大洪水 (アントニオ・カラッチの絵画)とは? わかりやすく解説

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大洪水 (アントニオ・カラッチの絵画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/22 10:07 UTC 版)

『大洪水』
フランス語: Le Déluge
英語: The Flood
作者 アントニオ・カラッチ
製作年 1616-1618年ごろ
種類 キャンバス油彩
寸法 166 cm × 247 cm (65 in × 97 in)
所蔵 ルーヴル美術館パリ

大洪水』(だいこうずい、: Le Déluge: The Flood)は、17世紀イタリアバロック期の画家アゴスティーノ・カラッチの息子で画家のアントニオ・カラッチが1615-1618年ごろにキャンバス上に油彩で制作した絵画である[1]ボローニャ司祭ガヴォッティ (Gavotti) のコレクションに由来し、ジュール・マザラン枢機卿の所有を経た後の1661年にフランス国王ルイ14世に取得された[2]。1793年以来[2]パリルーヴル美術館に所蔵されている[1][2]

作品

大洪水にまつわる物語は、『旧約聖書』中の「創世記」で語られるノアの方舟伝説が有名である。しかし、本作はギリシア神話で語られる大洪水を主題としている[1]。ギリシア神話では、人類の黄金時代、白銀時代に続く時代を青銅時代と呼ぶ。この時期の種族の人類は粗暴で、常に殺し合いをしていた。この様子を天から見ていたゼウスはすっかり愛想がつき、新しい種族の人類を作り出すことにした。しかし、デウカリオンピュラは神を敬い、正しい行いをしていたため、彼はこの2人から新たな人類を作ることにしたのである[1]

ゼウスは大洪水を起こして、古い人類を一掃させる計画をデウカリオンとピュラに伝え、彼らに方舟を造らせた。その後、ゼウスは激しい豪雨を降らせ、海神ポセイドンに協力を求め地震と津波を起こさせた。すると陸地は完全に水の中に沈み、デウカリオンとピュラ以外の人類はすべて滅んでしまう。一方、2人は9日9夜、方舟で水の上をさまよったが、水が引いた時、方舟はパルナッソス山の山腹に漂着した[1]

カラッチは、本作で大洪水そのものを描いているわけではない。大洪水に直面し、抗うすべもなく、自分たちを待ち受ける運命に絶望する人々を表している[1]。画中には、なんとか岩に掴まり身を守ろうとする人、馬の背にしがみつく老人、沈みかけた船に不安そうに乗っている人、天に向かって両手を広げ悲嘆に暮れる人などが見いだされる。彼らの様々な表情やポーズに絶望の心理が刻まれ、彼らの悲嘆が生々しく伝わってくる。しかし、画面左上に目を転じると、真っ暗な空の中、徐々に光が差し込んできており、新しい時代の到来が示唆されている[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g 吉田敦彦 2013年、124-125頁。
  2. ^ a b c Le Déluge”. ルーヴル美術館公式サイト (フランス語). 2025年3月22日閲覧。

参考文献

  • 吉田敦彦『名画で読み解く「ギリシア神話」、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13224-9

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