マッカイグラフとは? わかりやすく解説

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マッカイグラフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 15:54 UTC 版)

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マッカイグラフ: McKay graph)とは、有限群 G と有限次元複素線型表現 V から定まるであり、G表現環英語版の構造に関連する情報を表している。箙の各頂点は G既約指標 χ1, …, χk に対応し、d 次元表現 V の指標 χ とのテンソル積 χχi

と分解されるとき、頂点 χi から χinij 本の矢を描く[1]一般線型群 GL(2, C) の有限部分群 H に対して、 H のマッカイグラフとは H の自然表現のマッカイグラフを指す。

表現 Vカルタン行列 CC = d IA と定義される。ここで Ik 次単位行列であり、A隣接行列 (nij) である。gG の元ならベクトル ((χi(g)) はカルタン行列 C固有値 dχ(g) に対応する固有ベクトルである。

ジョン・マッカイ英語版John McKay)に由来するマッカイ対応(McKay correspondence)とは、特殊線型群 SL(2, C) の有限部分群のマッカイグラフと拡張ディンキン図形との間に一対一の対応があることを述べたものである。この関係は、単純リー代数ADE分類英語版に現れる。

定義

Gを有限群とし、VG表現とする。 をその指標とする。Gの既約表現とする。

であるとき、Gのマッカイグラフを次のように定義する:

  • Gの各既約表現はの頂点に対応する。
  • nij > 0であるとき、からへ有向辺を張る。そして、その辺の重みはnijとする: .
  • もし nij = njiである場合に、矢印の代わりに辺を張る。加えて、もしnij = 1であれば、 対応する辺に重みは書かない。

nijは内積を考えることにより計算できる。以下の式が成り立つ:

ここで、指標たちの内積 である。

GL(2, C)の有限部分群のマッカイグラフは、そのカノニカルな表現のマッカイグラフとして定義される。

SL(2, C)の有限部分群については、カノニカルな表現は自己双対であり、従ってnij = njiが任意のi,jについて成り立つ。故に、SL(2, C)の有限部分群のマッカイグラフは無向グラフとなる。

実は、マッカイ対応により、SL(2, C)の有限部分群と拡張コクセター・ディンキン図形の間にA-D-E型の一対一対応関係がある。

Vのカルタン行列Cを次のように定義する:

ここでクロネッカーのデルタである。

いくつかの結果

  • 有限群 G の表現 V忠実であるのは、V のマッカイグラフは連結であるとき、かつそのときに限る[2]
  • SL(2, C)の有限部分群のマッカイグラフは自己ループをもたない。すなわち、nii = 0が全てのiについて成り立つ。
  • SL(2, C)の有限部分群のマッカイグラフの有向辺の重みは常に1かそれより小さい。

  • G = A × Bとし、ABのカノニカルな既約表現cAcBがあるとする。, i = 1, ..., kAの既約表現で、, j = 1, ..., Bの既約表現であるとしたとき、
の既約表現で、である。この場合、以下が成り立つ。
故に、Gのマッカイグラフのに辺があるのは、 Aのマッカイグラフのに辺があり、かつBのマッカイグラフのの間に辺があるときに限る。このとき、Gのマッカイグラフの辺の重みはAとBのマッカイグラフの対応する辺の重みの積となる。
  • フェリックス・クラインは、SL(2, C)の有限部分群が二項正多面体群であることを示した。マッカイ対応は、この二項多面体群のマッカイグラフと拡張ディンキン図形の間に一対一の対応があることを述べている。例えば、二項四面体群英語版としよう。SL(2, C)の各部分群SU(2, C)の各部分群と共役である。SU(2, C)の行列を考えよう:
ここでεは1の8乗根である。すると、S, U, Vにより生成される。言い換えると、次が成り立つ:
の共役類は次の通り:
の指標表は
ここで である。カノニカルな表現は cによって表される。内積を考えることで、のマッカイグラフはの拡張コクセター・ディンキン図形であることが分かる。

関連事項

脚注

  1. ^ McKay 1980.
  2. ^ McKay 1980, Proposition 1.

参考文献

外部リンク




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