公務員職権濫用罪への該当性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 01:55 UTC 版)
「日本共産党幹部宅盗聴事件」の記事における「公務員職権濫用罪への該当性」の解説
1987年8月緒方は、東京地検が上記の行為について不起訴に対し東京地裁に付審判請求を行ったが東京地裁、東京高裁も緒方の請求を棄却した。これを受けて、緒方は最高裁に特別抗告したが、本件における警察官の盗聴行為が公務員職権濫用罪にあたらないとして抗告を棄却した。 職権濫用罪でいう「職権」は公務員の一般的職務権限のすべてをいうのではなく、そのうち、職権行使の相手方に対し法律上、事実上の負担ないし不利益を生ぜしめるに足りる特別の職務権限をいい、同罪が成立するためには公務員の不法な行為が右の性質をもつ職務権限を濫用して行われたことを要するものというべきである。すなわち、公務員の不法な行為が職務としてなされたとしても、職権を濫用して行われていないときは同罪が成立する余地はなく、その反面、公務員の不法な行為が職務とかかわりなくなされたとしても、職権を濫用して行われたときには同罪が成立することがあるのである。 本件では、警察官の職務としては行われているが、被疑者らは盗聴行為の全般を通じて終始何人に対しても警察官による行為でないことを装う行動をとっていたというのであるから、そこに、警察官に認められている職権の濫用があったとみることはできないとして、警察官の行為が職権濫用罪に該当しないとして、緒方の付審判請求を退けた。 なお、現在では、同様の行為を行った場合、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律30条1項(当時は未制定)に違反する行為であり、同項に違反する行為は3項により付審判請求の対象なので、本件のような事例の場合は付審判請求が認容される可能性がある。
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