ボヘミア語の正書法についてとは? わかりやすく解説

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ボヘミア語の正書法について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/02 06:29 UTC 版)

ボヘミア語の正書法について』(De orthographia bohemica, デー・オルトグラピアー・ボヘミカー)はチェコ語正書法の改良について記されたラテン語による著書。15世紀初頭に書かれたとみられ、著者は不明だがヤン・フスが書いたのではないかという説がある。

概要

  • ラテン語で用いられる基本的な字母は、ラテン語と同様にチェコ語に存在する音に対しても用いる。/je/と/ji/に対してはge,giとし、gはそれ以外の場合/g/に用いる。cは/ts/に用いる。
  • n, d, t, c, zにドットをつけて(今でいう)軟音を、lにつけて硬音を表す
  • 長母音の場合には母音字の上にチャールカをつけ、長母音と短母音を書き分ける

意義

本著はスラブ語の正書法に言及した文献として最古のものであり、表記がまちまちであるのが普通であった当時において(たとえば今書かれているřにはrz, rrz, rs, rzs, rzss, zr, sr, rzs ,rzzと何通りも表記が存在した)表記の統一と簡略化を唱えたこと、またチャールカとハーチェクを用いる現在のチェコ語の表記の方式の先駆となったことに大きな価値を有する。

写本と出版

本著の写本は1826年8月13日にフランチェク・パラツキーによってトジェボン(Třeboň)発見された。僧侶の(Oldřich Kříž)その1年後新刊の雑誌であるチČasopisu společnosti vlastenského Museum v Čechách誌に紹介され、存在が公に知られるようになったが、刊行はその後30年行われず、1857年にチェコ語学者のアロイス・ヴォイテフ・シェンベラ(Alois Vojtěch Šembera)による原文つきの翻訳がSlavische Bibliothek中に収録された。次いでチェコでチェコ語訳がMistra Jana Husi sebraných spisů(ヤン・フス著作集)に収録された。くだって1965年の新版Slavische Bibliothekにシェンベラ訳が再録され、1968年にヨハン・シュレプファ―(Johann Schröpfer)訳が刊行された。現在学術的に利用できる完本は上記の写本のみであり、ほかにプラハ城に抜粋が保存されている。

参考文献

歴史文法

  • GEBAUER, Jan. Historická mluvnice jazyka českého. Díl I, Hláskosloví. ČSAV, Prague 1963.
  • LAMPRECHT, Arnošt. Vývoj fonologického systému českého jazyka. Universita J. E. Purkyně, Brno 1966.

本著関連

  • BARTOŠ, F. M.: K Husovu spisku o českém pravopise, in: Jihočeský sborník historický, Tábor 1949, p. 33-38.
  • HUS, Jan. Pravopis český, in: Mistra Jana Husi Sebrané spisy. Svazek V. Spisy české, díl II. Přel. Milan Svoboda, úvody a vysvětlivkami opatřil prof. dr. Václav Flajšhans, Praha 1858, p. 105-113.
  • MAREŠ, František Václav. Emauzské prameny českého diakritického pravopisu, in: Z tradic slovanské kultury v Čechách, Prague 1975, p. 169-172.
  • PALACKÝ, František. Literní zprávy, in: Časopis společnosti vlastenského Museum v Čechách. První roční běh. Svazek první. České Museum, Prague 1827, p. 132-140.
  • SCHRÖPFER, Johann. Hussens traktat "Orthographia Bohemica" - Die Herkunft des diakritischen Systems in der Schreibung slavischer Sprachen und die Älteste zusammenhängende Beschreibung slavischer Laute. Wiesbaden, 1968.
  • VIDMANOVÁ, Anežka. Ke spisku Orthographia Bohemica, in: Listy filologické, 1982, p. 75-89.





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