小川双々子とは? わかりやすく解説

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小川双々子

小川双々子の俳句

うぐひすが垂直に降り待つてをり
かうやくを貼りゆふがほを貰ひにゆく
かもうりの一箇無意味を成すところ
からだぢゆう烏麦生えわがゆくへ
けいとうの五十本ほど死ねといひ
げんげ田に鐵の性器のけぶりをり
ここはむかしの刈田あのつげ義春は
この沈丁に沈むべく足の裏は肉や
この良夜つくゑに死後のつばさを置く
こんにやくを噛み小雪といひそこねし
ただ今は武州麦秋光州かな
だらりの揚羽沖縄のすがたする
にぎりこぶしで踊る山中なみだつぼ
はがねたがねそこにうぐいす ホ とをりぬ
ぴかぴかの川普請より下駄流れ
もう一頭の兜虫には注油せむ
クリスマス・イヴや足裏痒し掻く
一人一人来いといふ黒い鉄橋が
人類の歩むさみしさつちふるを
伏せてある踏繪こほろぎ跳びそこね
俺の尾骶骨の地下室のあ、柿
凧くろはらいそを見にゆかんと
勿体なき半透明体大根焚
厚氷あはれけものの息かかる
叱る十二月八日はさみしけれど
吐息もてくさもみじ消しきりしたん
地をはしりてさくらつまづきおほむかし
大風のやうなかほして読んでをる
山中の風化部落よ苦虎杖
後尾にて車掌は広き枯野に飽く
時計からけむり出てゐる浮寝鴨
暑き街虚無僧が来て絶壁なす
曜変やあたまを猫の恋が踏む
月明の甘藍畑に詩は棄つべし
木耳のらんるのなかを吃りけり
枯山や刃となつてからすゐる
枯蘆原オリュウノオバを連れて来し
枯野あり幻付自転車てふ走りき
柚子つかむ三つの一つころがれり
桐一葉きりしとは掌をのこしけり
機械から紙さがりゐし元旦は
水驛みづから氷る父ありけり
沈丁の香の構造のなか通る
油菓子落ちてゆくなり冬の井戸
流し雛てとらぽつとのひねりたり
海よりも嘔吐ひかるは矛盾だらう
消炭をざつくり掬いたる恋は
火事跡に青空があり一人の他者
生きてゐるかと秋風の犬猫屋
白紙に沈丁をふみたまへりと書き
 

小川双々子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/26 10:14 UTC 版)

小川 双々子(おがわ そうそうし、本名:小川二郎 (おがわ じろう)[1]1922年9月13日 - 2006年1月17日[1])は、俳人

岐阜県出身。1941年に「馬酔木」に入門。加藤かけい山口誓子などに師事し、1953年第4回「天狼」賞受賞、1955年「天狼」同人。1958年「河口」を発行、1963年「地表」を創刊、主宰になる。2005年現代俳句協会の第5回「現代俳句大賞」を受賞する[1]

経歴

瀧実業学校(現滝高等学校)甲種商業科を卒業後、住友本社に入社。1953年より1959年まで胸部疾患により、病臥に臥す。1959年カトリックに受洗し、のち名古屋の出版社黎明書房に入り、定年まで勤める。一時期、広島平和祈念式典に参列した。1984年、韓国カトリック200年記念式典に参列し、それを基に「近きより」31句を「地表」に発表。

1988年、アンカレッジ経由でローマアッシジバルセロナモンセラットルルドなどを巡礼した。絵画制作にも情熱を捧げ、1974年より洋画展「幻展」を名古屋市で開催、16回に及んだ。現代俳句協会副会長、同顧問、東海地区現代俳句協会会長、中部日本俳句作家会運営委員長を歴任した。

2006年1月17日、愛知県内の病院で心不全のため83歳で死去した[1]

著書(句集)

  • 幹幹の声 1962年 天狼俳句会
  • くろはらいそ 1969年 祭魚書房
  • 命命鳥 1970年 祭魚書房
  • 三千抄 1974年 祭魚書房
  • あゐゑ抄 1975年 祭魚書房
  • 憂鬼帖(小川双々子句集) 1975年 海程戦後俳句の会
  • 囁囁記 1982年 湯川書房 文庫版は1998年に邑書林より刊行 
  • 小川双々子全句集 1990年 沖積舎
  • 異韻稿 1997年 現代俳句協会
  • 荒韻帖 2003年 邑書林

参考文献

  1. ^ a b c d 訃報・2006年1月”. 岐阜新聞web. 2013年8月25日閲覧。



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