伊予鉄道7000系電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/05 14:53 UTC 版)
伊予鉄道7000系電車 | |
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基本情報 | |
製造所 | 近畿車輛 |
運用開始 | 2025年2月21日[1] |
投入先 | 高浜線・横河原線・郡中線 |
主要諸元 | |
編成 | 3両編成2本(MT比1M2T) |
軌間 | 1,067 mm mm |
電気方式 | 直流 600/750 V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 65 km/h |
設計最高速度 | 80 km/h |
編成定員 | 340人 |
車両定員 | 110人(クハ7300・クハ7500) 120人(モハ7100) |
車両重量 | 28.3 t(クハ7300) 33.2 t(モハ7100) 27.5 t(クハ7500) |
編成重量 | 89.0 t |
全長 | 18,000 mm |
全幅 | 2,779 mm |
全高 | 4,079 mm |
台車 | インダイレクトマウント積層ゴム片側支持式 (電動車:KD328A 付随車:KD329B) |
制御方式 | SiCハイブリッド素子採用IGBT素子VVVFインバータ制御 |
保安装置 | ATS |
伊予鉄道7000系電車(いよてつどう7000けいでんしゃ)は、伊予鉄道の鉄道線用電車。2025年2月より投入が進められている。
車両来歴
当車両は車齢平均が55年以上となり、老朽化した京王からの譲受車輛である700系の置き換え用として導入された[2]。導入に当たっては車両の大型化や伊予鉄道の架線電圧の問題があり[3]、最終的に譲受車の導入ではなく67年ぶりとなる新車導入へ踏み切ることとなり、近畿車輛に発注がなされた[4][2]。
2023年1月に社内でデザインを集約し、近畿車輛と何度も協議を重ねた末、約1年半後の2024年5月にステンレス製構体を用いる3扉・18m級車体が完成した。なお前面は普通鋼製で流線型の非貫通構造が採用されたが、この設計には「乗ってもらいたい都会的なフォルム」にしたく、特に流線型の角度にこだわったという[5]。
同年10月に車両が竣工し、11月2日に松山貨物駅へ輸送された後、古町車庫へ陸送された[2][4][6][7]。搬入後12月より試運転を開始[8]、2025年2月21日には松山市駅にて出発式が行われた。なお、出発式の前に古町駅 - 松山市駅間で式典参加者や報道関係者向けの試乗会も同時に行われた[1]。
制御装置には先に導入された3000系と同様にIGBT素子採用のVVVFインバータと回生ブレーキを使用し、700系と比べて約50%の電力で走行することができ、一部は再生可能エネルギー由来の電力を使用する[9][10]。
前面・側面の行先表示器にはフルカラーLEDを採用。車内には全ての乗降扉上部にデジタルサイネージが設置され、車内案内表示および広告表示用として使用されている。また、各車両に防犯カメラも設置されている。照明は随所にLEDが使用されている。窓の寸法を拡大した一方で網棚・中吊り広告は設置されていない。既存車両はマイク放送のみだが、新たに録音音源を流せるようになり、インバウンド(訪日客)増加に対応した英語表記・アナウンスも放送する[2][1][5]。
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車内
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各ドア上部に設置されているデジタルサイネージ
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7502編成(石手川公園駅にて)
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梅津寺駅 -高浜駅間(2025年2月)
車両価格は合計約40億円を見込んでおり、同社では購入に際し「環境省並びに国土交通省からの国庫補助金を活用する」としている[1]。
2027年2月までに3両編成6本(18両)が投入される予定[9]だが、本系列導入後も3000系と610系は引き続き使用される[11]。
運用
伊予鉄道郊外線の全線でほかの車両と共通運用される。
2025年2月21日[1]より、高浜線・横河原線で、同年月24日により郡中線でも運行を開始した。
編成
2025年6月現在、3両編成2本の6両が在籍する。
製造年 | ||||
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クハ7500形 | モハ7100形 | クハ7300形 | ||
車番 | クハ7501 | モハ7101 | クハ7301 | 2025年2月 |
クハ7502 | モハ7102 | クハ7302 |
脚注
- ^ a b c d e 「新型鉄道車両 7000 系 出発式について (PDF)」(プレスリリース)、株式会社伊予鉄グループ、2025年2月10日。2025年3月9日閲覧。
- ^ a b c d “伊予鉄 来年2月デビューの新車両「7000系」 大阪から鉄路、陸路で車両基地に到着”. 愛媛新聞社. 2025年6月22日閲覧。
- ^ 伊予鉄道は大手町駅前で600ボルトの市内電車と郊外電車の高浜線が平面交差している関係で、高浜線が直流600ボルト・郡中線と横河原線が直流750ボルトでの電化となっている。このため、架線電圧1500ボルトの他社から車両を譲受して同社路線を走らせる際には電圧の降圧対応その他大がかりな改造が必要となる。
- ^ a b “67年ぶり🎉郊外電車 新型車両 7000系デビューまでの軌跡🚋 │ 伊予鉄公式ブログ”. iyotetsublog.com. 2025年6月22日閲覧。
- ^ a b “電車に“あるはず”のものが無い! 67年ぶりの「思いきった新型車両」ついにデビュー 伊予鉄”. 乗りものニュース (2025年2月26日). 2025年6月22日閲覧。
- ^ “伊予鉄道 7000系 甲種輸送/2024年11月5日(火) - 鉄道コム”. www.tetsudo.com. 2025年6月22日閲覧。
- ^ “伊予鉄道7000系,併用軌道区間で搬入|鉄道ニュース|2024年11月7日掲載|鉄道ファン・railf.jp”. 鉄道ファン・railf.jp. 2025年6月22日閲覧。
- ^ “伊予鉄道の新型車両7000系、内装を紹介 - 動画も公開、試運転開始”. マイナビニュース (2024年12月24日). 2025年6月22日閲覧。
- ^ a b 『鉄道ピクトリアル 2024年3月号』電気車研究会、2024年、3頁。
- ^ “愛媛の伊予鉄道、新型車両7000系を導入へ 2025年2月に - 日本経済新聞”. 日本経済新聞 電子版. 2025年6月22日閲覧。
- ^ “67年ぶり!? 伊予鉄が中古じゃない「完全新設計の新型車」導入のワケ 既存3車種はどうなる?”. 乗りものニュース (2023年11月15日). 2023年11月17日閲覧。
参考文献
- 『鉄道ピクトリアル 2024年3月号』電気車研究会、2024年、34頁。
外部リンク
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