振動積分作用素とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 振動積分作用素の意味・解説 

振動積分作用素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/10 04:45 UTC 版)

数学調和解析の分野における振動積分作用素(しんどうせきぶんさようそ、: oscillatory integral operator)とは、次の形式で記述される積分作用素のことを言う:

ここで、函数 S(x,y) は作用素のフェーズ(phase)と呼ばれ、函数 a(x,y) は作用素のシンボル英語版と呼ばれる。λ はパラメータである。しばしば、S(x,y)滑らかな実数値函数で、a(x,y) は滑らかかつコンパクトな台を持つ函数であると仮定される。通常、大きな値を取る λ に対する作用素 Tλ の挙動に、研究の興味は注がれる。

振動積分作用素は、数学の多くの分野(解析学偏微分方程式論積分幾何学英語版数論など)や、物理学の分野において、たびたび扱われる。振動積分作用素の性質は、エリアス・スタインとその学派によって研究されている[1]

ヘルマンダーの定理

振動積分作用素の L2L2 作用(あるいは、L2L2作用素ノルム)に対する上界についての次に述べる結果は、フーリエ積分作用素に関するラース・ヘルマンダーの論文[2]において得られたものである。

x,yRn, n ≥ 1 について考える。S(x,y) を実数値の滑らかな函数とし、a(x,y) を滑らかかつコンパクトな台を持つ函数とする。a(x,y) の台の上の至る所で が成り立つなら、初めは滑らかな函数として定義される TλL2(Rn) から L2(Rn) への連続作用素へと拡張し、そのノルムが任意の λ ≥ 1 に対して で評価されるようなある定数 C が存在する。すなわち、

が成立するような、ある定数 C が存在する。

参考文献

  1. ^ Elias Stein, Harmonic Analysis: Real-variable Methods, Orthogonality and Oscillatory Integrals. Princeton University Press, 1993. ISBN 0-691-03216-5
  2. ^ L. Hörmander Fourier integral operators, Acta Math. 127 (1971), 79–183. doi 10.1007/BF02392052, http://www.springerlink.com/content/t202410l4v37r13m/fulltext.pdf

関連文献

  • 藪田公三、中路貴彦、佐藤圓治、田中仁、宮地晶彦:「解析学百科I:古典調和解析」、朝倉書店、ISBN 978-4-254-11726-4 (2008年3月15日)。第4章:"振動積分と掛谷問題"。
  • 宮地晶彦:「ユークリッド空間上の フーリエ解析 II」、朝倉書店(朝倉数学大系 14)、ISBN 978-4-254-11834-6 (2021年3月1日)。第9章:"振動積分と停留位相の方法"、第10章:"振動積分作用素とFourier変換の制限の問題"。


このページでは「ウィキペディア」から振動積分作用素を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から振動積分作用素を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から振動積分作用素 を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「振動積分作用素」の関連用語

振動積分作用素のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



振動積分作用素のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの振動積分作用素 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS