岡田一実とは? わかりやすく解説

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岡田一実

岡田一実の俳句

いちめんのなのはないちめんを裂いて鳥
しひたけの白いところが怖くなる
にんげんに潮めぐりゐる溽暑かな
ひかり降る寒さへ犀の口ひらく
やはらかき灰とも火蛾に火の移り
パステルを暗く沈める寒い画布
体育の日の育たない柱たち
入学試験四部屋に分かれゐて心臓
初花や膚は光源を讃えけり
双六を三つすすんで絶滅す
君の見る森に寒鴉とゐた時間
密封をたのしく生きる鷹柱
山茶花のみるみる散つて見頃の江戸
底冷やみづを大きくふるはす木
書割の冬空はがしては雪が
木の実降る常世の渦の眩しさへ
梅にうぐひす骨格に肉まつはるよ
椋鳥は遠景を胎動とせよ
死んでゐる以外は生きてゐる海鼠
玉針の玉ぞ春めく展翅の蝶
町ぢゆうに靴ある春の景色かな
管くぐる狼しろがねに濡れて
籠絡は梔子の朽ち初めし際
紙風船この世の風を吐きて浮く
羽子板や婚期くるまできれいでゐる
羽根あれば羽根の浮力と水の春
肺胞も八手も咲くがよろしかろ
靴箱・傘・無花果・箒・みな不在
麗らかさ昨日見し鞠けふに照る
黒ぶどう嚥下のすゑの明るくて
 

岡田一実

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/29 17:30 UTC 版)

岡田 一実(おかだ かずみ、1976年 - )は、俳人富山県富山市生まれ。愛媛県松山市在住。「鏡」同人。

来歴

2006年頃よりインターネットで俳句をはじめる。2007年より夏井いつきの「いつき組」に参加。2010年、第3回芝不器男俳句新人賞にて城戸朱理奨励賞受賞。2014年、第32回現代俳句新人賞受賞。2015年より「らん」同人。2019年、句集『記憶における沼とその他の在処』において第11回小野市詩歌文学賞受賞。審査員の宇多喜代子は「酸欠の部屋に流れこんだ新しい空気のような気持ちのよさがある」[1]と評した、2021年、第4句集『光聴』の帯文において岸本尚毅は「この作者は、目に映り、耳に聞えるものを、ふつうの感受のしかた以上に克明かつ分析的に捉え、それをやや理屈っぽくも見える、解像度の高い言葉遣いで再構成する。」[2]と評した。同作は田中裕明賞で次点。2022年、評論「『杉田久女句集』を読む―ガイノクリティックスの視点から」で第42回現代俳句評論賞受賞。「ジェンダー論に基づいた極めて新鮮な切り口の一編、久女の存在が立体的に豊かさをもってたちあがってくる、若い世代へのメッセージ性も十分」[3]などの高い評価を得た。同年、松山大学人文学部学術講演会にてドゥーグル・J・リンズィー氏講演会&シンポジウム―haikuと俳句 世界と地域から―」[4]にてパネリストを務める。2023年、「らん」終刊。同年、「鏡」同人。

人物

  • 浄土真宗の寺院に生まれ、ペットの犬が死んだのをきっかけに俳句を始めた[5]
  • 結婚の際、夏井いつきが媒酌人となり、「俳句結婚式」を挙げたエピソードを、夏井がエッセイで紹介している[6]
  • 第五句集『醒睡』は、青磁社のHPにて本人による全編朗読の音声データが無料で公開されており、肉声を聴くことができる[7]

著書

共著

収録

出典

外部リンク

脚注

  1. ^ *「五七五に救われる 富山から俳句の聖地へ『北日本新聞』2019.12.1
  2. ^ *『光聴』素粒社 2021.3 ISBN 978-4-910413-02-0
  3. ^ 『現代俳句』2022年10月号
  4. ^ *<松山大学人文学部学術講演会>ドゥーグル・J・リンズィー氏講演会&シンポジウム―haikuと俳句 世界と地域から―
  5. ^ *それぞれの頂を目指して 岡田一実『光聴』インタビュー
  6. ^ 夏井いつき『瓢箪から人生』84頁ー96頁 小学館 2022.8 ISBN 978-4093888660
  7. ^ *。醒睡ー青磁社 seijisha


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