完全閉包と完全化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/13 18:24 UTC 版)
同値条件の1つによると、標数 p のとき、すべての pr 乗根 ( r ≥ 1 {\displaystyle r\geq 1} ) を添加した体は完全である。これは k の完全閉包(perfect closure)と呼ばれ、通常 k p − ∞ {\displaystyle k^{p^{-\infty }}} と表記される。 完全閉包は分離性をテストするために使うことができる。正確には、可換 k-多元環 A が分離的であるのは A ⊗ k k p − ∞ {\displaystyle A\otimes _{k}k^{p^{-\infty }}} が被約であるとき、かつそのときに限る。 普遍性の言葉で言えば、標数 p の環 A の 完全閉包 は標数 p の完全環 Ap であって以下の性質をもつ環準同型 u : A → Ap をもつものである。標数 p の任意の他の完全環 B と準同型 v : A → B に対し、一意的な準同型 f : Ap → B が存在して、v は u を通して分解する(すなわち v = fu)。完全閉包はつねに存在する。その証明は体のときと同様に「A の元の p 乗根を添加する」ことを含む。 標数 p の環 A の perfection(完全化)は(この用語は完全閉包に対して使われることもあるが)双対概念である。言い換えると、A の perfection R(A) は標数 p の完全環であって以下の写像 θ : R(A) → A をもつものである。標数 p の任意の完全環 B と写像 φ : B → A に対し、一意的な写像 f : B → R(A) が存在し、φ は θ を通して分解する(すなわち ϕ = θ f {\displaystyle \phi =\theta f} )。A の perfection は次のように構成することができる。射影系 ⋯ → A → A → A → ⋯ {\displaystyle \cdots \rightarrow A\rightarrow A\rightarrow A\rightarrow \cdots } を考えよ、ただし各写像はフロベニウス自己準同型である。この系の逆極限は R(A) であり、すべての i に対し x i + 1 p = x i {\displaystyle x_{i+1}^{p}=x_{i}} となるような A の元の列 (x0, x1, ... ) からなる。写像 θ : R(A) → A は (xi) を x0に送る。
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