仁禮景雄とは? わかりやすく解説

仁礼景雄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/12 00:45 UTC 版)

仁礼 景雄(にれ かげお、1885年10月10日 - 1926年8月9日[1])は、日本昆虫学者

略歴

子爵仁礼景範の四男[2][3]。1904年に軍人を目指して海軍兵学校に入るも1907年に病を得て中退[4]、静養中に東京帝国大学内田清之助矢野宗幹三宅恒方佐々木忠次郎といった碩学に昆虫学の個人教授を受け、主として朝鮮半島台湾チョウを研究。1909年12月発行の『動物学雑誌』に最初の論文を発表した。

雑誌「海軍」通信員としてアルゼンチン・英国へ

1910年3月11日、雑誌『海軍』通信記者として7か月間の南米経由・英国渡航願が認許され[5]、巡洋艦生駒に乗船して3月15日に日本を出航[4][6]、アルゼンチン国百年祭に向かう途次の便乗記[7][8]、5月にアルゼンチンに到着し独立百年祭に臨んでは観艦式の模様を報告する記事を送った[9][10]。このあと、生駒は英国に向かいスエズ運河を通過する際には、乗員たちがエジプトのピラミッドを見物する様子を通信している[11]

同年10月に帰国。

『海軍』誌の1911年1月号には編輯局の新年の挨拶に局員として名前を連ね[12]、1912年には「大口径砲論」が掲載されている。

精力的に論文を発表

1916年から1921年にかけて蝶類に関する論文を『動物学雑誌』に精力的に発表している。その間、1917年、分家して華族の籍を離脱し以後平民となる[13]

1919年、『昆虫世界』誌上にて、斯界の権威松村松年の『新日本千虫図解』の誤りを具体的に列挙し、その杜撰さを批判。

1920年の雑誌『海軍』15巻第1号の広告欄には、発行所である畫報社の編輯部員として名前が掲載されているが[14]、1910年以来ずっと編輯部に籍を置いていたかどうかは不明である。これを最後に『海軍』誌上に仁禮景雄の名前は出てこない。

蝶類に関する論文は1921年の『動物学雑誌』への掲載を最後に発表されたものは無いようである[15]

1926年に41歳で死去した。墓所は青山霊園

業績

台湾産タテハチョウのニレミスジ(別名ヒラヤマミスジ)などに名を残す。蒐集した昆虫標本は、歿後、東京帝国大学を経て九州大学農学部に送られた。

著作

単著

共著

脚注

  1. ^ 保科「謎の蝶類学者 仁禮景雄」『きべりはむし』2015年、23頁。 
  2. ^ 保科「謎の蝶類学者 仁禮景雄」『きべりはむし』2015年、20-21頁。 
  3. ^ 保科「補遺.蝶類學者仁禮景雄先生」2020年。 
  4. ^ a b 保科「雑誌『海軍』通信記者として」『きべりはむし』2015年、21頁。 
  5. ^ 社告 海軍通信記者 仁禮景雄君を生駒に便乗せしめ」『海軍』第5巻第4号、1910年4月、19頁。 
  6. ^ 杉本巴水「軍艦生駒を送る」『海軍』第5巻第4号、1910年4月、5頁。 
  7. ^ 軍艦生駒便乗記(第一信)」『海軍』第5巻第5号、1910年5月、3頁。 
  8. ^ 軍艦生駒便乗記(第二信)」『海軍』第5巻第6号、1910年6月、3-4頁。 
  9. ^ 亜爾然丁共和國獨立百年祭に於ける觀艦式」『海軍』第5巻第8号、1910年8月、3頁。 
  10. ^ 軍艦生駒より」『海軍』第5巻第9号、1910年11月、4頁。 
  11. ^ 埃及紀行」『海軍』第5巻第10号、1910年12月、18頁。 
  12. ^ 恭祝新正併禱大方諸彦萬福」『海軍』第6巻第1号、1911年1月。 
  13. ^ 保科「仁禮子爵家から分家し て華族ではなくなった」『きべりはむし』2015年、22頁。 
  14. ^ 広告欄」『海軍 = The navy』第15巻第1号、畫報社、1920年1月、17頁。 
  15. ^ 保科「白水(1985)によると,仁禮景雄の最後の論文は大正 10 年である.」2015年。 

参考文献

  • 保科英人(著)、きべりはむし編集委員会(編)「謎の蝶類学者 仁禮景雄」『きべりはむし』第38巻第1号、兵庫昆虫同好会・NPO法人こどもとむしの会、2015年12月25日、20-24頁。 
  • 保科英人(著)、きべりはむし編集委員会(編)「補遺.蝶類學者仁禮景雄先生」『きべりはむし』第43巻第1号、兵庫昆虫同好会・NPO法人こどもとむしの会、2020年6月25日、48-51頁。 
  • 白水文庫刊行会『白水隆アルバム : 日本蝶界の回想録』白水隆文庫刊行会、2007年。 




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