三点交雑
英訳・(英)同義/類義語:three-point test, three-point cross
遺伝学の実験で、異なる3つの形質に対して、それぞれの組み換え価を検定交雑で求め、その組み換え価の数値を遺伝子距離として遺伝地図を作製する方法。
実験方法装置単位など: | 一過性形質転換 一過性発現 一過性発現系 三点交雑 不透膜 中性ショ糖密度勾配遠心 乾熱滅菌機 |
三点交雑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/31 13:24 UTC 版)
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三点交雑(三因子交雑、3 factor cross)は遺伝子地図(染色体地図)の作成時などに用いられる、組換え価(組換え頻度)を求める手法のこと。同一染色体上にある3つの遺伝子座について、組換えの起きる確率によって、染色体上における遺伝子が並ぶ順番を決めることができる。 組換え価の算出における古典的な手法である。
手順
まず、顕性と潜性をもつある3つの遺伝子座において、その3つの遺伝子座が独立の法則をとることから、3つの遺伝子座は同一染色体上にあるものだと確認する。次に、その3つの遺伝子の顕性ホモ接合体と潜性ホモ接合体を掛け合わせ、ヘテロ接合体(F1)を作成する。このとき、組換えが発生するが、顕性ホモ接合体と潜性ホモ接合体の掛け合わせであるため、表現型は3つの遺伝子それぞれにおいて顕性の表現型となる。続いて、そのヘテロ接合体(F1)に潜性ホモ個体を交雑する(これを検定交雑と呼ぶ。)ことで、F2を作成する。このとき、再び組換えが発生するが、その組換えは検定交雑であるため、表現型には影響しない。他方で、一回目の掛け合わせの時に生じた組換えにより、F2の表現型に影響が生じる。そして、3つの遺伝子座のうちのある2つの遺伝子座に注目したときに、組換えが起こらなかった表現型をもつF2と、組換えが起きた表現型をもつF2の個体数の比から、2つの遺伝子座における組換え価を求める。この組換え価を求める作業を3組行った後、染色体上における遺伝子が並ぶ順番を定める。このとき、二重に組換えを起こしていないかに注意して定める。そして、その組換え頻度から遺伝子地図を作成する。
問題点
三点交雑は、通常の乗換えに対応しているものの、特殊な乗換えへの対応や乗換えが起こりやすい場所(ホットスポット)の存在への対応ができない。また、三点交雑で得られる組換え価の正確性には限界がある。なにより、交雑実験が必要であるため、多くの生物ではこの手法をとることができない。こうしたことから三点交雑は今やほとんど用いられておらず、現在では、制限酵素の使用、FISH法などによって正確な遺伝子地図を作成している。
参考文献
吉里勝利『スクエア 最新図説生物』(新改訂版)第一学習社〈角川文庫〉、2022年1月10日、160-161頁。ISBN 978-4-8040-4709-6。
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