医師の訪問 (メツーの絵画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/29 08:54 UTC 版)
ロシア語: Больная и врач 英語: The Doctor's Visit |
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作者 | ハブリエル・メツー |
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製作年 | 1660年代 |
素材 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 61.5 cm × 47.5 cm (24.2 in × 18.7 in) |
所蔵 | エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルク |
『医師の訪問』(いしのほうもん、露: Больная и врач, 英: The Doctor's Visit)は、オランダ絵画黄金時代の画家ハブリエル・メツーがキャンバス上に油彩で描いた風俗画である。画面上部左側のドアに「G Metsu」という画家の署名が記されている[1]。1767年にパリのJ・ド・ジュリエンヌ (J. de Julienne) のコレクションから入手されて以来[2]、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館に所蔵されている[1][2][3]。
作品
医者の訪問という主題は、1660年代のオランダの画家たちにとって人気のあるものであった。とりわけ、ヘラルト・ドウ、フランス・ファン・ミーリス、ヤン・ステーンらは「恋の病」を患うヒロインをまるでパロディのように描いた[1]。

本作は、裕福な家庭の室内の情景である[1]。椅子にもたれて座る中央の若い女性の顔は青ざめており、その力ない仕草も、恋の苦しみでメランコリーになっていることを示している。黒い服を纏った左側の医者はガラス瓶に入った尿の検体を掲げ、凝視している。一方、右側のテーブルの脇にいる老女 (召使であろうか) は訳知り顔で、診断が下るのを待っている。3人の仕草や身振りは、どれも芝居がかっている[1]。ベッドの天蓋に施されたプットの装飾、壁に掛けられたアブラハムの犠牲を描いた絵画、若い女性の足元にいる犬と室内用便器からは、道徳的なメッセージを読み取ることが可能であろう[1]。
本作は1660年代の制作とされる[2][3]が、若い女性の服装から判断すると1660-1665年の間に制作されたと考えられる[1]。このことは、油彩の繊細な手法[1]や、女性の衣服、テーブルクロスの見事な質感[3]などの細部からもうかがわれる[1]。
脚注
参考文献
- 『大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち』、エルミタージュ美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ、森アーツセンター、2017年刊行
- 五木寛之編著『NHK エルミタージュ美術館 2 ルネサンス・バロック・ロココ』、日本放送出版協会、1989年刊行 ISBN 4-14-008624-6
外部リンク
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