下請いじめ
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下請けいじめ(したうけいじめ)とは、請負関係にある、仕事や生産などを発注する側の大企業と受注する側の中小企業や個人事業主の間などの力関係で、一般に大企業である発注側が優位に立っている立場を利用して、受注側で弱い立場にある中小企業や個人事業主などばかりに取引停止などを示唆させて不利な取引条件を押し付け、優位な立場にある発注側が受注側の不利に配慮してその不利の一部を相応に肩代わりすることに協力しようとしないこと。
不利な取引条件としては、極端な値引きを行う、代金支払いを渋る、合理的な理由のない返品をする、無理な納期を求めるなどがあり、日本においてそれらを指す言葉。下請たたき(叩き)などとも言う。この状況は日本において業界各層で広く存在する。 カスタマーハラスメントの一種と云える。
日本において下請いじめを指摘された企業
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- 三菱電機ロジスティクス[1]
- 九州産交運輸[2]
- マツダ[3][4]
- 日産自動車
- ダイゾー[5]
- とりせん[6]
- ドギーマンハヤシ[7][8]
- サンエス[9][10]
- チヨダ[11]
- 大創産業[12]
- ニッセンホールディングス[13]
- パレモ[14]
- たち吉[15]
- サンゲツ[16]
- フェリシモ[17]
- レオパレス21[要出典]
- セブン&アイ・ホールディングス
- 荏原製作所[20]
- シャトレーゼ[21]
- 井関農機[22]
- SMK[23]
- 不二サッシ[24]
日本における下請いじめを利用した諸問題
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消費税の輸出戻し税(輸出還付金)
日本の消費税(実態としては「付加価値税」、もしくは粗利益にかかっている点から「粗利税」あるいは「売上税」、「取引税」、「ビジネス税」)には、日本企業の海外への商品輸出に際してその生産にかかった消費税額を還付する制度があり、税務署から輸出企業に還付される。
これについて、「輸出品製造にかかる下請企業が、最終完成商品輸出企業に対して消費税を商品売上価格(輸出企業から見たら仕入価格)に負担税額を上乗せして輸出企業に負担が転嫁出来ている、という前提の下で考えられた制度であり、その前提で実施されていなければ、この輸出戻し税制度の下請企業と輸出企業との間の税負担の公平性は成り立たない」とする見方や、あるいは、企業間の力関係によって消費税を転嫁できないことを問題視する見方が根強くある。
これらについては、価格交渉の問題であって消費税の問題ではない。または、値下げ圧力があったとしても、輸出企業が仕入税額控除(課税売上高×消費税率〈仮受消費税〉- 課税仕入高×消費税率〈仮払消費税〉、または課税対象となる売上税額 - 課税対象となる仕入れ税額)を受けるのは当然支払った消費税分についてであって、支払ってもいない分について仕入税額控除を受けることはないとの反論がある。
輸出戻し税(輸出還付金)についても、仕入税額控除によって消費税額を計算した結果であり、プラスであれば納税、マイナスであれば還付となるだけのことである、との反論がある。
しかし、消費税分として支払っているものは実際は税金ではなく、物価ないし取引価格の一部であるとして東京地裁(1990年3月26日)と大阪地裁(1990年11月26日)の判決で示されている。つまり、間接税を前提にした「預かり金」にはあたらない。さらに、消費税法上、輸出等の売上は非課税取引ではなく、あくまで免税取引として「0%」の消費税が課される。つまり “ゼロ税率”で課税して国内販売と同じように仕入税額控除を実施して還付する仕組みになっている。輸出企業の場合には「還付金 = 輸出に関わる課税売上 × 0% + 国内に関わる課税売上 × 10% - 課税仕入れ × 10%」となり、輸出専門業者であれば、原則として支払った消費税額がそのまま還付されることになる(なお、消費税率が上昇すれば、その分還付金も増加する。)[25][26]。
よって、実態は輸出がメインの大企業に対する「輸出助成金」ないし「輸出補助金」と同じことであり、「消費税の税率アップを経団連などが主導している」という見方が可能である[25]。
脚注
- ^ “三菱電機ロジスティクス株式会社に対する勧告について”. 公正取引委員会 (2008年3月28日). 2011年1月27日閲覧。
- ^ 公正取引委員会からの下請法違反に伴う是正勧告について 九州産交運輸 2008年4月17日
- ^ マツダ、下請代金支払遅延等防止法に違反…公取から勧告
- ^ マツダ株式会社に対する勧告についてArchived 2008年12月21日, at the Wayback Machine. 公正取引委員会ニュースリリース 2008年6月27日
- ^ ダイゾーに下請法違反で勧告 公取委、部品製造で不当減額 47NEWS(よんななニュース)
- ^ 公正取引委員会 「株式会社とりせんに対する勧告について」(PDF)
- ^ 公取委:「ドギーマンハヤシ」に再発防止勧告…下請法違反 Archived 2010年12月3日, at the Wayback Machine. 毎日jp(毎日新聞) 2010年11月29日
- ^ 公正取引委員会による下請法違反に関する勧告について ニュースリリース 2010年11月29日
- ^ 下請法違反:「かむかむレモン」のサンエスに勧告 毎日新聞 2011年12月21日
- ^ 株式会社サンエスに対する勧告について 公正取引委員会ニュースリリース 2011年12月21日
- ^ 株式会社チヨダに対する勧告について (PDF) 公正取引委員会 2012年1月13日
- ^ ダイソー、下請け代金を不当減額…公取委勧告 読売新聞 2012年3月27日
- ^ (平成24年9月21日)株式会社ニッセンに対する勧告について:公正取引委員会
- ^ 株式会社パレモに対する勧告について (PDF) (2012年9月21日、公取公告)
- ^ 下請法違反で「たち吉」に再発防止勧告…公取委 Archived 2012年3月5日, at the Wayback Machine. 読売新聞 2012年3月2日
- ^ 下請けいじめ、公取認定…インテリアのサンゲツ[リンク切れ] 読売新聞 2013年2月12日
- ^ 通販大手のフェリシモに再発防止勧告 公取委、下請法違反で 日本経済新聞 2013年3月29日
- ^ ヨークベニマルに勧告 1億7000万円を不当減額 47NEWS(福島民友新聞社) 2013年6月28日
- ^ セブンイレブンに「下請けいじめ」是正勧告 公取委 朝日新聞 2017年7月22日
- ^ “大手ポンプメーカー 下請け法違反で公取委が勧告”. NHKニュース. (2025年2月20日). オリジナルの2025年2月22日時点におけるアーカイブ。 2025年4月20日閲覧。
- ^ シャトレーゼ下請け法違反認定 再発防止など求める勧告 公取委 NHKニュース 2025年3月27日
- ^ 農業機械大手の井関農機が金型保管を強要か 公取委、下請法違反で再発防止を勧告 産経新聞 2025年5月9日
- ^ 電子部品製造会社SMKに公取委が下請法違反で勧告 金型無償保管で保管費用支払い求める 産経新聞 2025年7月15日
- ^ 大手建材メーカー「不二サッシ」下請け法違反か 公取委が勧告 NHKニュース 2025年7月24日
- ^ a b 2021年度 トヨタなど輸出大企業20社に 円安で増大 消費税還付1.7兆円超 中小業者は悲鳴 元静岡大学教授・税理士 湖東 京至さんが推算 - ウェイバックマシン(2022年10月28日アーカイブ分) 湖東京至、全国商工新聞、第3528号 2022年10月24日付
- ^ インボイス制度導入に待った! ほとんどの国民が知らない「実は消費者は消費税を支払っていない」という真実 - ウェイバックマシン(2023年3月14日アーカイブ分) 犬飼淳、集英社オンライン、2023年2月28日 17時1分(インフォシークニュース)
関連項目
- 中間搾取
- カイゼン
- 大企業病
- カンバン
- ジャストインタイム生産システム
- ITゼネコン / IT土方
- 吹田スキーバス事故 - ツアーバス主催者が運行業者に下請いじめ行為を行っていたことが指摘されている。主催者は社会的信用を失い破産に追い込まれた。
外部リンク
- 「しわ寄せ」防止特設サイト | 働き方・休み方改善ポータルサイト - 厚生労働省
- 下請いじめのページへのリンク