い 病んで申しわけなかった! これは家族、特に息子夫婦への思いです。 |
評 者 |
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備 考 |
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